第2話
今日の訓練を終えたテラットは、家に戻ることにした。
「テラお兄ちゃん、おかえり!」
「あぁ、ただいま!」
妹のサラは可愛い。
もう素晴らしいぜ!
「母さん、今日の御飯は?」
母さんの作る御飯はおいしい。
もう素晴らしいぜ!
「お帰り、テラット。今日は鹿肉よ」
「鹿肉か~!楽しみだな~」
「私も楽しみ~!」
この村では基本的に、狩人達が狩ってきた魔物の肉を食べる。
他の村でもそうなのだろう。まあ、行ったことはないけど。
この村から出ることがない俺達は、他の村に行くことはできないし、しない。
「取り敢えず、お風呂入ってきなさい」
かなり汗をかいたので、すぐに風呂に入ることにする。
いつも風呂を沸かしてくれる妹には感謝しないとな。
水を浴びて汗を流した後、浴槽に張ったお湯につかる。この気持ちよさがたまらないのだ!
ちなみにお湯は、魔結晶という魔物から採れる石に「水の式」を書き込んで水を出し、「火の式」で起こした火で沸かす。
魔結晶さえあれば誰でも、火を起こしたり、水を出したりできるのだが、やはり訓練は必要だ。
簡単な「水の式」「火の式」「氷の式」から、「音の式」「速の式」「力の式」「造の式」などの扱いが難しいものまで、多種多様な「式」が存在する。
狩人は、自分の身体能力を上げる「力の式」や、速さを上げる「速の式」のような戦いに必要な「式」のみならず、日常でも使える「式」も学ぶ。狩人は遠くの魔物を狩りに行くことも多いため、野宿の技術も必要なのだ。
風呂の気持ちよさを堪能したところで、風呂から上がり、服を着て、食卓に向かう。
「今日は鹿肉だったな〜!」
ちょうどサラがコップと水差しを、母さんが鹿肉の皿を運んでいるのを見て、テラットは取り皿を運ぶことにした。
そして全員で食卓につき、手を合わせる。
「「「いただきます!」」」
ナイフとフォークで鹿肉を取り皿に取り食べ始める。
とても美味しい。
「ママ、美味しい!」
「今日も美味しいね、母さん」
サラと俺がそう言うと、
「そうでしょう?愛情を込めたのよ」
と母さんは嬉しそうにしている。
「明日は兄さんが帰ってくる日だな!楽しみだぜ!」
「ソルお兄ちゃん、元気かなぁ?」
「きっと元気だよ!兄さんに成長したところを自慢するんだ!」
「それはいいわねぇ」
鹿肉を食べ終わり、水差しから水をコップに移して、 飲む。そして、
「ご馳走様でした」
食事を終えた。