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35 ロンの決断

さてロン達は北の氏族の集落に辿り着きます。

ロン達一行は峠の森の北部に差し掛かった所まで進行したが、そこで日が暮れてしまったので北の氏族の集落の手前の峠にて歩みを止め、野営をする事に決めた。


「皆さん、すいませんね。本当は今日中に峠を越えてしまいたかったんですがね。

いやぁ、寄る年波には勝てませんね。」


ルドガーはそう言って手頃な石の上に腰を下ろす。それに続いてグリエロも膝を摩りながら腰を下ろす。


「いや、俺も限界だ。ちょいと休ませてくれ。ずいぶんと調子は良くなったんだが、まだ山道はきついな。」


そう言ってグリエロは膝を投げ出すと、ルドガーが「よし、診ましょうか」と腰を上げようとする。


「あー。いいよ爺さん。あんたも疲れてんだろ。

おい! ロン。お前さん、ルドガー爺さんの足の一つでも揉んでやれ。按摩の修行してんだろ。」


ボサッと突っ立っていたロンは慌ててルドガーの下に駆け寄る。


「すいません先生、気がつきませんで... 」


「いえいえ、ロンさん私は自分で出来ますから、グリエロさんの施術をしてあげなさい。

彼には明日おおいに活躍して貰わなくてはなりませんからね。」


それを聞いたグリエロは「たまんねえな」と笑いながら両手でを挙げる。


そうこうしていると森の中からランペルが出て来る。その手には木の実や果実を大量に抱えている。


「ミナサン、タイシタモノハ、ヨウイデキマセン、デシタガ、オタベクダサイ。」


そう言って木の実や果実を皆の前に広げる。

それを見てロンも「ああ、そうだ」と独り言ちながらルックザックの中から干し肉を取り出す。


そうするとルドガーがヒクヒクと鼻を動かし「ほう」とため息をつく。


「これはノビルの実とカンの果実ですね。共に肉体疲労に効く食物ですよ。

流石はランペルさん、山の事に精通されている。」


「へえ、この短い時間でよくこれだけ集めてきたなぁ、さすが世界の果てまで行った冒険者だな。」


ルドガーにロンが感心すると、ランペルは恥ずかしそうに、森に住むコボルトならこれくらい当然の事だと恐縮する。


うって変わってグリエロはロンの取り出した干し肉を手に取り怪訝な顔をしている。

ルドガーもスンと鼻を鳴らし首を捻る。


「ロンさんの持ってきた干し肉はなんだろうね、薬効食材みたいな不思議な匂いがするね。」


「爺さん、それ偏に不味そうって言ってるようなもんだぜ。しかしロン、お前さんコレは、アレか... 」


「ああ、試しに子猫亭のデボラに言って作って貰ったんだ。こんな風にちょっと遠出をする事もあると思ってさ。

しかし干し肉にすると煎じた薬草みたいな匂いがするんだよな。不思議なもんだ。」


そう言いながらロンはキングディアの干し肉を嚙る。グリエロはつくづく不思議なものを見たと言った顔でロンを眺める。


