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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第三章 アレスの新たなる力

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33/164

33 ふぁーーー♪ふぁふぁーーあーー♪

「うわっぷ!」

危うくゴブリンと口づけをするところだったが、なんとか体を捻って回避した。


消費魔力は5だし、威力としては申し分ないだろう。一撃でゴブリンの体は爆ぜ、爆ぜた肉片と体液、それと魔石だけが残った。もうこのスキルは封印しようと思う。


「アレス…匂いますよ」

「臭い…」

体液まみれの僕であったが[臭気耐性]があるので匂いはしない。そう言えばこれってゴブリンのスキルだったな…とは言え2人が距離を取るので早急に体を洗いたい。


落ち込みつつも暫く歩くと湖を見つけたので走り出し飛び込んだ。


「ふう。さっぱりした」

「まだ、匂いますがさっきよりはましの様ですね」

クラウにくんくんされてしまった。早く石鹸で全身ゴシゴシしなくては…


そして見つけたブラックシープ。呑気に湖で水を飲んでいる。


よし![カマイタチ]で一気に…と思ったらクラウの[風牙]により首が落ちた。僕が前に突き出した右手をゆっくり降ろし、ため息をついている間にクラウがスキル玉を嬉しそうにつんしていた。


―――スキル[眠りの歌]を覚えました。

――――――

[眠りの歌/Lv1/治癒効果もある眠りの歌声]

――――――


「[眠りの歌]だってさ。治癒効果もある歌声ってなんだよ…」

「ブラックシープはたまに歌うとありましたが…眠らせて襲うのですね…治癒効果があったとしても怖いですね」

なるほど。今回は不意打ちだったから良いけど、群れだったりすると結構危険な魔物なのでは?


「アレス、歌ってー」

「えっ?嫌だよ」

リーゼのお願いには恥ずかしいので拒否をして、黙々と解体し羊肉を魔法の袋に入れた。羊毛も安いが売れるというのでついでに回収しておいた。


これで猪肉と羊肉が手に入った。一度味わっておきたいところだけど僕たちに料理スキルはないからね。宿の食堂にでも聞いてみようかな?あっギルドでも聞いてもいいのか。


その後、何度か討伐を繰り返しつつも10階層まで進む。

ブラックシープは時折綺麗な歌声を僕たちに聞かせてくれた。眠気を堪えて足元をふらつかせていると、ものすごい速さで逃げて行くブラックシープ。

なるほど低階層であっても脅威とはならない魔物である理由が分かった。眠らせるのは逃げる時間を稼ぐための様だ。


そして夕刻を過ぎた頃、それなりのお肉が取れたので帰還札で帰る。それを考えたら赤字だけれどまあ良いだろう。そう思いながらもギルドの解体所にお肉を提出した。


「どうだった初めての大迷宮は?」

「それほど手応えは無かったので、時間が取れる時に20階層まで行ってみます」

受付のリオールさんから、買取報酬の金貨3枚を受け取りながらそう答える僕。


10階層までの魔物のスキルは大したことは無いから、11階層からの魔物に期待したいとも思ってはいるが…できれば休憩ポイントまで移動して、そこから20階層に戻ったりして狩り進めたい。

稀に出るゴールデンエルクが美味しいというのでぜひ味わいたいと思っている。もちろん宿でも食べることは出来ると言うが、やはり自分で狩った魔物を食べてみたいのだ。


ついでにお肉を調理してくれるところを確認すると、近くに持ち込みOKの焼肉屋があるからそこがおすすめと言われた。解体調理と秘伝のタレに若干お金を取られるが、宿で頼むより格段に安いだろうと。


一旦宿に戻ってバスルームに駆け込み、全身を泡まみれにしてシャワーで洗い流す。さすがに匂う体でお店に入る気はない。


「うん!いい匂い!」

リーゼのクンクン攻撃に赤面しつつその焼肉店に移動する。


その焼肉店『焼肉のバハムート』という可笑しな名の店内に入ると、夕刻をかなり過ぎた時間だがエールを飲み始めた見た目が冒険者の人達でにぎやかだった。そしてお肉の匂いにお腹が鳴りそうに感じた。


そして初めてのお肉に興奮しながら食べ過ぎたお腹を押さえ、宿まで戻る3人だった。羊肉は最高です。


――――――

Up [物理耐性/Lv3+2/殴られてもへこたれない]

Up [臭気耐性/Lv3+2/もう匂わない]

New [突進/Lv2+1/強烈な突進攻撃]

New [眠りの歌/Lv3/治癒効果もある眠りの歌声]

――――――


「はー、お腹いっぱい!」

バスルームから戻ってきた2人は良い香りをさせてベットに横になっている。僕も体に着いたお肉の匂いを落とすべく再びバスルームへ。かなり眠気が凄い。今日こそちゃんと寝てしまおう。


そして手早くシャワーを終えると、2人がガバリとベッドの上で起き上がりこちらを見ている。


「アレス!歌!」

「へっ?」

「アレス、今日は[眠りの歌]の検証してませんよね。だから、使ってみてはどうでしょうか」

なるほど…検証は、大事だよね。


「そう!検証は大事!あれに歌われたら凄く気持ちよかった!今ならもっと気持ちよくなれるはず!」

リーゼの言葉にまたもドキドキしてしまう。


たしかにブラックシープから繰り出された歌は、眠気と共に[回復]にも似た安らぎを感じた。迷宮内ならいざしらず、安全の確保されたここでなら…と思ったが、これって僕自身にも効くのだろうか?


そう思いながらも歌を発動させようとすると、「ファーーー♪」と変な声が出たので思わず止めた。恥ずかしすぎるんだけど!


「なんで止めちゃうの?ちょっと気持ちよかったのに!」

「そうですよ。無駄打ちは良くないです」


2人はそう言いながら、布団に潜り込んだ。

どうやら準備万端のようだ。


仕方なく歌を再度発動する。ちなみに消費魔力は20だった。これは夜にこうやって使う専用になりそうな予感がする。


「ふぁーーー♪ふぁふぁーーあーー♪」


恥ずかしすぎる。

それでも2人は安らかな顔を浮かべ布団から出ている顔の部分が[回復]と同じように緑の光に包まれている。2人からはすぐに寝息が聞こえている。


まあ、喜んでくれたようで良かった。2人の寝顔を見ながらそう思い、その2人を起こさぬよう、ベッドの真ん中を静かに這って布団へと潜り込んだ。

幸い眠気が限界だったのかすぐに意識は遠のいていった。


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ユルレイヒル大迷宮/1~10階層

ワイルドボア

赤毛の全長1m程の猪。固有スキルの[突進]で体当たりを繰り出す。油断すると痛い目を見るよ。素材は小さな魔石とお肉。お肉は少量だが美味。


ブラックシープ

黒い毛に覆われた羊。大きさはワイルドボア同様に全長1m程。固有スキルの[眠りの歌]により眠らせると逃げてゆく。攻撃は突進攻撃だがあまり強くはない。噛まれると結構痛い。素材は小さな魔石とお肉。お肉はかなり少量だが癖がありかなり美味。

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