第7章第1節
お待たせしました。第7章の開始です。
まだ地平線から朝日が昇らず、徐々に空が明るくなり始めた頃。薄明の光がアルカザムの街並みを照らし始める。
アルカザムの北区画。行政庁など、この街の頭脳が集中する区画に建てられたとある邸宅で、彼女は目を覚ました。
アイリスディーナ・フランシルト。艶やかな黒髪と、黒曜石のような凛とした漆黒の瞳が印象的な少女だ。
彼女は朝早く、使用人が起きるのとほぼ同じ時間に目を覚ますと、ネグリジェを脱ぎ捨てさっと湯あみを行う。
軽く寝汗を流した彼女は鏡に向かうと、下着を身に着け、ソルミナティ学園の制服を身に着けていく。
そして鏡に向かうと、慣れた手つきで髪を梳いていく。
アルカザムでも屈指の大国の重鎮、フランシルト家の次期頭首である彼女は、その気になればあらゆることを使用人に任せても問題がない。家の体面を考えるのなら、むしろ任せるべき人間である。
だが、基本的に彼女は自分個人の事に関しては自分自身で行う気質だった。
さっと軽く化粧を施した彼女の姿は、元々整っていた造形も相まって、美術品を思わせるほど輝いている。
だがその輝きに反して、なぜか彼女の表情は硬い。
普段の彼女は、百合の様に高貴なイメージがあるが、今の彼女はそれとは違う印象を抱く。
一文字に引き締められた口元。硬質的なその表情を崩さず、アイリスディーナは鏡に映る自分の姿を見つめ続けている。
トン、トン、トン。
無音の室内にドアを叩く音が響く。
「……入れ」
「おはようございますお嬢様。朝食の準備が整いました」
メイドの言葉を耳にした彼女はフッと窓の外に目を向ける。
先ほどまで街の影に隠れていた太陽が、その顔を覗かせ始めていた。
「……分かった。すぐに行く」
やがてドアのノックと共に、メイドから朝食の支度が出来たことを告げられた彼女は簡潔な言葉を返し、自室を後にする。
「…………」
ドアをくぐり、食堂へと向かおうとするアイリスディーナ。その時、彼女がちらりと振り返る。
ギイッと軋む音を響かせながら閉まるドアの隙間から彼女が見ていたもの。それは朝日に輝く窓の向こうにそびえる白い建物だった。
朝食を終えた後、妹と共に街を歩くアイリスディーナは、行政区から中央公園へ向かう途中でシーナ、ミムル、ティマ、そしてマルス達と合流した。
「皆さん。おはようございます!」
「おお、ソミっち。おはよ~~」
「アイ、おはよう」
「ああ、おはようティマ。シーナ君も……」
「ええ」
すっかり仲良くなったソミアとミムルが、互いに軽く手を上げ、アイリスディーナ達も小さく頷きながら、互いに挨拶を交わす。
「よう、アイリスディーナ。やっぱり早かったな」
「君もね、マルス君……」
通りの向こうからはマルスやトム、フェオ達もやってきた。
陽が昇ってきたとはいえ、この時間は登校するにはまだ早く、通りを歩く人もまばらだ。
夏が近いとはいえ、冷え切った早朝の空気はまだ肌寒く、ミムルが時々ブルリと身を震わせている。
まだ寒々しい通りを歩くアイリスディーナ達。やがて中央公園の近くまでやってくると、アイリスディーナの隣を歩いていたティマがおもむろに口を開いた。
「アイ達は、今日も行くの?」
「……ああ」
「ええ、正直私達じゃあまり大したことは出来ないけど、何もしないよりはいいと思うから……」
窺うように訪ねてくるティマの問い掛けに、アイリスディーナは憮然とした表情で答える。
アイリスディーナの返事の後にシーナが言葉に重ねるが、彼女の顔にもどこか陰があるように見えた。
「……なあ、俺達もやっぱり行った方がよくないか?」
「そうしたいんだけどね……」
「まあ、無理やろうな。ジハード先生達から許可が出ていないわけやし」
マルスの言葉に重ねるように、トム、フェオが続く。
