始まり
「お父さん、なんでいつも帰りが遅いの?」
「お父さんは頑張ってるんだよ。みんなを守る、ヒーローだからね」
「そーなんだね」
「~、星空見に行こっか」
「~はね、宇宙みたいな雄大な人になるんだよ」
でも絶対にお父さんみたいに~を犠牲にしたら駄目だからね。
優羅は勢いよく体を起こした。よく分からない夢に優羅は強く不快感を覚えた。ここはどこなんだ。優羅はキョロキョロとあたりを見渡した。白、白、白と全面白だ。そしてこの少しツンとくるこの独特な匂い。病院か保健室か。優羅がそんなことを考えているとカーテンから顔が出てきた。
「うお!!!」
優羅が声を上げた。すると顔は無表情のままカーテンを開いた。若いな。
「起きましたか。ならばさっそく説明を始めましょう」
そういって若い人が淡々と話し始めた。
「まず僕は魔術習得学校の教師をしている神速 柊斗です。そしてここはその魔術習得学校の保健室ですね。そしてあなたはここに入学してもらいます」
「はい?強制ですか?」
「当たり前ですよ。もうあなたは元の生活はできなくなってしまったので。では僕がここで」
そう言って神速さんはカーテンを閉めて出て行った。なんなんだ。あの人は。
「嵐かよ」