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共通2-A① 川を観る
私は川を観にいくフリをして、彼等を巻いて出口を探そうと思う。
「ハルナ、なにしてるの?」
「いえ」
「そっちにはなにもないよ。一緒に花冠を作ろう」
――ああ、実につまらない。早く家に帰りたい。
ふと、帰る家などこれから亡くなる事に気がついた。
「そうよ……」
「ん?」
屋敷はこれから売ることになるのだし、私は行き場がないのだ。
落ちぶれた令嬢が必死に働くなど晒し者である。
「私、本当にここで暮らしてもいいのかしら?」
「もちろん」
「はい、これをどうぞ」
「ありがとう」
花冠を頭にかけられよくわからない気持ちになった。
こんな風に草花に降れることはなかったのでこれは新鮮である。
「おや、もう朝か?」
「兄さん」
もしや彼がここの王様?
「私はシクリス・モーシュメント。君はもしかして女神アイルナイルかな」
「たぶんきっと復活したんだよ」
「それはよかった」
さすがは王、どっしりと構えている。