第二話 固有能力と過去
|《固有能力》《ペクリアルスキル》と呼ばれるものがある。
|《固有能力》《ペクリアルスキル》とは文字通り、『個人』が『有する能力』であり。普通ではありえない力を使え、普通ではありえない現象を引き起こす、一言で言えば、『違って居る』。
普通とは、『違う』|《段階》《レべル》に『居る』ことになるのが、『固有能力』である。
全ての人が持っている訳じゃない。……というか、持っている人の方が少ない。だから必然的に、持っている人と持っていない人とで、別々に呼ぶようになった。
持っていない人は、『無能力者』と呼び。
持っている人は、『異端者』と呼ぶ。
『異端者』には、先天的に『固有能力』を持っている人も居れば、後天的に『固有能力』を 取得してしまう人も居るのだ。
そして『固有能力』には、代償か、条件か、被害等があり、その三つからさらに、二種類に別けられる。簡単に言えば、『自分』が受けるか、『他人』が受けるかである。
代償なら、自己代償と、他己代償。
条件なら、自己条件と、他己条件。
被害なら、自己被害と、他己被害。
この三つを持ってない人も居るらしいが、そんなのは滅多に無い。ただし、必ずしも三つ全てがある訳では無い。個人によって持って居る数は人それぞれだ。
『無能力者』からしたら、『異端者』は脅威でしかない。だから『異端者』は一ヵ所に集められ、国家機関が監視のもとに教育や職業等の生活をするのだ。先天的な『異端者』はまだ良い方で、後天的な『異端者』は、『異端者』になったら、家族のもとから『無理矢理』連れて来られる。
そうして、『異端者』が集まった場所を『脅威の元凶』と呼ばれている。
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意識を取り戻した時、最初に見たのは『赤』だった。どす黒い『赤』だった。床も壁も天井も、真っ赤だ。
次に見たのは、床に転がって居る屑共のバラバラになった体と、服が『赤く染まった幼馴染み』の姿だった。……そこで気がついた、自分の手が…幼馴染みの腹に『刺さっている事を』。
何が何だか分からなかった。ただただ混乱して、急いで幼馴染みの腹から手を『抜いた』。―――僕は馬鹿だ、手を抜いたら血が出る量が増すというのに。
混乱していた、ただただ僕は混乱していた。急いで止血をし、電話で救急車を呼んで、救急車が来るまで、僕は幼馴染みの腹を手で押さえていた。
幼馴染みは重傷だったけれど、『異端者』が居る病院に運ばれたら、1日で退院する事が出来た。
幼馴染みが退院した次の日、幼馴染みの親が僕の家に怒って怒鳴り込んで来ると思ったけど、そうはならなかった。幼
馴染みの親は僕が怖かったのだろう。だから僕は、自分から幼馴染みの家に行ったのだが、幼馴染みの親は幼馴染みに会わせてくれなかった。当たり前だ。危害を加えた奴に会わせる訳が無い。―――助けようとしてくれた人にも危害を加えた奴に。
最低な事に、幼馴染みと会えないと聞いて、僕は少し安心していた。怖かったのだ、嫌われるのが、嫌だったのだ、怖れられるのが、怖れていたのだ、『親友』じゃあ無くなるのが。
会えない幼馴染みの代わりに幼馴染みの親に僕は誠意を込めて謝った。土下座をして、謝罪の言葉を述べた。……幼馴染みの親とは仲が良かった。僕をまるで自分の子供のように関わってくれた。複雑な気持ちだったのだろう。数時間経って幼馴染みの親に「もう遅いから家に帰りなさい。」と言われたので、御言葉に甘えて今日は家に帰る事にした。
すっかり忘れていたのだが、屑共も生きているらしい。けれど、バラバラになったのを繋げて治したので、傷跡が残り、フランケンシュタインみたいになってるらしい。……死んでなかったのか。つーかどうでも良いや。と思ったが、どうでも良く無かった。
―――次の日、僕は裁判所に連れて行かれる事になった。