4をください
1つ1つと足を前に進めていく。右足をもう1つ進めようとしたがピタリと止まる。足場がもうない―…。
生きていくのは簡単なんだ、それを捨てる方がはるかに難しい。そう今現実が訴えているような気がした。私の頭の中を何度も何度も鉄パイプやバットで殴っているような、そういう訴え方に近かった。
「諦めちゃ駄目だ…」
そう呪文のように何度も呟き、頭の中でも繰り返す。今後戻りしても意味がない。もう私には行く場所なんてなくなってしまったのだ。逝く場所はただひとつ。それなのに自分の足はピタリと瞬間接着剤でつけられたかのように動かない。動け動けと何度も命令するが足がそれに従うことはなかった。
そもそもおかしいのかもしれない。こんなことをするのが。そうだ、私は何かを間違っていたのかもしれない。だって、ここじゃなくても逃げ場所はあるんじゃないの?家から一歩も出ないていうのも手なのかもしれない。そうよ、こんなことをしなくてもいいんじゃないかしら。
「か、帰ろう、もう帰ろう」
さっきまで動かなかったはずの足は今度は風船のように軽く動いた。
いつもそうだ、いつも手前で諦めてしまう。諦めというよりは怯えているのかもしれない。そうすると人間が死を恐れているというのは正しい道理なのかもしれない。
はあ、とため息が漏れる。早く帰ってしまおう、ほら、親が心配しているかもしれないから。そう思ってフェンスを飛び越えようとしたときだった。
あまりにそれはスローモーションに見えた。ゆっくりと、ゆっくりと時間が流れていた。視界には自分の足が見えていた。それは見下ろしているわけではなく足を見上げているようだった。
足を見上げている―…?
はっとした。弾かれたように下の方を見たが、その瞬間スローモーションだったのが解除されたような気がした。
「いやああああああああああああああああっっっ!!!!!」
叫んでももう遅かった。視界は黒いコンクリートで覆いつくされていた。
「あらあら、まあ…」
屋上からにやりと地面の方を見て笑う黒い影。フードを深く被っているせいか顔はよく見えない。
「次は誰にしようかしら」
闇の中で黒い影が持つ携帯の画面だけが淡く光っている。画面はメール送信中と表示されていた。
『メールヲ受信シマシタ』
ん?誰だよこんな時間に…。迷惑なやつだ。
俺は着信音を初期設定から一切変えていない携帯をとる。よく友人にからかわれたりするものだ。にしても誰だよ、こんな時間に…。太一辺りか?
俺は少し乱暴気味に携帯を光る。そして受信ボックスの新着メールを開いた。
「っ、う、うわあああ!?」
そのメールを見て次の瞬間には俺は携帯を投げ飛ばしていた。
ありえない、ありえないありえない!!まさか、"あのメール"は噂だろ!?たかが噂のメールがどうして!!どうしてどうしてどうして
俺は考えることをやめて一目散に部屋を飛び出した。
投げ出された携帯。液晶が少し割れてしまったが、メールの文字は綺麗に光っていた。
件名:
本文:4をください
初めての?短編でございます。にしてもあまりにも短すぎますね(笑)
読んでくださった方ありがとうございます。
まずこれは某ブログサイトの、ブログネタで「4」というものがあり内容も4としか書いていなくてだな。確実に運営のミスだろう。
しかし私は「なんだこれ!(笑)」となり、どうしても書きたいという衝動にかられ、短編を書いてしまったのだよ。
即興で書いたものだからいろいろとあるだろうけれど…また機会があったらリメイクするかもしれん。分からんが(笑)
まあ、文があれだけれど大目に見てやってください(笑)
それでは他の作品で!