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45 いいから早く!私に、下さい!

「譲渡!もうそのままの意味ですよねきっと!」

「凄い!早く譲渡して!」

2人ともテンションがおかしい。


だが今譲渡できそうなのは[突く]だけだ。他のスキルは何となく譲ったりできないのが自然と理解できている。


「疾風ほしい!」

「私は隠蔽とかほしいですね」

2人の要望はどうやら叶えられそうにない。


「多分だけど[突く]だけ譲渡できそうな感じはしてるんだよね」

「そうですか。まあ予想はできてましたが…」

「[突く]なら私も欲しい!」


興奮気味にリーゼが詰め寄ってくる中、クラウは少し考えているようだ。


「私も何かしら譲渡されたいですが、[突く]は私には不要ですよね。何よりあんな速度でつっこむなんて無理です」

「じゃあ、早く!私に!」

クラウが少し悔しそうに断念したので、リーゼがさらに迫ってくる。


「じゃあ」

そう言ってリーゼの手を握り、[突く]を譲渡しようと願う。


「ふわっ」

不意にリーゼが声を上げ顔を赤くする。


「どうしたのリーゼ」

「何か変化を感じましたか?」

僕とクラウの言葉にモジモジしながら「気持ちよかった…」とつぶやくリーゼ。


そして能力板(スキルボード)を僕らにも見えるように出し、ガッツポーズした後、飛び跳ねて喜んでいた。多分譲渡が上手く行ったのだと思うが、能力板(スキルボード)も揺れて確認できない…


「リーゼ、落ち着いてください。能力板(スキルボード)が見えません!」

「はーい」


そして改めて確認すると、しっかりと[突く/Lv1/強烈な一撃]と書いてあった。


「アレス、念のための検証です。[隠蔽]を私に…」

「ちょ」

そう言って僕に抱き着いてくる。


「いや、手を握るだけでも譲渡は発動するy…」

「いいから早く!私に、下さい!」

その勢いに押され、[隠蔽]を譲渡しようと願う。


…強く願う。

…思いっきり願う。


どうやらそれは無理なようだ。


「クラウ?やっぱり無理だったよ」

「うー」

クラウがリーゼのように拗ねた声を出しながら手の力を強めている。思わず頭を撫でると、ゆっくりと離れてくれた。クラウにあげるためのスキルを頑張って集めよう。


そしてリーゼも頭を差し出すので同じように撫でる。


「じゃあ、行きましょうか」

冷静に戻ったクラウの合図で今度は全員で森へと歩き出した。


◆◇◆◇◆


「凄いよこれ!」

リーゼが[突く]で森ゴブリンを粉砕して喜びの声を上げている。明らかに無慈悲な攻撃だ。リーゼならスキル無しでも瞬殺だろうに…


「リーゼ、あまり奥へは行かないでくださいね。もうそろそろ中層まで入ってしまいますから!」

「はーい!」


テンション高めのリーゼが飛び出さないように注意をしつつ、魔の森の外周と浅い層で狩り続ける僕たち。クラウは[風牙]を主に使っていたのでLv2へとレベルアップして少し機嫌が良くなったようだ。


木陰に隠れる森ゴブリンには多少苦労したものの、結局手に持つ短剣で「ギギャー!」と奇声を上げながら攻撃を仕掛けてくるのでスパっと切り捨てる。[危険察知]というスキルを得ることができたので、これはぜひ集めねばと率先して狩っていた。


弓ゴブリンは分かりやすく木の上などに居るので、僕かクラウが打ち落とす。すでに討伐済みだったが、それでも[弓術]を一つ得ることができた。今度弓でも使ってみようかと思う。


グリーンスネークからは追加で2つほど[噛みつく]を得たが、使う気はない。使う機会があるとしたら、それは人間をやめる時だろうか?なんてことを考えていた。


グリーンスライムからは『魔』の能力玉が3つ出た。何気に魔力アップは嬉しい。


少し奥に入って狩ることになった石投げ猿は、本当に石を投げてくるので少し危険だと思ったが、[竜巻]で巻き込まれる程度の威力だったので、見える群れを殲滅するように狩っていった。

スキルは[投擲]を獲得。3つでLv3とアップしたので僕も石投げに挑戦しようと思う。ただ、あの投げた石はどうやら別のスキルでもあるのか、地面に落ちるとすぐに消えてしまった。

同じ魔物で複数のスキルが出ることもあるのか分からないが、それなりの数を狩ったのに[投擲]しか出ていないので無いのかもしれない。


飛びつき猿については、木々の間をうまく蹴りながらこちらへ飛びついてくるがスピードは無いので、タイミングを合わせて狩ることができた。[豪脚]というスキルでジャンプ力やダッシュのスピードが増した気がする。


