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秋は茜色  作者: 澳 加純 


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9/9

引き留めたい秋

現代短歌なので、小難しいことは抜きにして。

感じたままを詠んでみました。


お気楽に味わってみてください。


過ぎ行くは落ちる釣瓶の速さにて

  秋のつれなささびしきかな


足早に立ち去らんとするその背中

  袖口つかみ引き留めたい秋





 11月中旬。

 紅葉の便りに混じり、降雪の知らせもちらほらと。


 わたしの所在地は温暖で有名な土地なので、日中はまだ小春日和を感じるのですが、さすがに日が傾き始めるとそうもいかなくなりました。一気に風は強く、冷たくなります。


 秋の日は釣瓶落とし、と言いますよね。最近は井戸も見かけなくなり、見かけてもポンプ式のものだったり。釣瓶がわからない方も多いのではないでしょうか。


 言わずもがなですが、()()()とは落語家の鶴瓶師匠ではありません。井戸で水を汲み上げる際に機構される装置の、綱等を取り付けた桶などの容器のことです。

 昔はワンタッチで水が出てくる水道の蛇口なんてありませんでしたから、井戸底にその容器を投げ入れて、よいしょっと水を汲み上げていたのですね。時代劇でそんなシーンを見たものですが、最近はその時代劇も地上波放送では数えるほどしかありません。

 ああ、話が逸れました。その容器(つるべ)が井戸底へまっすぐと落ちるように秋の日暮れも早い、ということ。


 具体的には太陽がギアチェンしたからというより、日照時間が短くなったので、日暮れが急速にやってきたように感じられるからなのだそうです。

 いや、でもスピードアップもしているように見えるけれどなぁ?


 空が茜色に染まって、カラスの泣き声に急かされるように薄紫色のヴェールが落ちてくると、すぐに薄墨色が広がり初めて、あっという間に闇色が深まっていくじゃないですか。

 本当に、日が傾き始めると早い、早い!


 山の背が赤く染まってきれい……なんて鑑賞していても、瞬きを数回している内に闇は広がり始めている。そんな感覚を覚えます。

 言い換えれば、そんな刹那であるからこそ美しいのかもしれません。



夕暮れのあかね消えゆく西の空

  冷たい風と闇は早足



午後3時寒風吹いて秋ばらが

  身を縮ませて花びら落とす



 今年最後の秋ばらの蕾も、まだ固いけれど摘んで室内へと避難させました。咲いてくれるかしら?



去り行くは届かぬものと我は知る

  刹那の邂逅(とき)はまぼろしに似て



 だから愛しいのかも。人も、季節も、時間も。

 そんな感傷的な感情も、冷たい風に追い立てられています。くしゃみが立て続けに2回飛び出して。手足が冷たくなり、暖かいものが恋しく感じます。



 もう冬が目の前ですもの。


 

ご来訪、ありがとうございます。


北国では雪も降り始めたようですし、月末にかけてイラスト企画に取り掛かってしまうので、これにて「秋は茜色」は終幕です。

またお会いしましょう。


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親戚から里芋をいただきましたので; 鍋物の 残りの汁で 芋を煮る ゴマみその レシピを調べ 芋を煮る
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