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西世遥奈:共通シナリオ 日常

【共通Ⅰ日常】


――父が山で行方不明になり、もう一週間になる。

父は仕事にかんしては優秀で、人付き合いは母に任せていた。

母は仕事は出来ないにしろ誰からも好かれるタイプであった。

しかし頼みの綱の母は一年前に病でなくなった。

それっきり親戚からは孤立している。

企業を引き継げる者が身近にはいない。

父が亡くなった場合、会社は消えることになっていたからだ。


タイミングの悪いことに、今月末に屋敷の維持費用を払ったことでとうとう家が破産したのだ。

一般のサラリーマンがリストラをされる比ではないだろう。


事の発端は一週間前に大企業の社長である父が、山を観たいと言い出した事にある。

これまで山よりも海が好きであった父が急に山を観たいなどと言い出したときは不吉だと感じた。


「残念ながら遺体が見当たりません」

「そうですか」


私は薄情な娘ね、父の遺体が見当たらない事よりも父が亡くなったことで会社はどうなるのかが心配で仕方ない。

母は姿を消してしまったし電気を止められてしまったから祖父とは連絡が取れない。

これからどうすればいいのだろう。


‘さようならお嬢様’“お元気で”


お金がなくなったので当然使用人は解雇した。

私は自分の境遇をあらためて実感した。


「遥奈お嬢様」


囁くような静かな声で、執事の莎上は、滅多な事では表情を変えない。

これが現実で、

悪い夢ではないことを物語っていた。


「莎上さん、その呼び方は止めてください。私はもうお嬢様ではないわ。貴方はもう執事でなく赤の他人なのだから……」


彼は旧家の令嬢と執事という関係を差し引いて個人的に一番親しい人間だ。

失うのは寂しいが、給金の工面を出来ないのでは仕方がない。


彼が何度もこちらを振り返りながら屋敷を去って行くのを、ただじっと耐えて、その姿が見えなくなってから私はつめたい石の床に膝を付いた。


透明な滴が床にひたりひたりと落ちて、水滴を大理石の床が弾いていく。


まずはこの屋敷を手放して、この生活をどうにかしよう。

頼れる者がいないなら一人でやるしかない。


西世遥奈は銀の匙をくわえて生まれたと比喩される程に恵まれていた。


特集番組に出てくる海外セレブのような広い屋敷に住んでいる。

遥奈は二代で富を手にした西世(さいせ)グループの会長の孫にして社長の父を持つ。

料理は毎日、一流シェフが作った高級食材のフルコース。

洋服も毎日違うブランドもの。

通っていたのは名門のお金持ち学園。


一般人が憧れる夢のような暮らしをしていたが一週間前、両親の死によって彼女の生活はガラリと変わった。


「まったく…電話まで止まっているじゃないか…」

「お祖父様あああ!!」


祖父と連絡のとれなかった遥奈だったが、ようやく事態は一変する。

遥奈には祖父が菩薩のように思えた。


しかし、安堵したのもつかの間、祖父は一週間後に自家用機の墜落で他界する。


『きっと今まで恵まれて生きてきたからバチが当たったんだわ』


彼女は笑って、それでいて、悲しんでいた。



【共通Ⅱ】


私は屋敷を売る前に、内部を探してまわることにした。


(こんな部屋あったかしら)


電気をつけても尚、薄暗いその部屋は、大きく羽をひろげた鳥と赤子を抱く母親の絵が書かれた扉があった。


(なんだかこの絵、見覚えがあるような)


そうだ。この屋敷の守り神ホルサイセ。以前父が言っていたような気がする。


私は好奇心から、扉に手をかけた。


「もしかしたら質屋に持っていける金物が――――」


扉を開けると、見慣れない異国の光景が――――――


「え!?」


テレビで見るような、ガンジ……いや、ナィル川のような広い川。


向こうには木々と城が――――――



「お前は……!」


変わった衣服の長髪の青年がこちらに走ってくる。誰かと間違えているのだろう。


「いえ、私は……」

「アイルナイルじゃないか……!」


ふわりとした髪の少年は持っていたロータスの花を川になげて掛けよる。


「お前生きていたのか!?」

「会いたかった!!」

どこからか次々に男性が現れた。



「ねえアリヴルノ、アイルナイルが還ってきたらしいよ」


金の髪をした男は目の前の青年に告げる。


「馬鹿な……あいつはもう消えたんだ」


銀髪の青年が目を見開き、男の言葉は信じられないと体現する。


「生まれ変わったのが戻ってきたのかもよ?」


男は微笑を作ったまま、青年が話をうのみにしようと信じまいと構わない様子だ。




「ってわけ」


彼等の話をきくかぎりここはエジプトゥによく似た神の世界。

そして私は女神アイルナイル=アインテナに似ているのだという。

アイルナイルは1000年ほど前にこの世界から消えてしまったそうで彼等は悲しんでいた。


「こうしてまた会えるなんて……」

「待ってください、私は女神様じゃありません」


「俺はそれでもいいよ」

「女神に似ている者がここへ来た。それもきっと何かの縁だ」


初めは嘘かと思った話、だがここはどう見ても異質な世界。

しかしそれを認めるのは本能的に何か危険だと告げている。


「なあ、またここに暮らせばいいんじゃないか?」

「きっとアリヴルノ……アイルナイルの兄もお前を受け入れてくれるさ」


二人はどうにか私をひきとめたいらしい。


「ここは神の楽園、うつ世の汚れも無い世界だ―――」

「だからここにいてよ」


元の世界に帰ってもいいことはないが、ここにいるのもだめだろう。


「あれ……扉は?」

「この世界に入るのは簡単だが出るのは難しいんだ」


「そんな!」


私はこの世界に閉じ込められてしまった。



「ここが君の家だよ」

「お城ですね」


―――アリヴルノ、つまり女神アイルナイルの兄。

その男がいる石造りの城へ来たはいいが、私は本当の妹ではないのだ。

――簡単に受け入れられるはずがないだろう。


廊下を歩いていると、どこかで見たような顔の男とすれ違った。


あれは――――


「アイルナイルなのか?」

「え?」


背後から声がかかり、振り向くと細やかな装飾が施された衣服、金のアクセサリを身につけた男がいた。

―――彼はもしや、アリヴルノだろうか?


「会いたかった」

「あの、私は春菜です。貴方の妹ではありません」


「そんなはずはないよ。きっと思い出すさ」

「なあ、そうだろうアリヴルノ」

「……ああ」


なかば強引に茶をごちそうされ、元の世界へ帰るまでこの城に住むことになった。



「あー言い忘れていたけど、僕とイクルスは兄弟なんだ。あとは上にも兄が二人いるんだよ」


「というかこの城の王が長兄のシクリスなんだ」

「そうだったのですか」


なぜ私の前世とその兄はここに住んでいるのだろう。


「そうだ。これからどこか観にいかない?」


◆行きたい場所は?

〔川〕

〔墓〕

〔自室〕

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