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雪の華  作者: おもち
7/18

7.雪

雪に焦点を当てたお話を3話連続で投稿いたします。

 今日は、土曜日。本当だったら雪は休みのはずだった。

 それなのに、朝早くに本部からの連絡でたたき起こされて、魔物の駆除に駆り出される羽目になるとは。

 時計は朝5:30を指している。


 せめて朝ご飯くらいは食べさせてほしかった。

 本当に人使いが荒い組織だ。


 洗面台の蛇口をひねる。

 ジャー……。


 流れ出る水を手ですくう。


 「冷た……。」


 思わずそう呟いた。

 しばらく待っていればもちろんお湯が出てくるが、それを待っている時間さえ惜しかった。


 10分で準備しろ、本部そう言われたからだ。

 

 雪は魔法界ではかなりの実力を持った退魔師だ。

 その実力は、魔法界に3人しか存在しない殿堂級と呼ばれる階級に分類されている。


 そのため、雪は魔物の駆除要請に日夜追われていた。

 

 それにしても……と、雪は顔を上げる。

 目の前には鏡に映った自分の姿。

 背中の中頃まで伸びた黒色の髪を無造作にヘアクリップで留め、部屋着を着崩した色白の少女と目が合う。

 整った顔立ちであるからこそ、自分のクマがより一層浮いて見えた。

 

 本部と呼ばれる退魔師たちを統率する「司令部」。

 人員不足が大きな課題となっている退魔師と、それと比較して年々増加し続ける魔物。

 その穴を埋めるためにも本部からの要請が増えることは、まぁ、まぁ許容できなくもない。


 でも、それにしても、さすがに働かせすぎなのでは……。


 はぁ……。

 思わずため息が口をついて出る。

 いや、さすがに私にも人権はある。

 人間界にいたら労働基準法とやらで訴えられるぞ。

 

 雪自身、お給料がたんまり貰えるから文句も程々に出動してはいるものの……。

 お金たまったら、こんなところ絶対にやめてやる。


 冷水を浴びながら、そう心に誓うのだった。 

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