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記憶
それから優羅は医者の佐枝 愉香里に検査を受けた。佐枝が優羅に幼少期の記憶などを聞いて紙に書いていった。すべての聴取を終えると佐枝はしばらく考えて顔を上げた。
「一部記憶が欠如してんね。まあそれ以外は大丈夫だと思うけど。」
「記憶?!」
「幼稚園、小学校、中学一年生までの記憶はあるようだな。」
確かにそういわれてみればそうだ。なにかはわからないが何かが欠如している。
「私は柊斗に報告しとくから。なにかあったらそこのボタンを押してくれ。すぐに駆け付ける」
そうして佐枝は保健室から出て行った。その途端、優羅に眠気が襲い掛かりベッドに沈み込んだ。
「柊斗、あの子、記憶が欠如してる」
「詳細」
神速と佐枝が椅子に座り神速は長い脚を組んだ。
「あの子の両親についての記憶がすっぽり抜けてる」
「ショックでかな」
「ありえなくはないな」
神速が何かを話そうと口を開けた瞬間、アラームが響き渡った。その途端、佐枝の目の前にいたはずの神速が消えていた。それを確認した途端、懐かしい魔力を感じた。