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風にふかれて

風にふかれて その後

作者: 但馬ほずみ

〜もし女王様がクリスマスを知っちゃったら〜



クリスマスイブの朝、私は、浮かれていた。なんてたって、幼馴染と思いが通じ合ってから、初めてのクリスマス。浮かれるのは当然よね?

まあ、今日は学生らしく、ショッピングモールでデートなんだけどさ。今までとあんまり変わらないけど、いいんだもん。彼女になれただけで。


「プレゼントは買ったし〜、クリスマスらしい服って何にしようかな〜。」

と、着てく服をコーディネートしてたら…。

「ねえ、クリスマスってなあに?」

聞いたことのある声がした。


ひゅんって風が私の周りをつつんだ。気がついたら、目の前には、懐かしいお顔が。

「…女王様…。」

私は、見たことのあるお城の床にへたり込んでいて、美しい女王様がその前にしゃがみこんで、ニコニコと私を見つめている。

え〜と、これは、まさか…。


「ねえ、クリスマスって?楽しいの?」

ああ、異世界トリップ再び決定デスネ。


それから、異変を察知した王様と宰相様と女官長様が飛んできた。女王様が王様と宰相様に説教されてる間に、私は女官長様にお世話されてました。

女官長様と宰相様はあの後婚約し、先頃結婚されたそうです。もちろん女王様仕切りで。

「あなたのお陰で幸せになれました。」

と、頬を染めて感謝されてしまいましたよ!こっちが顔赤くなりそう。だって、幸せオーラ全開なんだもん。


「それで、どうして彼女をこちらに呼んだんです?」

宰相様が女王様を問い詰めている。

「どうしてるかな〜って彼女を見てたらクリスマスで楽しそうにしてたの。だからクリスマス教えてもらおうと思って。」

「だからって、何も呼ぶことはないでしょう、呼ぶことは!」

あらら、クールな宰相様が、かなりヒートアップしてる。

「え〜、皆の結婚式終わっちゃったし、つまんなかったんだもん。」

「30過ぎてその口調はかわいくありませんよ。」

「む〜、言ったわね?」

二人の口論は終わらない。


王様がポンと私の肩をたたいた。

「すまない、責任持って帰すから。」

「はい、それならいいです。」

前のこともあるし、王様と女王様のことは信頼してるよ!帰れるってわかってるから、楽しんできます。


で、結局いつものお茶会が開かれました。

女王様は、嬉々としてクリスマスの話を聞いています。

「まぁ、じゃあ、神の息子が生まれたのを祝う日なのね。こっちでいうと、始祖王の誕生日かしら〜。」

「ええ、でも、私の国では宗教色は弱まって、イベントとしての性格が強いですよ。プレゼント交換して、恋人とか家族でパーティーするんです。」

「まあ、楽しそう!ねえ、ここでもやりましょうよ!!」

女王様、やる気まんまんですね。宰相様が苦い顔してますが。

「女王様、神官の長たるあなたが主催すると、思いっきり宗教行事になりますよ。」

「え〜、神殿の行事になっちゃうの〜?」

「そうです。」

次期神官長様が女王様に釘を刺してる。神殿の行事では、羽目をはずせないらしく、女王様は眉をひそめ考え込んでいた。そこへ、女官長様が助け舟をだす。さすが、女官長様。

「女王様、パーティーをなさりたいのでしたら、城勤めの者達の、慰労会などいかがでしょう?一年の勤労に対してねぎらうのです。」

「ふむ、それなら城の行事として認められますね。いかがですか、王様?」

宰相様もOKのようだ。

「それは、いいな。忙しい時期をはずせば、皆のいい楽しみになる。」

「じゃあ、やっていい?」

女王様が期待に満ちた目で、王様と宰相様を見上げてる。う〜、かわいい。30半ばには見えないかわいさだわ〜。

王がうなずくと、それはもううれしそうに女王様は王様に飛びついた。王様、でれでれですな。


男性陣が城と神殿としての、日程などを話し合い、女性陣はわたしと、細かい話をつめていく。

王様のいとこの婚約者改めお嫁さんは、料理のできる人らしく、メニューについてをお任せする。料理する人が楽しめないから、事前に作っておけるものがいいですよねってにっこりされた。あ〜、私もお母さんに料理ならおっかな〜。

女王様の幼馴染な家庭教師美女には、子供の企画をお願いした。これで王子様王女様とお友達も楽しめるよね。

女王さまだけでなく、皆が楽しそうでよかった。


結局その日は一晩泊まることになった。王子様や王女様たちと一緒に遊んで、女官達とおしゃべりして、ぐっすり眠った翌日の昼。私は、帰ることになった。王様女王様以下たくさんの人が見送ってくれる。

「楽しかったわ、クリスマスのこと教えてくれてありがとう。」

女王様が、飛び切りの笑顔でおっしゃった。うう、やっぱりかわいいよ〜。

「はい、楽しい会になるといいですね。」

皆が笑顔でうなずいてる。うん、いい人たちだ。

「さあ、もう帰してあげなくては。」

王様の言葉をきっかけに、私は風につつまれる。


「また遊びにきてね〜!」

ええ〜?!女王様、また呼ぶ気ですか!!


風がおさまると、私は元の自分の部屋にいた。時計は、ぜんぜん進んでない。ベッドには、コーディネートした服が広げられている。無言で着替えた。

鏡には、いつもの自分が映ってる。私…、またあっちに行ってたんだよね?女王様、またって言ってたよね?鏡の中の私がゆっくり微笑む。

なんてステキなクリスマスプレゼントだろう。


母の「お迎えよ〜」という声に、返事をしながら部屋を出る。

玄関で、幼馴染が待っていた。そうだ、今度は幼馴染も一緒に行けないか女王様にお願いしてみよう。

一人でも楽しいけど、二人ならもっと楽しいよね?!


いいでしょ、女王様!


応えるみたいに、耳元で風がふいたから、私は、幼馴染にむかってにっこり笑ったんだ。

さあ、デートにでかけよう!

女王様、好奇心の塊です。


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