二日目:呉市内でのオフ会
十月二日。天気、晴れ。時刻、〇八四〇。
私は今日も、電車の中にいる。
今日はホダさんと一緒に呉でオフ会をするのだ。ちなみに銀さんは今日はお休み。
地元の駅から電車に乗り、途中の駅でいったん電車を乗り換え、呉へ向かう電車に乗る。
私は今日も相棒のワープロでうろな町のプロットを打ち込む。
僅かな移動時間といっても、何もする事がないのはもったいない。しかし、短時間の集中は凄い。三〇分少々で一〇〇〇字は書けてしまった。
〇九一五、呉駅へ到着。
駅に着いた時のメールによると、ホダさんが駅前まで迎えに来てくれるそうだ。
そして〇九二〇にホダさんと合流、車に乗る。何でも今日は江田島にある「海上自衛隊第一術科学校」という場所で見学ツアーがあるらしい。
それから一時間ほど車を走らせ、江田島へ向かう。
実を言うと、私は呉市に住んでいるものの、江田島に行った事はない。
そのため江田島への道は私にとって初めての景色だった。
車窓からは造船所や工廠がたくさん見える。
そこでホダさんが説明してくれる。ここは日本一の工廠で、自衛隊の艦船を整備するためのドックがたくさん見える。
あの大和を建造したというドックも見えた。すなわち、大和の故郷。
ほ、ホダさん詳しすぎる……私、この辺の事まったく知らなかったんですが……。
さらに通り過ぎた海や港には空母が浮かび、その都度ホダさんが説明を入れてくれる。
本当にホダさん、艦船に関する知識が豊富だ。
そして、本当に今日はいい天気だ。自転車で走ったらさぞ気持ちがいいだろう。まあ、その分疲労も凄まじい事になりそうだが……。
ちなみにホダさん、昨日は私達と別れた後、広島城、原爆ドーム、宮島を巡ったそうだ。お、お疲れ様です……。
ホダさん曰く、小豆島に近いらしい。細い道やお年寄りが多い所が。
さらに彼が広島に対して抱いた第一印象が「涼しい」だったとの事。今の時期、名古屋は暑いそうな。えーっ、自分としては広島は結構暑いですよー?
……うーむ、世間って広いと改めて感じた。
一〇一〇、海上自衛隊第一術科学校へ到着。
一〇三〇に始まる見学ツアーまで時間があるので待合室周辺を見て回る。しかし自分、軍事知識に疎すぎである。「誘導」と「ホーミング」って違う意味だったのね……ホダさんに「しばらく黙っておいたほうがいいですよー」と苦笑混じりに言われました。しょうがないでしょ、軍事知識なんてほぼガ○ダムから輸入したんだから。CIWS()なんて戦艦にはつきものだよ?
……まあ、自分もガ○ダムを知らない人にその知識を語るのと同じだし、おあいこだと自分に言い聞かせる事にした。
一〇三〇、見学ツアー開始。時間は一二〇〇まで。
そして今日のツアーの案内人役のおじさん、ジョークが上手い。
あちこちの施設をざっと見て回り、入校式と卒業式が執り行われる大講堂へ。
案内人が先頭に立ち、歴史を感じさせる大きな扉を開ける。扉の開く音も、歴史の重みを感じさせてくれる。実にイイ音だ。
そして鼻に届いたのは、木の香り。正面には玉座があり、その上にはフクロウの彫刻が刻まれている。
大講堂の見学を終え、道を進む。
途中で案内人の説明が入り、建物のレンガが一つ一つ丁寧に磨かれた上で積み重ねられている事を教えてもらう。触ってみると、本当につるつるしている。人間の肌以上の手触りだ。目を閉じて触ってみるとその質感がよりダイレクトに伝わってくる。
そして、このツアー最後のポイントへ。
教育資料館。ここは、戦時中の歴史的資料がたくさん保管してあるが、これでもほんの一部だそうだ。
一際目を引いたのは東郷平八郎の自画像。近くで見た時の迫力が凄まじい。まるでキャンバスの向こうが実は絵ではなく本当に部屋があり、東郷平八郎本人がそこに存在しているような錯覚を受ける。私は現在の3Dに通じるものを感じた。
