1:::あの日の話
『HEAD』
それが、世界の名だたる発明家達が勢力を上げてつくったマシーンの名だ。
HEADは仮想現実に入る、というたくさんの人々の夢を実現させた機械だ。この発明は、自衛隊の強化や、医療の発達に素晴らしい貢献をした。だが、何より私が嬉しかったのはゲームにもこれが導入されたことだ。私を含めたたくさんのコアゲーマーが歓喜に震え、ゲーム会社はこぞってHEAD対応のゲームの開発を始めた。
そして、数多の人間が恋い焦がれていたジャンル、MMORPGがついに姿を現した。それを作ったのは日本で、否、世界でサヴァン(天才)と囁かれるゲームデザイナー、久我寿であった。彼が今まで開発した12個のゲームはジャンルはまちまちだが、そのどれもが世界中の人々を夢中にさせた。そんな天才の作る13番目のゲーム、それが『Thirteenth Game』であった。そのゲームのβテスターに応募してみたところ、見事私は当てた。
キャラクター名を決めてください
[Rei]、と。
キャラクターの色相を決めてください
目は、[赤]
髪も、[赤]。
これで登録は終了です
それでは[Thirteenth Game]の世界、お楽しみください
目を開けると、レンガ調の町並みが続いていた。ゲームの開始時間ぴったりに、1秒も遅れずログインしたから、まだ私の周りには不安げに辺りを見渡している人がたくさん居る。
私もβ版の時はそんな感じだったが、今回はもう二度目なので、早々と行動を開始する。
チュートリアルはβ版と変わった点は無いそうなので、とばす。
武器屋と防具屋に行って自分専用の道具をもらう。
そしてさっさとレベル上げのため、危険区域にでようとした。
…でようと、した。
………でれない。
「ハァ?」
思わず間抜けな声を上げる。
β版と何か変わったのか?いや、それは無いはずだ。ログインする前に攻略Wikiと公式サイトをチェック済みだ。そんな変更を見つけた覚えは、ない。
だとするとこれは私のHEADのバグか……。
ハァ……出鼻を挫かれた感じだ…。。
しょうがない、一旦ログアウトして、もう一度出直すか…。
「《リンクアウト》!!……………………………………………あれ?」
おかしい。なんでログアウトできないんだ?
やっぱHEADに何かあったのかな?……どうしよう…
「おい![Rei]だろ?」
「…[ジェンキンス]………βの時と何も変わってないねw」
「それはお互い様だ。それより、どうした?町の入り口に突っ立って……」
「あぁ…、町の外に、出れないの。」
「は?それはどうゆう…………本当だ、俺も出れない」
ジェンキンスが驚いたように言う。
「なんだ?こんな変更は無かったと思うが…。バグか?」
「うん、私もそう思って一旦ログアウトしようとしたんだけど、そっちもできないの」
「なんだと? ヤバいじゃねぇか。とりあえず、GMに連絡……………
[新たなるプレイヤーの諸君、『Thrteenth Game』13番目の世界へようこそ。
そしてβテスターの諸君、βの時以上にこの世界を楽しみたまえ。]
突然現れた、宙に浮かぶNPCと思われる男が言う。
[さて、行動の早い者はもう既に気付いているだろう。
この町から、出られないことに。
このゲームからでられないことに。]
『始まりの町』を包んでいた静寂が破られる。
「ログアウトできないって?」
「ちょっと!!どうゆうことよ!」
「落ち着けよ、どうせたちの悪い冗談だろ」
[残念ながら、冗談などではない。
安心したまえ、この後続く説明さえ終われば、町の外には出られる。
だが、ゲームからは出られない。
君達は、ゲームに入った瞬間からログアウトできない設定になっている。]
「なんなんだよ!!!」
「いやぁぁぁ!!」
「………。」
怒って喚きちらす者、泣き叫び己の不幸を嘆く者、未だ信じようとはしない者。
取り乱す者が続出するなか、男は続けた。
[外に、出たいか?
