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大人が汚くて醜くていやなら、俺たちだけの世界を作ろうよ
「道徳って暇だね。」
「道徳...ね。人権とか、人の気持ちとか知るわけないじゃん。」
「いじめとか、人間同士ぶつかったらそうなるだろ。」
「どうせ、先生だってわかってないでしょ」
「そもそも、子供に言っても大人がしてるんじゃ...ねぇ?」
俺らは道徳が嫌いだった。大人だって理不尽ないじめをしたりするもんだろ?
それなのに、自分はしてないって言い張って子供に注意して。
「汚い。」
「「「「え?」」」」
小さすぎて聞き取りにくかった。でも確かに「汚い」と聞こえた。
「咲人?」
「大人なんて、みんな醜くて嘘つきで、汚い。あいつらも...」
唇を噛みしめて言う咲人。
あいつら、それはきっと俺らの親のことだろう。
「ねぇ、大人が汚くて醜くていやなら、俺たちだけの世界を作ろうよ!」
黄泉の一言。それは、軽くて重い一言となった。