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松子が沙織を知ったのは、22歳のときで、助教諭という立場で赴任した郡部の小学校で、沙織は事務職員として務めていた。
沙織は背が高く華奢な顔立ちで、気配りのできる女性、松子は初めて沙織に会ったときから、彼女に対してそんな印象を持っていた。
ベテランの女性教師たちにとっては、松子は何かにつけ癪な存在だったようで、教師としての素養がないという侮蔑に加え、初々しい若さへの妬みの視線が、赴任早々の松子に向けられていた。そのような状況のなか、ただ一人気を許せる相手が沙織だった。
職員室の末席で松子と沙織が親密に話をするようになったとき、沙織の父親が公務員で、彼女が中学のとき庭の小さな蜜柑の木に首をくくって死んだことを打ち明けられたことがある。




