会長様に恋する君に1
今日からずっと、季雨の側に居ようと思ったが……まずはあの小娘に逢わなければならなかった。仮だとは言え、彼女は一時的な契約者だ。
季雨の体質に耐えられるか見極める必要があった。霊感のない、あの小娘は一度くらい彼の霊力で生み出した“狐の嫁入り”を浴びたところで、彼女には全くと言っていいほどに影響はないだろうと思う。
季雨の体質を受け入れることが出来るのは、恐らく全く霊力を受けつけない体質の女の子のみであると思われる。
そのため、私は彼女が霊力を受けつけない体質かを見極めなければならなかった。
そのために私は今日、あの小娘のにおいをたどり……有蘭学園と言う学校に来たのだから。
私はここの生徒に捕まらないように、人が通れないような道を使い、あの小娘のにおいを追っていると……彼女は静かに裏庭で、一人で弁当を食べていた。
そんな小娘に、
「おい!小娘、私だ」
と、声をかけると、彼女は穏やかな顔つきで笑い、こう言った。
「猫さん、昨日振りですね。どうかされたのですか? 会長さんに無事、会えることは出来ましたか?」
そう彼女は言うと、私から若干咲き始めた秋桜に視線を戻した。
そんな小娘に私は、
「ああ。会えたよ、しばらくは様子見だ。今日はそれを伝えにきたんだ」
と、私は彼女にそう伝えたのだった。