「うん、味もそんなに悪かないよ。グリエロも食ってみろよ。」


そう言いながらロンはキングディアの干し肉にがっつく。キングディアの何処のの肉か良くわかっていないルドガーとランペルも干し肉に嚙りついている。


「ふむ、なかなかオツな味ですよ。

それに、オークに見つからない為にも、火を焚く訳にはいかないからね。干し肉でも木の実でもしっかり食べて明日に備えて力を付けないとね。」


それを聞いてグリエロも不承不承といった顔で干し肉を嚙る。


「フム。確かに味は悪くねえんだよな。

しかし、これがキングディアの一物だと思うと複雑な気持ちだな。」


「まあ、そう言うなよ。これ食ってると精もつくし、体力や傷の回復早いんだよ。

先生も今日は歩き通しで体力も消耗したでしょう? でも、コレを食べていたら疲れを明日に持ち越す事はありませんよ。」


それを聞いてルドガーは素っ頓狂な顔をするが、やにわに破顔する。


「ハッハッハ! これはキングディアの一物でしたか! 初めて食べましたよ。なかなか悪くない味だね。

私も色々なモノを食べてきましたがコイツは今まで食べたモノの中で一番の珍味だ。」


そう言ってルドガーはバリバリと干し肉を食べてしまった。

普段は森の中で木の実や果実を採って生活しているコボルトのランペルは、キングディアの肉など滅多に口にする事も無い様でひたすら感激している。


三者三様の反応を見せささやかな夕食を済ませる。

そうこうするうちに、辺りもすっかり日が落ちて暗くなった。


「さて、グリエロさんにロンさん、あなた方は先にお休みなさい。私とランペルさんで番をしておきますよ。

まあ、この辺り一帯に血の匂いも豚の匂いもありませんから、さほど心配しなくても良いでしょうがね。」


ルドガーはそう言って杖を自分の胸元に引き寄せて静かに屈み込む。

するとスッと気配が消え、辺りの空気と同化してしまう。


グリエロはそれを見て「っへ! すごい爺さんだな」と小さく独り言ちて、近くの木の根元に腰を下ろし腕を組み目を瞑る。

するとグリエロも気配が消える。


ランペルはというと、もとより森と同化している様なものなので、気配を消すと言うより周りと馴染んでいる。


ロンはそれを目の当たりにして、大変感心するが、この三者ほど気配の隠蔽に長けていない自分は良い的になるのではないかと一抹の不安が頭をよぎる。


それを察してかルドガーが周りに響かない不思議な声でロンを諭す。


「心配しなさんな、ちゃんと私が見張りをしてあげますよ。

またロンさんには気配の消し方も教えなくちゃあならないね。あなたはこういう物騒な事にも首を突っ込むんだ、気を操れる様になっておかないと、命がいくつあっても足りないからねえ。」


そう言ってルドガーはロンに睡眠を促すと再び気配を消し闇に紛れる。


ロンも地面に寝転び目を閉じると、緊張からくる疲労だろうか、直ぐに眠りに落ちてしまう。



翌日の早朝。ロンは頭をこ突かれて目を覚ます。


「おい、いつまで寝てやがんだ!?