湿地地帯では多少動きにくいが、それほど魔物が強くないのでやはり余裕はあった。


沼スライムからは[消化液]というスキルを得たが、取り扱い注意だろう。そんな液を飛ばしてくるので、回避には十分注意するよう2人にも伝えた。

スキルの効果の方は、試しに木の葉に駆けるとジュワっとした音と共に少し煙が出て焦げたように成る程度だったが、Lv2になると穴が開いた。消費魔力は10と多いが、使い道はなさそうだ。


発砲アリゲーターは大きな口を開け、バクンと打ち付けるようにして泥水を飛ばしてくるが、泥水に視界が遮られた隙に突進攻撃が行われるが、不快感の方が強かった。衣服に残る泥汚れが本当に不快だ。

鱗は固いが[カマイタチ]で充分切り裂ける強度で難なく狩ってゆく。スキル玉からは[噛みつく]が3つ…死蔵スキルが被るという事態に、何とも言えない気分になった。


そして何度かビッグビーの群れに襲われる。

木の上に巣があるようで、そのエリアに足を踏み入れると一斉に攻撃してくる30cm程の蜂の群れ。正直怖すぎるが、僕の[竜巻]とクラウの[風牙]により殲滅してゆく。

毒は無いとはいえ、お尻にある太い針をこちらに向けてくるのだから、一斉攻撃で外殻がすぐに全損してしまいそうで恐怖感が半端なかった。

スキル玉からはなんと[突く]が出て思わずガッツポーズした。全部で3つ。それを聞いた時のリーゼの喜びようと、クラウの少し悲しそうな表情は印象的ではあった。


――――――

アレス クラス:大盗賊 Lv50

体力350 魔力350 外殻340

力41 硬41 速11 魔41

――――――

Up [弓術/Lv3/弓術の扱いがうまくなる]

Up [噛みつく/Lv3+2/鋭い牙で噛み砕く]

Up [投擲/Lv3/投擲の扱いがうまくなる]

Up [突く/Max+3/強烈な一撃]

New [危険察知/Lv3/身に及ぶ危険を察知する」

New [豪脚/Lv2/脚力強化」

New [消化液/Lv2/強い消化液を放出する」

――――――


昼食も忘れ狩りに没頭していた僕たちは、とりあえず焼肉だろうとあの乗合馬車に乗り込み宿まで戻ってきた。

そして泥汚れなどを落とすためシャワーを浴びる。


もちろん2人を優先したのだが、バスルームに入る際にクラウに「一緒に入る?」と言われたので、「揶揄わないでよ」と返すと笑みを浮かべて扉を閉められた。本気にすると火傷してしまうからね。


泥だらけのため座ることもできず、立ったまま待っている僕。幸い2人もすぐに出てきたので入れ替わるようにバスルームと入り、やっとさっぱりすることができた。


------------------------------------------------------------

王都北西部・魔の森・外周 木々が生い茂った森エリア


森ゴブリン

木陰に隠れる潜伏能力がある。奇声を上げて短刀で攻撃してくるのでそれほど怖い敵ではないが、油断は禁物である。固有スキルは[危険察知]。素材は小さな魔石のみ。


弓ゴブリン [弓術]

※既出魔物の[]内は取得可能な固有スキル


グリーンスネーク

2mほどの緑の蛇。地面や木の上にもいるので注意が必要。固有スキルは[噛みつく]だが、消費魔力は今のところ不明。素材は小さな魔石。肉も家畜のエサになると言うが単価は安い。


グリーンスライム

何の変哲もないスライム。飛び掛かってくるがあまり早くはない。『魔』の能力玉が出る。素材は小さな魔石のみ。



王都北西部・魔の森・浅い層 ※湿地帯あり


石投げ猿

群れで出現し、スキルで生成した石を投げてくるので注意が必要。固有スキルは[投擲]。投げた石は地面に落ちるとすぐに消える。素材は小さな魔石のみ。


飛びつき猿

木々の間をうまく蹴りながら飛びついてくるが、それほど早くはないが、群れで襲ってくるのでそれなりの危険はあり。固有スキルは[豪脚]と言うスキルでジャンプ力やダッシュのスピードが増す。素材は小さな魔石のみ。


沼スライム

湿地帯に生息して忍び寄る。時折、固有スリクの[消化液]を飛ばしてくる。消費魔力は10。素材は小さな魔石のみ。


発砲アリゲーター

大きな口を開けバクンと打ち付けるようにして泥水を飛ばしてくる。視界が遮られた隙に突進攻撃が飛んでくる。その鱗はそれなりに固い。固有スキルは[噛みつく]で消費魔力は今のところ不明。素材は小さな魔石とお肉が少々。


ビッグビー

木の上に巣がありそのエリアに足を踏み入れると一斉に攻撃してくる30cm程の蜂。お尻にある太い針をこちらに向けての一斉攻撃は注意が必要。固有スキルは[突く]。素材は小さな魔石のみだが、群れを殲滅すると巣から良質なハチミツが取れる。大きさにもよるが金貨1枚程度と、それなりの金額で買取がある上、巣をそのまま回収してもすぐに巣が復活するので、全滅後には必ず回収しておきたい。

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