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そこへ
「ハルナ、勘違いしてるよ。俺は、ココ。たぶん、ハルナのテレビの中にいるんだ。」
一体全体どういう趣旨のドッキリなのかしら?もうドッキリだって事はバレてるのに、まだ騙そうとするなんて。
番組の悪質さにため息が漏れる。
「たぶん、俺は半年前からココにいるからなんとなく納得してるけど、最初は俺もハルナと同じだったよ。て言うか、ハルナは自分の部屋だから、なんとも思わないかもしれないけど、俺を見て。こんな何もない真っ白な空間だよ。
こんな所に閉じ込められてさ、最初はハルナが誘拐犯かと思ってたんだ。」
たしかに、画面はイメージビデオの様に真っ白な背景にカイトが映っているだけ。
真剣な彼の表情に嘘は無いが、バラエティ番組なので話を鵜呑みにするわけにはいかない。
なんて声をかけてよいか分からず、私は黙り込んでしまう。
「ハルナ、信じて。こっちに来て。」
強い眼差しに、差し出された手に吸い寄せられる様に私も手を延ばす。
私の中指が画面に触れた。
目の前を暖かな光が包み込む。
真っ白な世界
穏やかな気持ち