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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第四章 アレス、王都での楽しき日々

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43 ちょっと存在感が薄くなった様な気がします。

翌朝、朝食前に部屋で2人と話し合う。


ダンジョンワープの事も伝えたが、年明けの護衛任務の下準備として、今日明日を使って森の下見に行こうという話となった。

それならばとすぐ近くの風見の塔も覗くことにして、明日そのまま魔の森を探索することにした。


王都の中心地から出ている乗合馬車で10分程度。

10kmほど西側に離れているはずだが、乗るのは冒険者ばかりということでかなり飛ばしていた。お尻が痛いし若干気持ち悪さがある。まあこれで一人銀貨1枚だというのだから、文句も言えないだろう。


乗っていた冒険者は10名ちょっと、僕たちが降りると塔の前で待っていた5人の恐らく同じパーティの冒険者たちが乗り込み、また猛スピードで帰って行ったので、それなりに儲かるのだろう。


「風見の塔は見た目の何十倍もある広大な各階層を登って行くようです。現在は18階層までは確認されています。内部は全てレンガ造りの広い通路となっており、風見の塔用のダンジョンワープでのみで移動が可能です」

そう言って袋から風見の塔用であろうダンジョンワープを取り出すクラウ。相変わらず事前情報もバッチリである。


「1階層はゴブリンやスライム、迷宮ウルフなどの一般的な弱い魔物が多数。まだ遭遇していない魔物ということであれば…アレスは土蜥蜴は倒したことがありますか?」

「うーん、岩蜥蜴なら確かモレノの迷宮で倒したけど…[物理耐性]持ちだったかな?土蜥蜴は無いよ」

とにかく新しい魔物への期待度は高い。とは言え弱い魔物だからね…過度な期待は止めておこうかな?


「では、それも楽しみではありますね。あとコボルトは[剣術]ですよね。狩れるなら狩っておきましょう。低階層であれば基本魔物に不覚を解くことはないですし、1階層なら即死クラスの罠は無いので大丈夫でしょう」

「えっ、罠まであるの?」

罠があるのはかなり面倒だな。


「はい。できれば[危険察知]か[罠看破]など、盗賊クラスのスキルも欲しいですが…」

それには苦笑いするしかなかった。


こうして塔へと入ってゆく僕たち。

すでに一緒に降りた冒険者は中へ入っている。そう言えばその冒険者達には、クラウの説明を受けている僕たちには、優しい笑顔が向けられていたことを思い出す。初心者扱いされているんだろうなと理解はしている。


僕たち、もうブロンズ級なんだけどね。


気を取り直して中へ入ると、さすがに初心者御用達の低階層。冒険者はあまり見かけ無いようだ。かなり広いエリアだと言っていたのでその分ばらけているのかもしれない。

すぐにスライムやコボルトに遭遇した。


スキルも使わずそれらを叩いてゆく。最初の一体を狩った時に当然の様に気づいたが、この塔内の魔物は倒し終わると魔石を残して全て消えてしまうようだ。便利なような少し寂しいような…

クラウは『稀に魔石以外が残ったことも』と書いてあったと言っていた。

すでにLv3になった僕の[剣術]は中々様になっているなと自画自賛しておいた。リーゼはかなり羨ましそうだった。


ドンドン狩りを進め、ようやく見つけた土蜥蜴。壁に張り付いた30cm程の茶色い体。塔のレンガと同化して見つけにくい。

少し緊張しながら剣を構え向かってゆく。飛ばしてくる泥を躱して叩き切る。その時点で泥飛ばしみたいなスキルは嫌だなと思ってしまった。出てきたスキル玉をつんしてみる。


―――スキル[隠蔽]を覚えました。

New [隠蔽/Lv1/姿を隠し敵を錯乱させる]


