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空色にそまる  作者: 羽ドンマイ
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呼んでいるのは

「死にたい?」


一人暮らしのワンルームアパートで、いつもの様にテレビを見ていた私は、テレビの中のイケメンお笑いコンビの1人がこちらをじっと見つめながら、それまでのお笑いの流れとは全く関係ない問いかけをしてきたので、ビックリした。


変な番組だな、とは思ったものの、今日の一日が、あまりに散々だった為、缶ビールをグビリと飲みながら

「酔ったかも…」


なんて呟いていた。


すると、またテレビの中の彼、カイトが

「酔ってないよ。」


私、おかしくなったのかな。

最近忙しくて働き詰めだったし。


あ、そうそう。

私はハルナ。30歳。独身、彼氏あり。仕事は個人の住宅の庭のデザイン、もとい、設計をしてる。


今日の私は、確実に酔ってる。

だって昼間、営業マンの安田に言われた通りに設計したのに、いざお客様に見せたら

「要望と全く違う」

って。安田の聞き間違いミスなのに、私のミスって事で処理されてしまい、あげく、上司からは、自分のミスだろう、とサービス残業で再度設計するハメに。


ああ。

愚痴ったって仕方ないのは分かってる。

でも、愚痴くらい言いたい。とは言え、不規則な仕事時間とズボラな性格が災いして、愚痴を聞いてくれる友達もいない。


彼氏には、三年間も猫をかぶり続け、いいかげんそんな自分にもうんざりだ。

当然、彼氏にも愚痴なんて言えない。



「ハルナ」


…!

テレビの中のカイトが、1人百面相しながら、回想にふけっていた私を心配そうに見つめていた。


「は、ははは…」

この不可解な状況に、訳の分からない笑いが出る。

たまたまにしては、なんてドキドキする番組なのだろう。


私は、カイトが大好き。話は面白いし、フリートークでも性格が良さそうだし、何より顔がタイプだ。こんな人と付き合えるなら、それこそ本当に死んでもいい!と思えるくらい大好きな人。


そんなカイトが、見つめながら、幸運にも私の名前を呼んでくれるなんて。

録画しとけば良かったな。


「ハルナ!」

今度は、しっかり名前を呼ばれた。

ああ。

もう、幸せすぎて、幸せすぎる。


録画しなかった事をことさら後悔しながら、また缶ビールをグビグビ飲んだ。


「お酒強いんだね。」

にっこり微笑む彼。

さっきまでワイワイとバラエティ番組をしていたのに、急にドラマの様な作りになり、少し不思議だと思ったけど、少し酔ってる私は、うっとり画面を見つめていた。

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