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秋は茜色  作者: 澳 加純 


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6/9

虫の音色と月

現代短歌なので、小難しいことは抜きにして。

感じたままを詠んでみました。


お気楽に味わってみてください。


夜通しのジャムセッションもエンディング

  ともに白むは有明の月





 秋の夜長に虫の音が響く。虫たちは示し合わせて音を出している訳ではないのでしょうけれど、重なる音色は美しい。素晴らしいジャムセッションです。


 あれ、加純さんは6本足は嫌いでは? 嫌いなんですけれど、秋の虫の音色は好きなのです。


 蝉のような勢いはありませんが、あの侘しさが混じる音色が醸し出す空気感は優しく心落ち着かせる、と言いますか。

 なぜでしょう。「侘しい」とは、寂しくて心細い様子や、物足りなさを感じる感情を指すそうな。でも単に寂しいだけでなく、どこか切なさや物悲しさを伴うニュアンスを感じるからでしょうか。


 そうそう。和歌の世界では昔から、秋の夜長と虫の音は「物思い」のワンセットでした。このセットメニューはことのほか日本人の琴線にヒットするようで、秋の情景や感情を豊かに表現するには最強アイテムとされてきました。


 人間も動物ですから、日照時間が日に日に短くなり厳しく寒い季節に向かっていく心細さみたいなものを感じ取っていて、そんな心の寂しさに寄り添ってくれる(と勝手に人間が妄想している)虫たちの音色が琴線に触れる(ヒットする)のかもしれません。

 中二病ぽい?(←個人の意見です)


 ただ虫の音は、静けさが無ければ聴こえてはきません。テレビなどの人工的な音にはかき消されてしまう。そしてなにより、聞く人の心が求めていなければ、音色の美しさは響かないようにも思えます。

 ほら。同じ音色を聞いていても、「睡眠の邪魔」って言う人もいるでしょ。



 やさしく静かに響く秋の虫の音色。

 空では長くなった夜に、秋の月も幻想的に輝いて。

 これまた素敵な、自然界のジャムセッションではないでしょうか。


 けれども朝になれば。

 どんなに隆盛を極めようとも、始まりがあれば終わりが来るものです。

 あれほど美しく輝いていた月も、朝の強い光に姿をかき消され、虫の音も賑やかさに紛れてしまう。

 そんな儚さも、酷暑の夏と厳冬に挟まれた秋には似合う気もする。その儚ささえも、美しいから。

 ――なんて物思う、秋の夕べ。



 でもね。

 わたしとしては「秋」も、もっと自己主張してくれていいと思うのよ。



 


ご来訪、ありがとうございます。


長くなった夜に、楽しみたいのは月の姿と虫の音色。

秋の情緒はいかがですか?

でも。どんなに音色を愛でても、虫が目の前に飛び出してきたら、やっぱり悲鳴をあげるのよ。


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