主人公
ノゾム・バウンティス
辺境の国のオイレ村出身の青年。
幼馴染であり、恋人だったリサ・ハウンズとの約束を果たすためにソルミナティ学園に入学し、厳しい訓練に身を投じる。
しかし、もう一人の幼馴染であったケン・ノーティスの嫉妬による姦計に嵌り、また本人の能力が著しく制限されるアビリティ“能力抑圧”の影響で転落。最低の人間であるというレッテルを張られてしまう。
自暴自棄になった彼は、強くなればリサが振り向いてくれるかもしれないという、ありもしない夢想から、単独で魔獣の徘徊する森に入り、魔獣に襲われて死にかける。
その際に刀術の達人、シノ・ミカグラに命を救われ、以後、彼女に師事しながら刀術を修めていく。
彼女がノゾムに課した鍛練は、学園の訓練が赤子の遊戯に思えるほど苛烈なものであったが、それが彼が持っていた才能を開花させ、瞬く間に刀術に熟達していく。
しかし、苛烈な鍛練はノゾムが求めていた力を彼に与えたものの、同時に鍛練に逃げる口実を彼に与えてしまう結果にもなってしまった。
そして2年後、ティアマットが閉じ込められている封印世界に偶然迷い込み、彼女と戦った結果、天文学的な確率の奇跡の連続により撃破。その力と魂を取り込んでしまうことになり、そこから彼の数奇な運命が始まる。
師匠の死を乗り越え、自分の逃避を自覚しながらも、もう一度向き合った学園生活の中で、アイリスディーナやマルスを初めとした多くの新しい友人達と縁を結び、少しずつ絆を深めていく。
しかし、特総演習の際に襲撃してきた屍竜に対し、ティアマットの力を使わなかったことからマルスと衝突。
その後、もう一度話をしようと待ち合わせた森の中で、復活した屍竜の襲撃を受け、その際にティアマットの幻術に惑わされ、アイリスディーナ達に刃を向けてしまう。
しかし、彼女達の献身によって幻術から解放される。
自分が抱えてしまったティアマットという特大の爆弾、そして刃を向けてしまったという事実にもかかわらず、自分の身を案じてくれていた仲間達を愛おしく思い、その中で歪んでしまった幼馴染同士の関係に決着をつけることを決め、行動を開始。
今の自分を知ってもらうためにリサと何度も接触を試み、担任のノルンが施した合同授業で演じたジハードと接戦を演じる。
さらに、学園でも優等生であるアイリスディーナ達と親しい関係を築いていることなどから、ケンが流した噂が徐々に破綻し始める。
その後、嫉妬と焦燥にかられたケンの暴走や、アビスグリーフの介入などによって、リサが捕食結界に囚われてしまうものの、仲間やゾンネ、ジハード達の協力を得て、リサを助け出し、アビスグリーフと同化してしまったケンを撃破。
その後、しばらく意識不明となったが、無事回復する。
そしてリサとの関係に決着をつけようと、待ち合わせをしたところで、ティアマットを追ってきたアゼルに襲撃されてしまう。
その際にリサが負傷。激怒したノゾムは、龍族を憎むティアマットの憎悪と同調する形で暴走してしまう。
暴走したノゾムは、駆け付けたアイリスディーナ達とリサ、ゾンネの協力で正気に戻るも、二度も仲間に刃を向けてしまったことを恥じ、自分がいつの間にかアイリスディーナ達に依存していたことに気付く。
そして本当の意味で自分の内に抱えた運命と向き合うことを決め、かつて約束を交わした幼馴染に別れを告げた。
主人公の実力
学園でのランクはD-となっているが、実際にはそれよりも遥かに強大な実力者である。
修めた刀術は、祭事から派生し、長年をかけて実践に沿うよう体系化されたミカグラ流刀術。
刀術の腕は既に師であるシノ・ミカグラに匹敵しており、特に気の制御力に関しては傑出している。その精度は、ジハードをして自分を超えていると言わしめるほど。
また、森などで魔獣相手に鍛練を続けていたせいか、気配察知能力も長けており、刀を鞘に納めたまま体術もこなす。
得意とするのは、刀身に極圧縮した気刃を施す“幻無”と呼ばれる気術であり、鋼鉄の鎧も容易く両断するほどの切断力がある。
また、本人の気量の少なさから、使用する攻撃系の気術は必然的に殺傷力の高いものがほとんど。
ノゾム自身も自らの気術の殺傷力は理解しており、普段の鍛練では攻撃的な気術を使うことはない。
だが全力のノゾムを相手にした場合、本人の刀術の技量と合わさり、至近距離での斬り合いでは刃を交えることすら危険である。この男相手に接近戦を挑んではならない。
反面、魔法の行使は苦手。
魔力の制御は多少できるものの、能力抑圧の影響等で魔法は使えず、訓練すらできなかったこともあり、術式の制御があまりにも未熟。
そのため、一般的な術式の魔法は全くと言っていいほど使えない。
ただ魔力さえ確保できるなら、陣式ならある程度使える余地があるらしい。
また、術式を完全に体術の精度に依存する儀式体術なら、問題なく使える。
ティアマットの力を解放した場合、ほぼ無尽蔵となった気量と激増した身体能力。また、殺傷力の高い気術、卓越した刀術の技量等が組み合わさり、さらに手が付けられないことになる。
その状態の実力は、シノ・ミカグラ曰く、大陸でも数人しかいないSSランクの存在すら倒せる可能性を持つほどらしい。
反面、ティアマットからの干渉も増加するので、ノゾム本人の精神状態によっては、暴走する危険性をはらむ。
また、ティアマットの力はノゾム個人の肉体に納めるには大きすぎるため、力を解放しただけで、体が自傷していく。
封魂の縛鎖
ノゾムが龍殺しとなった際に覚醒していた異能。
ノゾムが保有していたアビリティ“能力抑圧”が、龍殺しとなった際に変質したもの。本人は覚醒していることには気づかず、ずっと能力抑圧だと思っていた。
能力は、その名の通り魂の封印。
異能所有者と魂で繋がった存在を封印する異能で、ティアマットすら封じてしまうほど強い拘束力を持つ。
しかし、その為にノゾム本人の魂すら縛りつけてしまい、能力の大半が封印されてしまっている。
ノゾムの魂を調べたゾンネが命名した異能。しかし、彼の魂がどうなっているかは、ゾンネ自身も干渉できないため、詳細は不明。上記の能力はゾンネがノゾムの状態を外側から観察した結果、判明したものである。