狐尾族の青年は肩をすくめながら、不満そうに口をへの字に曲げた。
「必要以上の人間を係わらせたくない……そんなところやろ」
「…………」
フェオの言葉に押し黙るマルス。彼につられるように、辺りを沈黙が支配した。
ノゾムが解放した異質な力。それを見たジハード達は事件の混乱が小康状態になった後、アイリスディーナ達に事情聴取をした。
初めはノゾムが龍殺しであることは口にしなかったアイリスディーナ達だが、事情聴取の過程でその秘密を話さざるをえなくなった。
アイリスディーナはともかく、嘘が下手な人もいる。だからこそ、彼女達は下手にジハード達に隔意を抱かれる前に、ノゾムが龍殺しであることを伝えた。
同時にそれは、ジハード達をこちら側に引き込むという思惑もあった。
もっとも、ジハードはゾンネからノゾムの秘密を全て聞かされていたため、あくまで確認でしかなかったのだが……。
無言のまま足を進めるアイリスディーナ達。やがて中央公園に到着する。
「じゃあ、私たちはここで……」
学園への道から外れ、別の方へと足を向けるアイリスディーナとシーナ。
そんな彼女たちに、残された仲間達は努めて笑顔を返す。
「了解、ワイらは一足先に行っているわ。ノゾムによろしゅうな」
「アイツの所に行ったら頭の一発ぐらい殴っておいてくれ。そうしたら、案外衝撃で……」
「マルス君……?」
アイリスディーナたちに軽く手を揚げるフェオに続いて、マルスが軽口をたたく。
ティマがマルスの発言にジト目を向けると、彼は小さく肩をすくめた。
「……冗談だ。とにかく、アイツに言っておいてくれ。いい加減学園に来ないと成績がやばいぞってな」
「……分かった、伝えておくよ」
マルスも別に本気で言ったわけではない。単に仲間たちの気を紛らわせれば良かっただけだ。
発言としては不謹慎だが、不器用な彼なりの気遣い。
過ごした時間は決して長くはなくとも、濃密な時間を過ごしたティマ達は、今のマルスの気持ちが痛いほど理解できていた。
「姉さま、よろしくお願いします……」
「ああ……行ってくる」
先程まで笑顔を振りまいていたソミアも、今浮かべる表情は硬い。そんな妹を安心させるように、アイリスディーナはその頭を一撫でした。
「それじゃあ皆、また学園で……」
仲間たちと離れて歩き始めるアイリスディーナとシーナ。向かう先は、ノゾムが収容されているグローアウルム機関の医療施設だった。
グローアウルム機関を訪れたアイリスディーナとシーナは、まずノゾムを担当している女医に話を通し、彼女の往診について行った。
まだ夜の肌寒さが残る病棟の中を、3人は歩き続ける。
女医の後ろに続くアイリスディーナとシーナの手には、シーツやタオル、そしてピンセットやガーゼ、包帯が入った消毒盆等を抱えられていた。
「それにしても貴方達、学園の方は大丈夫なの?」
「大丈夫です。学園はこの施設のすぐ隣ですから、授業に遅れることはないはずです」
「それに、お仕事の邪魔は致しません。私たちは専門的な治療はできませんが、せめてこのぐらいはお手伝いさせてください」
女医の心配そうな言葉に、アイリスディーナたちはハッキリと返答する。
彼女達は今、この医療施設の中で一日数時間、この女医の手伝いをしていた。正確には、この医療施設に収容されているある人物の看病である。
ノゾム・バウンティス。公には伏せられているが、先日のアビスグリーフ寄生事件の際に大きな働きを示し、同時に意識不明に陥ってしまった学園生。
そう、先の事件から既に2週間近くが経過していたが、ノゾムはいまだに意識を取り戻していなかった。
そんな彼を看病したいとアイリスディーナたちが申し出てきたのが、彼が運び込まれてから数日後の事。
女医としては、専門的な医療行為に素人の学生をかかわらせる気は全くなかった為、最初アイリスディーナ達がノゾムの看病を手伝いたいと申し出た時は眉をひそめた。
