表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/164

07 軟膏くーださい

森ウルフのナックルが破損しつつも気持ちを切り替える僕。


諦めが肝心ではある。とは言うが僕の場合は時間も素材もあるのだ。そう思って倒した角兎を解体する。

当初の予定通り角兎の角をグリグリ糸で巻き付けるように、右手に残っていた森ウルフの毛皮に括り付ける。角部分が安定せずぐらぐらしているが…中々良い出来だろう。


紙に包んだお肉を布バッグに入れると、背中に背負って移動を開始する。狩るなら森ウルフもいいな?そう思いながら街の方へ向かうように、蛇行しながら獲物を探し歩いていった。


角兎のナックルを手に、獲物を探す。


そして遭遇したのは1匹の角兎。

今度は[疾風]は使わないぞ!と思いながら、駆け出し近づくと威嚇されたがかまわず[突く]で角兎を吹き飛ばす。瞬間、今までにない激痛を拳に感じる。


「ぐぉー!」

痛い!痛すぎる!


角兎は今までと同じように倒せたようだ。すぐさま右手のナックルを外すと…中指が真っ赤に腫れていた。

どうやら角兎の角の部分だけが負荷がかかり、ちょうど中指付近にダメージが集中したのだろう。


体力は5まで減っていた。

外殻はもちろん全損だった。


危うく死にかけたのかもしれないと認識すると、痛みもあってか嫌な汗が大量に噴き出てきた。僕は震える手で角兎を解体すると、肉と角を布バッグに入れ足早に街まで戻った。


途中、薬屋に立ち寄った。


「軟膏くーださい」

「はいよ」

ヨボヨボのおばあちゃんが棚から小さな玉のような物を取り出した。


おばちゃんの説明によるとそれをつぶして患部に塗るようだ。

銀貨2枚を支払うと、さっそく腫れた指に塗り付ける。その効果は抜群で痛みが引くと共に腫れもなくなった。1回分で銀貨2枚は痛いが、この効果であれば仕方ないだろう。


「すごいねこれ」

「じゃろ?」

「じゃあ、また何かあったら来ますね。ありがとうございました」

「あいよ」

薬屋のおばあちゃんにお礼を言って店を出る。


少し気分が良くなった僕が冒険者ギルドに入ると、受付ではいつもの様にローラさんが出迎えてくれた。

森ウルフと角兎、薬草を買い取ってもらい銀貨6枚を受け取る。これなら薬草採取をメインにしていた方が良いなと思ってしまうが、やはり魔物を狩ってこその冒険者だ。明日からまた頑張ろうと心に誓う。


そして宿のベッドの上で思い出す。

僕はのほほんと生きて行くのではなかったのか?


やはり実家の庇護が無くなった僕はこんなものか、と諦めたが、このままスキルを手に入れ続ければ、いずれのんびり生活することもできるかもしれない。そう思うことにした。


翌日からも森に行っては角兎と森ウルフを狩り続けた。

体力や魔力が減ったら休憩を取る。


森ウルフを狩れば上顎、そして下顎も使ってみたりとダメージを軽減するため頑張ってみた。拳に巻く土台の毛皮も草臥れる度に交換したり、2重にしてみたりと毎日創意工夫をしている間に、レベルが21になった。


久しぶりの能力値アップである。


――――――

アレス クラス:大盗賊 Lv21

体力30 魔力30 外殻20

力3 硬3 速3 魔3

スキル [突く/Lv4][疾風/Lv2+1]

――――――

Up [突く/Lv4/強烈な一撃]

Up [疾風/Lv2+1/風のように早く駆ける]

――――――


狩り続けて分かったのだが、スキルのレベルはそのレベルと同じだけ取得すると次のレベルになるようだ。

Lv1なら1つでLv2に、Lv2なら2つでLv3にと言った感じだ。

疾風はあと一つ集めればレベル3になるだろう。


ついでに例のシャボン玉については、面倒なので『スキル玉』と呼ぶことにした。

そのスキル玉は同じ魔物からは段々出にくくなっている。

Lv3+2からLv4にするために、角兎は30体ぐらい狩っている。さらにスキルレベルを上げるならどれだけ狩らなきゃならないのだ…そうは思うがここはもう少し上げておきたい。


[突く]はLv3でより鋭く、Lv4でなると遂に拳に何かの力が作用してるのかダメージを受けなくなった。とは言え魔力は20なので3回打てば次を打つのは少し回復してからとなるだろう。

外で魔力枯渇による気絶は危険だ。


だが遂にレベル21になったおかげで、魔力が30に増えた今なら5回までなら利用できることになる。

これは素直に嬉しい。


そしてまだ気付いたこともある。

体力などの回復量だ。最初30分程度で1回復していた体力と魔力。最初は30分で1回復し、5時間で全回復であった。20となった今では30分に2回復するので、やはり5時間で全回復することになる。

だから体力と魔力が30になった今は、30分だと3ずつ回復するのだろう。1時間に1発は[突く]を放てる。これは魔力を上げるのは最優先のようだ。いくらスキルを獲られても、使えなくては意味がない。


魔力強化の装備はあるようだが、どれもきっと高いだろう。

装備は拳一つで何とかなりそうだし、最優先に揃えたいな…


ちなみに外殻は1時間で全回復するから、多分今は30分で10回復するだろう。こちらも命に直結する能力値だからなんとか増やせないものか…

ローラさんに聞いたらこの世界では平均的な回復量らしい。


そしてまた少し楽に狩りができるようになった僕は毎日のように森で狩りを続け、レベルが25となった。レベルの上りは遅くなったけど、疾風のスキル玉が一つ出て、Lv3となり、移動距離も最大6mほどになった。

もちろん調整も可能だ。イメージ通りに移動が利くので使いこなせばかなり便利だろう。だが今は[突く]が優先ではあるが…


お金も貯まり、ついに念願の魔法の袋も購入することができた。これで狩り中に素材が持ちきれなくて、なんてことも減るだろう。

いよいよ生活には困らなくなってきた僕は、もっとたくさんのスキルが欲しいと思い始めていた。


------------------------------------------------------------

軟膏[傷薬/小]

薬屋で購入できるの軟膏で傷や腫れなどに塗り付けると数秒で治る。1回分で銀貨2枚程度。


魔法の袋

1立方メートルぐらいの量が入る手のひらサイズの袋。所有者登録をすることで他の人は使えなくなるが、所有者が死んでしまうと中身が取り出せなくなるので、通常は何人か登録しておくのが一般的。価格は金貨20枚程度。

10立方メートルぐらいの量が入る魔法のバッグ(金貨100枚程)や、時間停止機能のあるもの(時価)などもある。


スキルのレベルアップ

魔物を倒すと出現するシャボン玉のようなものは『スキル玉(アレス命名)』は、同じ魔物からは段々出にくくなっている。そしてレベルと同じ数集めるとランクアップする。

Lv1なら1つでLv2に、Lv2なら2つでLv3にと言った感じだ。


回復量

アレスの体力と魔力は5時間で回復するようだ。外殻は1時間で全回復する。この世界では平均的な回復量である。

ブクマ、評価、励みになります。感想お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