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二船駅の肆番線  作者: 仁羽 孝彦
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 日曜日の朝、宗一はアゲハにメールを送った。


『怪談ごっこは満足したか?』


 おそらく大丈夫だろうが、湯川家にご迷惑になっていないか気になりはする。


 確か夜の二時に四番線への階段が現れるという話だったから、夜更(よふ)かししてまだ寝ているのかもしれない。


 返信がいつになるのやらと思いながらリビングへと向かおうとしたところで、スマホの着信音が鳴った。


「早いな」


 寝坊助のアゲハにしては珍しいと思い、すぐさまスマホの画面をのぞいてみる。


『エラー:このアドレスは間違っています』


 宗一は思わず目を疑った。


 電話帳を開き、アゲハのアドレスを見つける。再び同じ内容のメールを送ってみた。


 すぐさま着信音が鳴った。


『エラー:このアドレスは間違っています』


 宗一は顔をしかめてしまった。


 アドレスを変えたのだろうか? 昨日の今日で?


 確かに、迷惑メールが頻繁(ひんぱん)に来るとアドレスを変えたくなるのは分かる。昨日突然頻繁に迷惑メールが来たとでも言うのだろうか?


 夜遅くにアドレス変更をしたから気を(つか)ってアド変の連絡を入れなかっただけなのだろうか?


 もやもやしながら、リビングへと向かうと、宗一の母である由美(ゆみ)が朝食の準備をしていた。


「おはよう、お母さん」


 声をかけられた由美はにっこりと微笑みながら「おはよう、宗一君」と返した。


「ねえ、お母さん。アゲハちゃんから何か連絡来てない?」


 由美は朝食の準備をしていた手を止めて、キョトンとした顔で宗一に顔を向けた。


「アゲハちゃんって?」


「ほら、昨日、友達の家に泊まりに行くって言ってたじゃん。どうもアド変したみたいで連絡がつながらないんだよ。お母さんは何か聞いてない?」


 テーブルに座って朝食が並ぶのを待っている宗一に由美は困ったような顔を浮かべていた。


「アゲハちゃんって誰?」


 その言葉に、今度は宗一がポカンとしてしまう。


「いやいや。お母さんの娘の名前でしょ。忘れてあげるなよ」


 思わず苦笑と失笑が混じった笑いをこぼしている。するとそれに(こた)えるように由美も笑った。


「うふふ、何を言ってるの。私に娘は居ないわよ」

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