不幸だからこその幸せ
「おかえり。」
「俺たちにもう親はいなくなったね。」
「もともといなかっただろ。」
「ねぇ、ちゃんと掃除した?」
「「「「してないよ。」」」」
「そっか。やっぱり。」
俺らはいつもの場所で話していた。
明るくなりかける空の色で俺らの顔は互いに見える。
「俺達、捕まるね。」
柩が痛いくらいの作り笑いで言った。
「警察はやだな~。捕まったら、死刑だね。」
黄泉も続く。
「ねぇ、なんでだと思う?あんなに憎い奴をこの手で殺せたんだ。なのに...」
胸が苦しいよ。
咲人が泣いた。初めて見た。人前で泣くことはもちろん弱音すら吐かない咲人が泣いたんだ。
「なんでだろうな。わかんねぇや。」
胸が苦しいのは咲人だけじゃない。俺も、それに多分みんなそうだろう。
咲人をギュッと抱きしめて頭を撫でてやった。
「なぁ、死ぬのはいいけど、別れたくねぇ。」
新弥がつぶやいた。
「警察に行けばバラバラで死刑だろ?そんなのってなんか、嫌だな。」
「俺も!終わりも終わっても一緒がいい!」
「グスッ俺も一緒がいい。」
「俺も!みんな好きだもん」
「ああ。楽しかった。もっと普通に生きて会えたらよかったな。」
不幸だからこその幸せかもしれない。
それでも、普通を感じてみたかった。
ここは、あるビルの屋上。
同じ施設で育った性格の真逆な5人は仲良く、
手をつないで飛び降りました。
とても幸せな笑顔を浮かべて




