会長様に恋する君に2
「そうですか、いきなりは会えないですよね。……わかりました、会長さんに会えるタイミングは猫さんに合わせます」
小娘はそう言った。なかなか空気の読める……否、人の感情の変化に敏感なのか。ああ、だからこの小娘も放っておけない、そんな体質が季雨に良く似ているから。
だから、気を使いすぎてしまうから集団生活な学校生活で気の休まる時間として静かな、人のいないこの裏庭で一人で食事をしていたのだな……。
なるべく早く、季雨に会わせるきっかけがあれば良いのだが……。
堂々と彼の高校に入れるきっかけが必要だ、この小娘はあの学校に兄弟がいると言っていた。行く“理由”は出来ている。例え、それで会うことが出来なくても出会う“タイミング”ではなかったとしか言い様がないしな。
「決まり次第、此方からこの場所に来る。また会おう、小娘」
と、私は足早に小娘の元から去った。長居は良くない、季雨が心配するからな。彼はあやつと違って、心配性だから。
心配させ、動揺させるのも季雨の体質上あまりよろしくはないからな。
出かけるとは言ったものの、季雨は精神的問題にあまり強くはない。
「心配されて迷惑と思わなくなったなど、私も過保護になったものだ」
そう小さく、独り言を呟きながら有蘭学園を去る私なのだった。