さらに館内を見ていくと、海軍に所属していた人達の遺品や経歴が並んでいる。そこで私はある共通点を見出した。
それは、誰もが皆、「鋼」のような意志と信念を持っているという事。
さらに国のためではなく、部下一人一人を大切に考える一面も持ち合わせている事。
自分も、この人達のような意志や信念を持った生き方がしたいと感じた。
だが、途中にあった戦没者銘碑を見ていると、戦時中は人の命がいかにすぐ消えてしまうものであるかを思い知らされた。
いい勉強になると同時に、歴史の重さと戦争の悲惨さを垣間見た瞬間だった。
一二一〇、第一術科学校を出発。途中、アレイからすこじまにて艦船を撮影。今日は一般公開日ではないので間近で見る事はできなかったが、遠目からでも迫力があった。間近で見た時の迫力やいかに。
そして岸壁付近にはクラゲが多かった。思わず「クラゲ(笑)」と呟いてしまうほどに。
一三一五、呉へ到着。駅ビルのお好み焼き屋で昼食。
私とホダさんは豚肉、卵、蕎麦のミックスを注文。ところがホダさんはさらにサイコロステーキを注文。よ、よく食べますなぁ……いや、私が少ないだけなのか? こう見えても燃費は悪い方なんですが、私。
しかし、考えてみると私は外出時の食事にとことんまで無頓着だった事を思い知った。だって、お好み焼きなんて外じゃ滅多に食べないもん。え? 名物なのにって? うん、食べないんだ。高いお金出してガッカリだったって目には遭いたくないもんで(事実、そういった事が過去何度もありました)。
でもこれからはもっと頓着してみようかな?
一四〇〇、大和ミュージアムへ。
入り口で軽く写真を撮り、中へ。ボランティアの案内人を頼み、れっつらごー大和ミュージアム。
大和ミュージアムで一際目を引くのは、一〇分の一スケールの大和。なんとこれ、約二億円をつぎ込んで造られたシロモノだそうで。
うーん、デカい。
と、ここでボランティアの案内人とホダさんが意気投合。なんだか二人で熱すぎる艦船トークを始めちゃいましたが。しかも内容がディープ(私が聞く限り)すぎて私、全然ついていけません。完全に蚊帳の外。
この流れがなんと約二時間半も続く。最後にゃ知恵熱出てましたよ私。
まあ、色々あったけど、一六四〇、大和ミュージアムを出て、駐車場へ。
そこでホダさんにお礼を言い、お別れ。長い道中、お気をつけて。
それから帰宅し、内容をまとめる(まあ、リアル事情が忙しく、仕上げは今日になってしまったわけだが……)。
こうして、二日間に及ぶオフ会の話をまとめてみたが、いかがだっただろうか。
自分としては、今まで知らなかった事の連続でとても新鮮だった。地元とはいえ、少し離れると未知なるもので埋め尽くされており、
自分でも「書きたい」という衝動に突き動かされて書いてしまった今回の話。
初の一人称であるため、色々お見苦しい点もあったと思う。
しかし、これを見た読者の皆さんがオフ会をしてみようというきっかけになればこれ以上の幸せはない。
なろうで仲のいい作家さんとオフ会をしようか悩んでいる方々に、私から言える事がある。
それは、思い切ってオフ会をしてみるべきだと思う。自分からコンタクトをとってもいいし、誰かのお誘いに乗るのでもいい。場所だって近場でもいいし遠くでもいい。勇気を出してオフ会に行くという事が重要なのだ。
そうする事で、新しく生まれる創作のアイデアもあるし、コラボ作品を書いている作者さんだとダイレクトな情報交換ができて、非常に楽しくなる。
何より、他人との新しい繋がりが生まれるのだ。それは、人生をより豊かにするのにとても重要な事ではないだろうか。
そして最後に、今回の機会を与えてくれたホダさんに最大限の感謝を。
本当に、ありがとうございました。