お前さん熟睡してやがったな? しかしまあ、よくこんな敵地のど真ん中で熟睡出来るな、その胆力には感心するぜ。」


ロンは眠気目を擦りながら、腕を組んで大きな欠伸をするグリエロを見上げる。


「ああ、おはよう。ゴメンすっかり眠ってしまってたよ。グリエロも見張りをしてたのか、起こしてくれりゃ良かったのに。」


「何が、良かったのに、だ。そういうのは自発的に起きんだよ。

まあ、ほとんどルドガー爺さんとランペルが番してくれてたけどな。

しかし爺さんはすげえな。あとコボルトの事は良くわからんが、ランペルが言うにはアイツら夜行性なんだと。つーか、あんま眠らないそうだ。」


ロンは覚醒しきらない頭で、ぼんやりとグリエロの話しを聞きながらルックザックから干し肉を取り出して嚙る。


「おおい、何やってんだ。そんなもん歩きながら食え。もう行くぞ! 」


グリエロは元より、ルドガーもランペルも支度を済ませて出発しようとしている。

ロンは慌てて準備を済ませて彼らと合流する。



峠を越えると北の氏族の集落迄は下り坂だ。

皆の歩みも自然と早くなる。


「モウスグ、シュウラクデス。シカシ、キョウハ、カラダガ、カルイデスネ。アシガ、ハヤクウゴキマス。キンチョウシテ、イルンデショウカ!? 」


足取りも軽そうにランペルがそう告げる、しかしそれは緊張感から来るものではなさそうだ。ランペルの目は明るく輝き、毛並みも良い様な気がする。


「いえ、緊張感とは少し違うかもしれませんね。私もとても身体が軽い。仮眠しか取っていませんが非常に寝覚めも良いし、昨日の疲労も感じません。」


そう言うルドガーのつく杖の音も心なしか軽快である。昨日、疲れた顔で石に腰掛けていたルドガーとは違う、隣を歩くグリエロも同じく調子は良さそうだ。

それを聞いたロンは得意そうな顔をみせる。


「ね、言ったでしょう!? キングディアの肉を食べると精がついて身体の調子が良いんですよ。」


それを聞くグリエロも首を傾げながら同意する。


「まあ、そうなんだよな。ロンのいつも食ってるキングディアやキラーエイプのナニを食うと調子が良い様な気がすんだよな。

普通にキングディアのモモ肉なんか食ってもこうはならねえ。

う〜ん。おいロンよ、こりゃ発見かもしれんぜ。」


グリエロはそう言ってロンを見る。ロンはロンで笑顔でその言葉に同意する。


「そうだな大発見かも。そうなると、おすすめしてくれたデボラに感謝しなきゃいけないな。」


「そうだぜ、デボラも訳の分からない変わったモノを出してくる奴だが、感謝しねえとな。」


そう言ったたわいもない話しをしているうちに目的地の近くに辿り着いた様で、ランペルが歩みを止め皆に振り返る。


「ミナサン、コノサキニ、キタノシゾクノ、シュウラクガ、アリマス。」


そう言って木々の間を指差す。


北の氏族の長は他の二氏族と同様に文字や言葉としての名前を持たない。コボルトはお互いを匂い判別しているので個々の匂いという物がある種の名前の様なものになっているからだ。

そもそも名前を持つ魔物のほうが珍しいのであって、ランペルなどは非常に稀な存在と言える。


それはさておき、北の長は他の長達よりも多少は若いのであるが人語は解する様で意思の疎通は出来るのだが、コボルトにしては比較的に好戦的な様で素直にロンの言う事を聞いて村を捨て避難してくれるかどうかは分からない、と言うのは、ランペルの談である。


「まあ、何にせよ行ってみよう。オーク進軍の危機が迫っている事は伝えなくちゃならないし。」


そう言ってロン達一行は北の集落に入っていく。

木々を抜けると小さな広場が現れる。その真ん中には一匹のコボルトがこちらを向いて立っていて、その手には短剣が握られている。


そのコボルトはロン達一行の中にランペルを見つけると、幾分か警戒を解いて一歩前に出て来る。


「ヤハリ、ランペルサマ、デシタカ。

サキホドカラ、ランペルサマノ、ニオイヲカンジテ、イタノデスガ... 。

オナジク、ヒトノニオイモ、カンジテオリマシタユエ、ドウシタモノカト、オモッテオリマシタ。」


このコボルトは北の氏族の長であってランペルとは旧知ではある。

先刻からランペルの接近は匂いでわかっていたがそれと同じくして複数の人間の匂いも感じ取り、判断に窮したため一族は森に隠し一人で待っていたのだそうだ。


コボルト達の間でもランペルは、数百年前に人間と共に世界の果てまで旅したコボルトで、あまつさえ名前まで持っていると言う伝説的な存在である。

そんなランペルが人間と共に現れるのは何も不思議な事では無いのだが、ここ数日森の気配が騒がしく不穏な気配がするので大事を取って一族は少し離れた所に避難させたのだそうだ。


ランペルが心配ないと言うと北の長は音のしない空気だけが震える不思議な遠吠えをする。しばらくすると木々の間からコボルト達がぞろぞろと出て来て珍しそうにロン達を見つめる。


「ランペルサマ、タイヘンニ、シツレイナ、ムカエカタヲ、シテシマイマシタ、モウシワケアリマセン。

ワレラ、キタノシゾクハ、ミナサマヲ、カンゲイイタシマス。」


そう言って北の長は深々と頭を下げる、するとそれに続いて他のコボルト達も頭を下げだす。


ランペルは慌ててそれを制し、自らが此処に赴いた理由を告げる。

北の氏族の者達にも分かるようにランペルはコボルト語で話す。それはロン達には「ワンワン」だとか「ウーウー」だと言う様にしか聞こえないのだが、ランペルの話を聞いてる北の長の顔色を見ているとどの様な事を言っているのか大体はわかる。


