嫌い、嫌い、嫌い……
夜は嫌い。
お友達に会えなくなるから。
夜は嫌い。
お外で遊べなくなるから。
夜は嫌い。
真っ暗でオバケがいそうだから。
夜は嫌い。
早く寝なさいって怒られるから。
でも、今日は――
何だかいつもと違ってた。
いつもより、早めの晩ごはん。
いつもより、早めのおやすみなさい。
いつもなら、まだ起きていても良い時間なのに。
ママもパパも、急かすように私をベッドに連れていく。
「ほらほら、せいなちゃん。 今日はもう、今の内に寝なさい」
「そうだぞ、早く寝ないと起きられないぞ?」
まだまだ遊びたいのに。
まだまだ眠くないのに。
だから、ママもパパも大嫌い。
それでもママの子守唄を聞いてると眠くなってくる。
それでもパパが頭を撫でてくれると眠くなってくる。
夢の中で、私はイルカと一緒にお空の海を泳いでた。
きらきら光るイルカに掴まって。
ざぶざぶ ざぶざぶ ばた足で。
向こうの海にはシッポのながーいお魚がたくさん泳いでる。
あっちにピュ~ン。
こっちにピュ~ン。
たくさん たくさん 泳いでる。
向こうの海にも行ってみよう。
きらきら光るイルカに掴まって。
ざぶざぶ ざぶざぶ ばた足で。
「せいなちゃん。 せいなちゃん。 起きて」
もうすぐ着くかな? と思ったら。
優しく私を呼ぶ声が聞こえて来て、イルカもお魚も消えちゃった。
「まだ、お外真っ暗だよ?」
「いいのよ。 さぁ車を降りてみて」
ママに手を引かれ、車を降りた私は、周りを見てビックリ。
「すごい! 夜なのに明るいよ!」
小さなお山の上。
お空にはいーっぱいのお星さま。
「さぁ、そろそろ始まるよ」
パパの言葉が合図になって、お星さまがピュ~ン。
それはまるで、さっき見ていた夢のよう。
「うわぁ! すごい! すごい!」
きらきらきらりん お星さま。
シッポのながーいお魚みたいに。
あっちにピュ~ン。
こっちにピュ~ン。
たくさん たくさん 泳いでく。
少し離れたお空の海には、きらきら光るイルカもいたよ。
私も一緒にいるのかな?
「流星群、見れてよかったな」
「そうね。 星流ちゃんに見せてあげたかったの。 流れ星、綺麗でしょ?」
「うん! すっごくきれい! パパ、ママ、ありがとう!」
今でも、やっぱり少し、夜は嫌い。
でも、きらきらイルカのお友達に会えるかも。
今でも、やっぱり少し、夜は嫌い。
でも、お空の海でたくさん遊べるよ。
今でも、やっぱり少し、夜は嫌い。
でも、たくさんのお星さまが照らしてくれたら、オバケも怖くない。
だから、少しだけ。
前よりちょっとだけ。
夜も好き!
パパとママは、だーいすき!