出たければこのゲームを、この世界を攻略したまえ。
最後の場所が攻略されたその瞬間、君達は自由になる。
それと、もとの世界のことは心配しなくてもいい。
この世界での1年は現実世界の0,001秒。
例えここで100年過ごしたとしても、現実では僅か0,1秒、1秒にも充たない数だ。
さあ、役者は揃った!
君達はここで、この世界で、自分を強化し、生きるのだ!!]
その言葉を最後に男は消えた。
同時に私達の目の前には今度こそまぎれも無くNPCだと言える女性が立っていた。
[それでは、ゲームの説明をさせて頂きます。
まず始めにデス・ペナルティについてです。
基本的にこのゲーム内で死んだ場合は、ペナルティとして経験値半減、アイテム没収、最大1年の行動不可、レッドプレイヤーだった場合は投獄、になります。
経験値半減は文字通り死んだその瞬間にもっていた経験値が半減いたします。経験値は相手と相打ち、または逃亡した・された場合、双方共に増加・減少はありません。
アイテム没収は自分のレベル帯未満のアイテムを所持していた場合、最大60個没収されます。
行動不可はこの『始まりの町』でその期限を過ぎるまで居てもらう、ということです。期間はご自身のレベル、死んだ場所のレベルにより差があります。宿を借りるお金が無くなれば、自動的に『借金』という形になり、次回お金が手に入ったとき自動的にその部分が引かれていきます。尚、借金が6000コルを超えた時点でそれ以上借りることができなくなります。利子はつきませんが、最後に借りてから13ヶ月以上たち、借金が全額返済されてない場合、ご自身のレベル+10以上の危険区域にランダムにとばされ、その後安全区域に二度と入ることができなくなります。その時死んでしまえばもうゲーム内でも現実世界でも生き返ることはありません。
死んだその瞬間にご自身がレッドプレイヤー、つまりPKをしたことがある者だった場合この『始まりの町』地下にある監獄へ投獄となります。システム上、脱獄は不可能です。また、その監獄へ攻撃を仕掛けた場合、その行為を罪とみなし投獄します。
デス・ペナルティについては以上です。
それでは次にゲームの攻略についてご説明致します。
みなさんご存知の通り、この13番目の世界は1つの大陸によって成り立っています。大陸は4つに分かれており、皆さんが今居るここは『始まりの地』です。新地区はこの地区がすべて攻略されてからでないと発見はできません。
皆さんには最後の地区『終わりの地』の最奥にある『物語の終わり』という場所を目指して頂きます。そこに居るエリアボスが倒されたその瞬間、皆さんはこの無限のゲームから解放されます。
説明は以上です。]
その女性はそう締めくくったが、誰も口を開くことができなかった。
私も何が何だか分からなくなり、「やっぱこの世界のNPCは最新技術使ってるだけある…機械にはとても見えないやぁ」などと考えていた。
[混乱するのも無理は無いでしょう。
ならばその混乱から抜け出さなければならないことを、私は教えなければなりません。
βテスターの皆様へ連絡があります。今から10分後、あなた方はランダムに危険区域にとばされます。]
何を言っているか、分からなかった。
βてすたー?…それは私だ。私やジェンキンスだ。とばされる?危険区域に?なぜ?
頭の中が疑問で渦巻く
[他のプレイヤーの方々、今、あなた方の周りに居るβテスターの皆さんがこの町から姿を消した瞬間。それがあなた方の冒険の始まりです。その瞬間時計は動き出し、人生における選択を迫られる。
さあ、動き出せ
立ち止まるな
時計の針が止まるまで
全てが終わるその時まで
13番目の世界の中で]
女性の姿は消え、声もいつの間にか先程の男の声になっていた。
私は
走り出した
あうち!どうやらプロローグのひっっっくいテンションはまだまだ続くようです。
本当にこの「あの日の話」は詰め込みすぎた感が否めない…。
読みにくい話だとは思いますが、頑張って読んでやってください!(←てm
5/11 主人公の名前変えました。[Red]→[Rei]になりました。
理由は前の名前を日本語に訳して「ちゃん」を付けると「赤ちゃん」になることに今更気付いたからです。何それカッコ悪いと思ったからです。