本来、このような専門機関での医療に、素人や外部の人間を関わらせることはありえない。
特にノゾム・バウンティスの場合、あのジハード・ラウンデル直々に“不必要な人物との接触は厳禁である”と念を押されていた。
確かにアイリスディーナ達は学園の関係者ではあるが、グローアウルム機関の人間ではない。本来ならノゾムの治療を手伝う事は出来ず、この施設へ入ることもできないはずなのだ。
だが、今彼女達はノゾムの事に関してのみ、この施設に入ることを許可されている。
それはノゾムとの接触を禁じたジハードに対して、アイリスディーナ達が猛烈な勢いで直談判をし、かつジハードが彼女達との接触がノゾムにとっては有意義であると判断されたからだ。
とはいっても、施設の規約や医療行為等もあり、誰にも彼にも許可を与えるわけにも行かない。
それゆえに、ノゾムの看病に関しては限られた人間にのみ許可が下りた。
彼女達に許された行為は、シーツの取り換えや荷物運び、寝たきりのノゾムの体を定期的に動かして床ずれを防ぐ程度のものである。
いくら優秀でも、アイリスディーナ達は専門的な医療に関する教育を受けていない。
さらにここでの仕事に慣れていない彼女達は、簡単な仕事でもミスをすることもあった。
そんな時、女医は眉を吊り上げて厳しくしかりつけていたが、それでもアイリス達は文句ひとつ言わなかった。
むしろ、率先してどんな仕事でもこなそうとした。
そして帰り際には申し訳なさそうに“ご迷惑おかけしました”と頭を下げるものだから、この医療施設の関係者達も彼女達を邪魔に思うことはなかった。
「まあ、いいわよ。邪魔しないなら……」
その結果、普段は気難しい女医も、最近はあまり文句をいう事もなくなってきていた。
そうこうしている内に、彼女達は目的の場所へと辿り着く。
ある病室の前で立ち止まる3人。この部屋の中にノゾムがいる。
この施設に運び込まれた際、ノゾムは極度に衰弱した状態であった。始めは気を消耗しすぎた故のものかと考えられていたが、体が回復したはずの今現在でさえ、彼が起きる気配がない。
「…………」
「…………」
無言のまま、病室の扉を見つめる2人の美少女。アイリスディーナがその凛々しい眉を僅かに歪めて頬を強張らせ、消毒盤を持ったシーナの手には無意識のうちに力が入っている。
そして、そんな彼女達の憂慮を示すように、まっすぐなその瞳の奥が、陽炎のように僅かに揺れていた。
この病室を訪れる時、彼女達はいつもこんな表情を見せる。
期待を不安が入り混じったような、複雑な顔。それを心の奥で必死に押し殺しながら、毎日彼がいる病室のドアノブに手を伸ばすのだ。
そんな彼女達の様子を横目で覗きながら、女医は小さく息を吐いた。
「やれやれ難儀な話ですね……」
口では何だかんだ文句を言っているが、彼女から見てもこの2人は、他の人間とは違う気配を纏っている。
きめ細かい肌にさらりと風に流れる長髪。凛としたアイリスディーナと神秘的な雰囲気を纏うシーナとではタイプが違うが、街を歩けば誰もが感嘆の声を漏らす魅力的な女の子達だ。
厳しい学業と鍛練の日々。体と精神をすり減らすような訓練を毎日行いながらも、彼女達はここに来て、彼の看病を手伝っている。
そんな姿を毎日見せられていれば、数多の人と接してきた女医には、彼女達がどれだけ彼を心配しているかなど手に取るように分かる。
同時に、現状に手の打ちようがない歯がゆさも感じる。
ノゾム・バウンティスは現在、深昏睡状態。つまり、眠ったまま目を覚まさない状態なわけだが、詳しく調べてみると、かなり特異な状態であることが判明した。
彼は今現在かなり低体温の状態で脈も遅くなっており、動物の冬眠に近い状態であるらしい。
