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神は燃え尽きた

作者: 霜野由斗

 近頃、地球は熱くなっているらしい。

 確かに、私の身が置かれているこの現状を目の当たりにしていると、否定はできない。

 しかしその一方で”むしろ地球は寒冷化している”という説もあるそうだ。

 今から約7000年前にもなる縄文時代の平均気温は、数年前のデータと比べても約2~3℃程高く、海面の高さに関しても約3~5m程高かったというデータもある。

 また、日本における慢性的な気温上昇の原因は、地面一帯をアスファルトにしている事から発生する、ただの”ヒートアイランド現象”ではないかと唱える人物も見たことがある。

 だが、例えそれが事実であったとしても、私にとってはどうでもいい事だ。

 私が住んでいる地域の気温が上昇しているという事は、紛れもない事実である。

 いくらその数千年前の気温が現代よりも高かったとして、一体それが何の解決を生むのだろうか。

 まるで自分の悩みを友人に打ち明けたら、その友人から「君よりも苦労している人物はたくさんいるんだ。だからそんな事でくよくよするな」と返されたような気分だ。

 いくら数多くの他人が私よりも苦労しているからと言って、私が”苦労している”の内に入らないとは限らない。

 もしそれが真実であるのならば、この地球上で”苦労している”と主張できるのは、紛争や貧困に苦しんでいる児童しかいないという事になってしまう。

 それは、下手すれば今以上に息苦しく、排他的な思想を蔓延させる世の中になる事だろう。

 現代の異常が、7000年前の日常であろうがなかろうが関係ない。それが、現代の私たちにとって許容できないほどの負担となっている事もまた、紛れもない事実であるのだから。


 まあ、今となってはその7000年前の気温ですらも、生温いと思えてしまうほどの有様になっているのだが。


 2145年 8月15日 この地球は度重なる戦乱によって、すっかり荒れ果ててしまった。

 また、化学兵器の乱用が原因となり、急激な気温の上昇や、干害などの自然災害が頻発するようになってしまった。

 現在この地球は華氏451℉、摂氏にして約233℃。

 正真正銘、神すらも燃え尽きたこの荒れ果てた大地の上で、私はただ呆然と立ち尽くしたまま、照りつける日差しの中へと溺れていった。

本作品を読んでいただきありがとうございます。感謝します。

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