進む君2
次の日、小娘に逢うことになった私は視界に入った瞬間顔を歪める。
小娘の脚には光の射し加減で七色に変化する、鱗に太ももの真ん中辺りまで覆いつくされていた。
やはり……見てみぬ振りをしているだけでは駄目だったか。
自分に言い聞かせるため、無理矢理霊力を受け付けない体質だと思い込ませていただけなのだ。私は、私の全ては……季雨が幸せであることだけだったから。幸せを祈ることが必然だったから。
「……ごめんなさい、」
「やっぱり彼を騙したままでいるのは無理だったんです……。嘘を、彼にはつきたくなかったんです」
と、その言葉に小娘が季雨に、全てを話したと言うことが伝わってきた。
そして涙ぐむ小娘に、寄り添う季雨がそのことを全て受け入れたと言うことも。
「……私は季雨が幸せであれば良いのだ、その話を受け入れたと言うことはこのことを話すのは必然だったと言うこと。私がどうこう言う筋合いなどはない、……ちゃんと幸せになってくれれば」
と、そう言って私はこの場から取りあえず去ろうとしたが、小娘は「待って!」と必死な声で引き止める。
「でも!貴方が無理矢理言い聞かせようとした、霊力を受け付けないと言う説はあながち間違いではないんです!……私の兄こそ、本当の……」
と、小娘は唾を飲み込み、はっきりとした声色でこう言った。
「霊力を受け付けづらい体質です。そろそろ、貴方が仕掛けた悪戯も……時間切れとなると思います。……だから急いで。兄は大切な誰かの側にいるためならどんなことでもする、そんな人なんです。
……私達はそこには行けません、だから代わりに猫さん貴方に見にいって欲しいのです。あの人が大切な誰かの側に居られて、今度こそ幸せそうに笑えている姿を……」
そんな小娘の言葉に返事もせず、私は足早にその場を立ち去るのだった。




