風紀委員長と名乗る男
私は再び出会うことなる、あの物凄い霊力をまとうあの男と。
私は何食わぬ顔で通りすがっていくと、彼は隙のない動きで振り返る。
そして……、
「カイチョー様と契約しているようだが、アイツは風紀委員長としての一番優先順位の高い方に入る護衛対象だ。……契約をしているなら徹底的に守れ、カイチョー様は俺にとっては守りづらい護衛対象だ。
……お前はただの“猫又”ではないんだろう? 記憶に縛られてるな、随分と厳重に。
窮屈な生活も楽しんで過ごしてるみたいで何より、先祖とは言えどその血を引くものとして……あんたには詫びを入れなければ、と思っていたからな」
と、風紀委員長と名乗る男はどうやら、私をただの“猫又”ではなくなった理由を作った、あの男の血を引くものだったらしい。
が、この男は見た目に反して慈愛深い男のようだ、……人は見た目で判断していないと言う言葉にぴったりと当てはまるそんな奴だな、こいつ。
昔の書物でも見たのだろう、先祖がしたことまで気にかけてくれるとは。
でもな。私は……、
「お前の先祖など恨んではいない。奴は……、優しすぎる男だった。それが悪い方へと働いてしまっただけ、根はいい奴だった。私はそれさえも運命だったのだと思う、……ただそれを受け入れるだけだ」
と、私はそう言う。
そんな言葉に、彼は強面な顔が嘘みたいに慈愛の籠った微笑みを浮かべる。
私はその微笑みを見た瞬間、奴と彼の姿を重ねてしまった。
……だが、彼は奴のようにはならないような気がした。そのためには、私もお節介をやけと自分自身の勘がそう言っている。
私は気まぐれだ。滅多に多数、お節介をやきたくなるタイプではない。
コイツにお節介をやきたくなったのは……悔しいことに、放っておけないと思ったからじゃないのだ。
霊力の強さではなく、奴の持つ人を惹きつける天性的なそのカリスマ性に、私も惹きつけられてしまったから。
厄介な男と関わってしまったのかもしれんな、私は。……まあ、この出会いは必然であり、私がどんなにこの運命からは逃れられない。彼とはまた関わることになるだろう。
「お前は厄介な奴だな」
「そりゃすまねぇーな。キラキラ集団の奴らはあまり好きじゃねーが、カイチョー様のことは嫌いじゃねぇーし、猫又さん一人で守りきれない時は呼べよ? 一時的だが、本来の力を解放してやんよ」
ついでに才もある男で、どんな状況でも冷静に判断出来るようだ。
そして、自分の幸せを犠牲にしてまでも大切な誰かを守る、そんな男だろうと思う。
長生きは出来ないタイプの人間だな、今までの状態だったらな。
私と同じように、そう言う面では不器用なようだな、……この男は。
と、考えているうちに風紀委員長と名乗った男はしゃがみ、私の首についているミサンガに綺麗な黄色い水晶をつけた。
「その水晶には術式が刻まれている。とある条件が揃えば術式は発動するようになっているから、ふざけて呼び出そうとしても呼び出せないからな」
と、そう言うと風紀委員長……と言うのは面倒なので以後、風紀はそう言い残すと気配すらも残さず、私の前から姿を消した。