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streamer  作者: 猫犬古
8/11

事件 2

 外に出ると、建物が所々倒れていた。

 この後も家が壊れてないといいなと思いながら避難所へ向かう。

 避難所は近所の学校で、少し古めだが崩れる可能性は低いそうだ。

 そんな事を考えていると、何か人の声の様なものが聞こえた気がした。

 辺りを見回すが、誰もいない。

 この辺りは災害があった時の道具とか準備してる人多いから、早めに向かったのかもしれない。

 とりあえず俺は、声の方へ向かった。

 

「ここか。」


 声は、すでに半分ほど崩れた家の中から聞こえた。

 通報しようと思ったが、これで下敷きになっているなら待っているだけでお陀仏だ。

 俺は中に入ることにした。

 すると声が近づいてきて、はっきりと「助けて」と言っていることがわかった。

 少し急いだ方が良い。

 それから1分ほど探して声の主を探し出した。

 と言っても姿は見えないのだが。

 声の主は俺と同じくタンスの下に居るようだ。

 低身長のよしみで助けてやろう。いや高身長でも助けるけど。


 「大丈夫ですか?今たすけます!」


 そう声をかけて、俺はタンスに手をかけた。

 ...つもりだったが、ご存知の通り、左手首は骨折している。

 片手で踏ん張ってもそんなんで持ち上がりそうにない。

 ...どうしよう。

 もう諦めて両手でやってしまおうか。

 でも悪化するよな。

 他の方法を探してみるか。

 そう思った瞬間タンスの中から、マジでヤバそうな声が聞こえた。


 「た...すけて...くる...し...」


 そうだ。

 この人を助ける為にここにいるんじゃん。

 折れてるのは手首だ。

 手首より手前側は折れてない。

 じゃあそこで持ち上げたら問題ない! (問題大有りなので真似しないでください。by作者)

 俺ってば天才! (ではないです。やるのは空想内だけでお願いします。by作者)

 俺は迷わずタンスに両手をかけた。

 

 「うおりゃぁぁぁぁ!!!!」


 タンスは両手でやっと少し持ち上がった。

 左手は死ぬほど痛い。が、ここで落とすと下のひとにトドメを刺すことになる。

 歯を食いしばってこの状態をキープする。

 どうかこの間に逃げてくれ!

 下から動いている人の気配がする。

 怪我をしているのか、そのペースはゆっくりだが、逃げてくれている様だ。

 しばらくして、痛みの感覚も麻痺してきたころに、


 「もう...大丈夫です...。」

 

 と人の声が聞こえた。

 俺は力が抜けて、タンスを落とした。

 そして後ろをふりかえる。

 道理で背が低いわけだ。

 小学生くらいの、女の子じゃないか。

 最後に見たのはそれだけ。

 それからは安堵と、ぶり返してきた痛みのコンボで、俺の意識はなくなった。

 ...

 

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