第一話 出会いと過去
『この箱庭の外側を見てみない?』目の前に居る少女は僕に問い掛ける。
(箱庭の外側?どんな景色なんだろう。どんな生物が居るんだろう。……というか、箱庭の外側ってなんだ?……いや、そんな事より。)
僕は目の前の少女を見る。
(何で、『僕の前に』彼女が居るんだ?)
分からない。解らない。判らない…。
(どうして、僕の前に?あんな、『酷い事 』
をしてしまったのに。)
彼女は僕を真っ直ぐ見つめている。
『協力して、お願い。―――僕の、《親友》
。』
彼女は、そう言って笑った。
―――――――――――
子供の頃、僕には二人の幼馴染みが居た。
二人の幼馴染みはとても可愛かった。
だから、僕は苛められていた。周りの男子達は僕に嫉妬していたのだろう。僕は可愛いとかどうでもよかった。
二人の幼馴染みは昔から仲が良くて、僕の事を『親友』と言ってくれた。だから苛めなんて苦でも無かった。でも、幼馴染みは嫌だったらしい。僕が苛められてるのを見掛けたら止めに入ってくれた。……そのおかげで、さらに、男子達の嫉妬が上昇したが。
それでも僕は嬉しかったし。男子達が「幼馴染みから離れろ!」と言われても僕は幼馴染みから離れなかった。
小学五年生の時、悲劇がおきた。学校からの帰り道、いつも通りに帰ろうとしたら、男子達に囲まれた。――ああ、またか。そう思った。でも、いつもと違っていた。何故か、手を出してこないのだ。囲まれて混乱している僕を見て、幼馴染みが来てくれた。すると突然、男子達が暴力を奮ってきた。
いつもなら、幼馴染みが来たら止めるのに、
今日は逆だった。でも、―――理解できた。
こんな屑共のやりたい事が理解できた。
僕をダシにして…、幼馴染みにいやらしい事をしようとしている事を。悔しかった、僕は今、地面にうつ伏せに倒れて、背中に屑の足に踏まれている状況だ。でも、こんな状況でもよく見えた。
――涙目になって体や声が震えていて、それでも僕を助ける為に自ら服を脱ごうとしてる彼女が。
悔しかった。許せなかった。許さなかった。許せない。許さない。許さナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ…………。
頭の中のネジが飛ぶ。彼女は上着を脱いだ。
……屑共のキモい声が聞こえる。
パチッと頭の中のネジが『弾けた』。
目の前が真っ赤に染まり意識が薄れる。
僕は呟いた。
――――フェスティバルカーニバル
『―――【祭のような殺戮乱舞』
―――全てを、終わらせる言葉を。