北の長はがくりとうなだれ「ウ〜ワンワン」と短いコボルト語を発すると、ロンを見つめる。


「ロンサマ。ランペルサマト、ソノイチゾクヲスクイ、サラニハ、ワレラ、キタノシゾクマデ、タスケニ、キテイタダクトハ... 」


北の長はそう言うと「アオーン」と遠吠えする。そうすると後ろに控えていた彼の一族が一斉に膝をついて頭を下げる、それに続き北の長も膝をつき深々と頭を下げる。


それを見たロンは慌てて自らも腰を落として北の長を立たせようとする。


「いや、そんな大層な事はしてないよ、顔を上げてくれ。

それよりもオーク達が迫って来ているんだ、早くここから逃げ出そう。

ウンドの街の冒険者ギルドが保護してくれる。そこでゆっくり今後の対策を練ろう。」


そうロンが言うと長は立ち上がり頷く。

しかしその口から発せられた言葉はロンが想像していたものとは少々違うものだった。


「アリガトウゴザイマス、ロンサマ。

コドモ、ロウジントイッタ、タタカエナイモノヲ、ロンサマニ、オアズケイタシマス。」


「北の長はどうするんだ? 」と言うロンの疑問と困惑に長は決然とした面持ちで答える。


「ワタシハ、オサトシテ、ダイダイウケツイダ、コノモリヲ、マモラネバ、ナリマセン。」


北の氏族の長は、この森と共に生き育まれてきたコボルトとして集落を、ひいてはこの森を守らねばならないと言う。


確かにコボルトというのは森の番人であるだろう。コボルトの住む森は生命に満ち溢れているからだ。何故ならコボルトは森の生命の根幹である木々と対話し、余分な枝を払い、木が病に冒されればこれを治し何年、何十年ひいては何百年と木を育てるのからである。その対価としてコボルトは木々から木の実や果実を頂く。これは他の植物にも言える事で、病や蟲の害からこれを守り育て、またそれを頂くのだ。

故にコボルトの居る森は樹木や植物が豊かに育ち、鳥や動物が集まり生き生きと活気づく。コボルト達が森の東西南北のに広がり集落を作るのはこの為である。


反対にオークは破壊者である。あらゆる物を食べ尽くし、破壊し尽くし進軍する事しかしない。

オーク共がこの森と共に生きているコボルト達を滅ぼしてしまえば、森の生態系は狂い、程なくして人や動物達の立ち入れ無い死の森と化すだろう。


まあその前にオーク供は森の生命を喰らい尽くして焼き払ってしまうだろうが。


なので、北の長がこの場に残りオークを迎え撃つと言うのも気持ちは分からないではないが、百を下らないオークの軍勢を五十にも満たないコボルト達でどうこう出来るものでは無い。


「北の長、気持ちはわかりますがこの数のコボルト達でオークを迎え撃つのは自殺行為です。到底敵わないですよ。

僕だってオーク一体倒すのにも死にものぐるいなんですから。

ここは悔しいと思いますが、いったん退きましょう。」


ロンがそう諭そうとするが長は頑として首を縦には振らない。


「オキモチハ、ウケトリマス。デスガ、コボルトハ、モリトトモニアル、シュゾクデス。」


森があるから我等がいる。森が滅べば我等も滅ぶ。したがって負けると解っていても戦わねばならぬ、と言う長の言葉にロンは返す言葉がない。


ロンが二の句を告げる事が出来ずにいると、ルドガーが前に進み出て来る。


「わかりました。では一緒にオーク供を撃退しましょう。本来なら私達だけでやろうと思っていたんですが、森の番人たるコボルト達がいるのであれば、大変心強い。

オーク供からこの森を取り戻しましょう。」


「先生、迎え撃つって言っても、オークは明日にでもここに到着しそうな勢いですよ!?

準備なんかしてる暇はないですよ!

