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一度負った傷は二度と消えない
「ご飯!ご飯!」
「黄泉、お前はなんでいつまでも成長しないんだ?」
「黄泉、今日は早く寝るんですよ?明日は、入学式なんですから。」
そう、こんなにも大人びている咲人でさえまだ中学生に入る前なのだ。
本当しっかり者だな。
「咲人、お母さんみたいだね。」
「確かに似合うだろうな。」
意味のない会話を聞きながら俺はテレビをつけた。
先日、殺人犯として刑務所に入っていた⚪︎⚪︎さんが釈放されました。
⚪︎⚪︎さんは、5年前…
バンッ
「悪りぃ、もう寝るわ…」
机を叩き、いつもと口調が全然違う咲人は部屋を出ていった。
しかし、誰も驚きはしなかった。
「あれってさ、咲人のお父さんだよね。」
「あぁ」
それから負の連続で、俺らの親は次々と釈放されていった。