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雪の華  作者: おもち
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9.雪 part3

 たらふくステーキを食べ、食後にアイスも頼み、満腹になった雪は処理班の面々と分かれると自宅へと帰り、寝間着に着替えることもせずにそのままベッドへ潜り込んだ。


 夜の6時。

 再びかかってきた本部からの連絡を目覚まし代わりに目覚め、その要請の通り、夜中の雪山へと来る羽目になった。

 

 当初は中級の魔物一体だけのはずだったのに、人間の男性を助け、挙句の果てに魔物をもう一体駆除する羽目になった。


 今日は、お休みの日だったはずなのに。

 雪は魔物と対峙しながら、そうぼやく。


 うーん、それにしても、あの涼太とかいう男は、どうしてそこまで魔法使いになりたいと思ったんだろう。


 雪からしてみれば、人間のほうがよっぽど有意義な生活を送っている。

 大人になる、それに伴って自分の役割を見つけ、自分らしく生を全うするのだ。

 もちろん、退魔師の中でもトップレベルの実力を持つと言われているのだから、自分だって役割を見つけられてはいる。

 だが、有意義かと言われればいささか疑問が生じた。


 退魔師は、人間の命を救うために命を懸けて戦う戦士のようなものだが、それを人間が認知することはない。

 人間からの感謝も得られず、ただ黙々と目の前の敵を倒すだけ。


 目の前の白い雪が、赤黒く染まるのをぼうっと眺める。

 今日でもう3回もこの光景を見た。

 1か月、1年、この仕事を辞めるときには、何度この光景を見るんだろう。


 魔物の正体が、未だはっきりとしていない今、魔物を倒すことができない人間に魔物のことを認識させることは、かえって国民を混乱させてしまうとの取り決めの元、魔法界の存在を公表することは国が禁止している。

 

 涼太って人も、あんなに魔法の世界に憧れていたのに、結局コテージに戻される時、記憶を消されてしまう。

 

 現実は知らないほうが良かったりするんだよね……。

 そう言いながら、雪は今日何度目かわからない、本部への連絡のために、耳に手を当てるのだった。

 

 

 

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