それにコボルト達を加えたって戦力差があり過ぎます!

ここは一旦引いて、ギルドで討伐隊を編成した方が良いですよ。」


ロンの焦燥を他所にルドガーはどこ吹く風で涼しい顔をしている。


「ロンさん、焦りは禁物ですよ。こういう時こそ落ち着くんです。

一旦引くのも一つの手段ですがね、時間が経てば経つほど森は穢され、囚われているコボルト達の身も危ない。」


「ですが相手は百を超えるオークの軍勢です。僕達だけで太刀打ち出来るんでしょうか?」


「ロンさん、侮って貰っちゃあ困るよ。

こちらには、この私が居る。上級戦士のグリエロさんが居るんだよ。

それにこの森を住処として地理に精通するコボルト達が居るんだ。」


ルドガーはそう言って一拍置いてロンを指差す。


「何よりロンさん、あなたが居る。この度の救出を考えた義侠心のあるあなたがね。」


そう言ってニッコリ笑うルドガーに戸惑った顔を見せるロン。


「僕なんかいてもあまり戦力にならないと思うんですが。」


「何を言うんだね、ロンさんあなた、この一月で随分と強くなりましたよ。

毎晩私から技を受け続け、毎日グリエロさんから技を指南されていたんだ、もっと自信を持ちなさい。

あなたは強いですよ。もうオークなんざ足下にも及ばないよ。」


そう聞いてもロンにはにわかには信じれない。怪訝な顔をするロンに、ルドガーはなおも語り続ける。


「それにロンさんは、ランペルさんを救った事でコボルト達の信頼を得た。それに北の氏族のために自らここに赴いたんだ。

一緒に戦おうとするコボルト達の士気はとても高いよ。」


そう言ってルドガーはコボルト達の方を向いてスンと鼻を鳴らす。

そうすると北の長がロンの元に歩み寄って来る。


「ソノトオリデス。ロンサマハ、ヒトデアリナガラモ、ワレラノキキヲ、スクイニキテ、クダサッタ。

ワレワレハ、ソノキモチニ、ムクイ、トモニタタカイタイ! 」


北の長がそう言うや後ろに控えていたコボルト達も一斉に、決意のこもった視線をロンに向ける。


ロンは自分が強いかというのはさて置き、コボルト達の熱い視線を受けて、自分の気持ちが高揚するのを感じる。


ロンは、なんだかコボルト達のすがる様な目を見ているといてもたってもいられないと言う気持ちになって来る。


これは単に情にほだされただけとも言えなくもないのだが、この単純な性格は彼の持ち味と言っても良い。


ロンのこの純粋さが、彼の特異な人間関係を形作っていると言っても過言ではない。


彼を守ろうとする者、援助する者、教えを垂れて導く者、そのどれもが只者では無い。


上級冒険者や奇警の天才黒魔導師、さらには伝説の暗殺者、果てはおとぎ話に出てくる魔物まで。


ロンの朴訥で純粋な性格が、彼と彼の周りの運命を大きく動かしている。


人だけでなく、他の動植物や魔物の生命まで脅かそうとするオークの軍勢それを組織した者の存在を見つけ出したのが正にそうである。


そして、その当のロンは腕を組んで天を仰いでいる。


「そうだよな... そうですね先生。

オーク供を追っ払いましょう! 」


そう言ってロンは、ルドガーやグリエロ、コボルト達を見渡す。


ランペルを始めとするコボルト達から歓声が上がる。


その歓声を背にロンはルドガー振り返り心配そうな顔をして尋ねる。


「それで、ここからどうしましょう!? 」


ロンのすっとぼけた問いに思わず吹き出すグリエロ。

ルドガーはニヤリと口角を歪める。


「そうですね、先ずはこの集落を、コボルトの集落から罠の集落に変えてしまいましょう。」


そう言ってルドガーは悪そうに悪そうに笑うのだった。


さて、コボルトの集落はどうなるんでしょうね。


いつも読んで頂きありがとうございます。

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