そして麗しき客人たちは俺の命を狙う。 前編
今回は長くなりそうなので前後で分けました。
そんなに麗しき客人には深く触れませんが、ぜひお読みください。
いつもの習慣で7時00分ぴったりに目が覚める。
やれやれ。異世界に来ても今までの日常を引きずっているのか。
俺はそう思いながら義妹の作った朝食が並ぶ食卓に着く。
……そういえば昨日のあれは結局何だったんだろう。
気になった俺は向かいに座っている義妹に訊ねる。
「ミラ、昨日の…その…あれはこっちじゃ普通なの?」
「あれって何のことよ。」
キョトンとした顔で俺の顔を見つめている。
「だからさ、昨日俺が寝る前の…その…キ、キスのことだよ。」
……俺らは2人して顔が赤くなる。
「そ、そうよ。普通よ。みんなやってるわ。別に変な感情とか無いんだからね!!」
やっぱりこっちだと普通なのか。まあ確かによく考えてみれば前の世界でもそういう文化の国もあった気がするな。
「……もうこの話は終わり。それよりどう?私の料理は。」
なんか話し逸らされた気もするけどまあいいとしよう。
料理に関していえば想像以上に旨い。
魔界というからどんなゲテモノ料理を食わされるか不安だったが、普通に旨い料理だ。
「あぁ、旨いよ。特にこのオムレツ、俺好みだ。」
そう。このオムレツは俺が前の世界でよく行ったレストランの味とよく似ている。
「そう。ありがと。」
と返事をした義妹は、そっけない言葉とは裏腹に、うれしそうに微笑んでいる。
ピーンポーン。
……この世界にも宅急便とかがあるんだろうか。そう思う俺を背に義妹が玄関に向かう。
「誰が来たの?」
俺は義妹の背中に訊ねる。
「あぁ、多分魔王討伐のクエストよ。初級者向けのクエストだからよく来るのよ。」
……おい。魔王討伐。それでいいのか。
「てかそうじゃねーよ!俺、討伐されんのやだからな!なんで異世界来て2日目で死ななきゃいけないんだ!」
「大丈夫よ。死んでも女神さまのところで生き返れるから。」
サラッと言うなよ。こえーよ!てかどうせアメリオだろ?もうやだよあいつ!
「はーい。ここ、魔王の家ですがクエストですか?」
義妹は、さわやかな挨拶をした。
……俺の第2の人生、2日で終わりか。ずいぶん短かったなぁ、オイ。
「あ、あの、私たち女3人だけのパーティーで初めてのクエストなんですが……。」
「あぁそうですか。まあこんなところで立ち話もなんですからお上がり下さい。義兄を呼んでまいりますので。」
なんか穏やか過ぎんだろ、これ。なんか魔王討伐のイメージ崩れたな。俺はそう思う。
そして俺は麗しき客人達を迎え入れる。
ありがとうございました。次回は討伐?の様子を投稿したいと思います。
そちらもぜひご覧になって下さい。