「[隠蔽]だってさ。姿を隠し敵を錯乱させるのか…こうれは、使えるのかな?」

その説明にクラウが「早く使ってみてください」と急かす。


使用するが僕自身は何も変化を感じなかった。消費魔力は5となっている。


「なんだか、ちょっと存在感が薄くなった様な気がします。そのまま動かないでくださいね。試しに少し離れてみます」

そう言って距離を取ったクラウが、僕から視線をはずしてからその視線を戻す。そしてまた傍まで戻ってきた。


「離れてもそれほど変化はありませんでしたが、一旦視線は外すとどこに居るのか分からなくなります。そこに居るだよなって強く思うと段々と認識できるようになる感じでしょうか?」

その説明に何となくスキルの効果が分かった僕は、これはもう少しレベルを上げても良いスキルなのでは?と感じた。


その後、リーゼも同じことを試し、驚き喜んでいた。

効果は1分程度で消えたようで、途中僕が動くと認識しやすくなる。さらに音を出すとすぐに認識されてしまう。今後に期待したいスキルではある。


その後も狩りを続け、昼食をはさみ夕刻には入口まで戻る。


今日の成果は[剣術]が1、[隠蔽]が2となった。


――――――

Up [剣術/Lv3+2/剣の扱いがうまくなる]

Up [隠蔽/Lv2/姿を隠し敵を錯乱させる]

――――――


塔の傍でそれなりの人数が野営の準備をしていたので、少し離れた場所に魔法の袋から出したテントを設置する。今日は魔法の袋から出した食事をクラウの[火炎]でつけた焚火で軽く温める。


野営でも温かい食事がとれるのは嬉しい。今度から迷宮内でもこうすることを考えてみるが、もうすぐ時間停止付きのバッグを購入予定なので、その時は温かい食料をそのまま入れておこうと考え直した。

だが狩った魔物でその日のうちに焼肉、なんてのもいいな…夢は広がり彼是考えながら、夜が更けてゆく。


そしてまた、以前のように狭いテントに3人が並び毛布に包まった。


「明日は森の方を下見で良いのですよね?」

「そうだね、想像以上に広かったから、2階層まで進むとなると中で寝泊まりか、帰還札とダンジョンワープを利用することになるし…低階層だと完全に赤字だよね」

「見た目が変わらないから飽きるよね」

今日の総括を小声で話す。素材は魔短剣用に少し屑魔石を拾ったぐらいだ。


「でも、ぶっちゃけ殿下の実習とか風見の塔でもいいんじゃないかな?って思った」

「王族としては迷宮とかよりも、森の様に足場や視界が悪い場所に入る機会も多い、ということでは無いでしょうか?無理に迷宮などに入る必要はないのですから、他国への訪問や、戦なんかだとそれに近い立地に入ることもありえそうです」


クラウのその考察に、リーゼはもちろん僕も感心してしまう。将来を見据えた実習なのだろう。王族も案外大変なんだなと感じた。


そしてさすがに外へ漏れ聞こえるこの状況で歌うのは避けたかったので断固拒否し、その代わりにと[回復]を何度も使い、ようやく2人を寝かしつける。

何か他の方法が無いかな?とまだ得ぬスキルに期待を寄せつつ、魔力切れと共に僕も眠りについた。


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王都・風見の塔

王都の北西部。ギルドのある北東部の西側にある不思議な塔。見た目の何十倍もある広大な各階層を登って行く。現在は18階層までは確認。内部は全てレンガ造りの広い通路となっており風見の塔用のダンジョンワープでのみで移動が可能。塔内では魔物を倒し終わると魔石のみがドロップして他の素材は残らず消える。稀に魔石以外の物が落ちることもあるらしい。この塔の背後には魔の森が広がっている。


王都・風見の塔 第1階層


ゴブリン [臭気耐性] / スライム [物理耐性] / コボルト [剣術] / 迷宮ウルフ [疾風]

※既出魔物の[]内は取得可能な固有スキル


土蜥蜴

塔の壁に張り付くようにしてレンガに同化しているため発見しにくい30cm程度の蜥蜴の魔物。近づくと泥を飛ばして攻撃してくる。顔に張り付いた泥はかなり臭いらしい。

固有スキルは[隠蔽]。消費魔力は5。認識を下げる効果があるので本当に発見が困難な場合もある。

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