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プロローグ
斬撃、斬撃、斬撃。
俺は何度も剣を振り回し、相手へ肉迫する。
お互い初めてとなる戦闘だが、明らかにこちらが優勢だった。
それもそのはず。剣と拳という差もあるが、俺はこの展開を、心のどこかでずっと待ち続けていたのだから。
俺は生まれてこの方、命の危機に遭遇したことなどなかった。ケンカにも縁のない生活を送ってきた。
だがこの日、この夜、俺はそれに選ばれた。
感覚は研ぎ澄まされ、身体は期待以上に動く。
描き続けてきた妄想を、実現させられるようになったのだ。
敵は、ひたすら戦いを求めるようになる『能力』に突き動かされ、俺に襲い掛かってくる。
だが断言しよう。真に戦いを求め、この立ち回りを楽しんでいるのは、俺だ。
袈裟斬り、横薙ぎ、刺突……。憧れだった数多の剣技を、次々と繰り出していく。
昂る俺の顔は、きっと笑っているだろう。
──『スキルホルダー』。至上の運命に導かれし俺は、渾身の力を込めて剣を振り下ろした。