通常、人間は体温が20度以下になると心臓が動かなくなり、死に至る。だがノゾムの体温は31度前後に安定し、その後大きな変動は見られていない。
日々の睡眠の際にも人間の体温はある程度低下するが、その変化は平均しても一度前後。これほど大きく低下することはまずあり得ない。
一応ノゾムの体温を上げて新陳代謝を高め、覚醒を促すことも提案されたが、実際のところどうなるか分からない。
さらに今のところ急激な容体の変化は見られないため、最終的に経過観察を行い続ける事となった。
だが同時にそれは、ノゾムがいつ起きるのかもわからない状況が続くことも意味している。
「ほら……入るわよ」
押し黙る少女達を促すように女医が声を掛けると、アイリスディーナはようやく扉に手を掛けた。
ギィ……と蝶番が軋む音と共に、ドアの隙間から無機質な白に染まる病室が覗く。
だが次の瞬間、目に飛び込んできた光景にアイリスディーナ達の瞳が一際大きく揺れた。
簡素なベッドと台が置かれた殺風景な病室と、そこに横たわる少年の姿。しかし今その無機質な白に、目を奪うような紅が映えていた。
思い出したように女医が手をたたく。
「ああ、そういえば言っていなかったわね。彼女の方が先に来ていたから、先にここに行ってもらっていたのよ」
ベッドに寝たままのノゾムの顔を覗き込む一人の少女。リサ・ハウンズがそこにいた。
「…………」
「…………」
双方の視線が沈黙の中で交差した。
アルカザムのとある一室。この学園のすべての教官たちの上に立つ者の執務室で、気怠そうな声が響いた。
「やれやれ、やっと終わったわい」
「お疲れ様でした。だが貴方様なら別段問題ない事だと思いますが。……例の書類は」
肩を落としてソファーにへたりこむ白髪の老人、ゾンネ。その向かいに座るのは、この部屋の主であるジハード・ラウンデルだ。
「きちんと先方に届けたわい。ワシを態々あんな遠くに行かせた上に、使者に姿を変えたり、めんどくさい手続きを踏んだり……ジジイ使いが荒いのう」
「ですが、おかげで助かりましたよ。私達の連絡手段では時間がかかりすぎました」
気が抜けそうな老人の態度を見眺めつつも、ジハードは苦笑を浮かべる。
だがジハードはすぐに表情を引き締める。猛禽類のように鋭い眼光がゾンネに突き刺さった。
「それにこの件に関しては互いに協力が必要。そのはずですが……」
「分かっとるわい。ちょっと言ってみただけじゃ。……ワシの条件の方は聞いたじゃろ?」
「ああ……あの件ですか」
ゾンネはジハードに協力するにあたり、彼にある事を要望していた。
「そうじゃ。この学園に“楔”を打たせていただきたい……」
「……分かっています。場所の候補は一応考えておきました」
ゾンネの言葉に促されるように、ジハードはおもむろにソファーから立ち上がると、執務室の一角へと足を向ける。
彼が向かった執務室の机。その下には厳重な封をされた金庫があった。
幾重にもロックが掛けられたそれを一つ一つはずし、中から一枚の地図を取り出す。それはソルミナティ学園の見取図だった。
ジハードはゾンネの前に見取図を広げ、ある一点を指さす。
「ここなら地下に様々な魔法施設があります。貴方の言う“楔”も、ここならこの学園の教官たちにも気づかれないかと……」
“楔”
傍から聞けば訳が分からない言葉。だがここにその詳細を追及する者はないない。
「確かに、上の施設が偽装になってくれるか……」
「ええ、問題は上部の施設の影響ですが……」
「その辺は問題ないじゃろう。ワシの魔法はお主達のものとは根本的に違うからの……」
「それともう一つ、頼んでおいた件ですが……」
「ああ、調べておいたわ」
そう言いつつ、ゾンネが懐から丸められた紙束を取り出し、広げられた学園見取図の上に放り投げた。
「ありがとうございます」
礼を言いながらその網束を手に取り、中身を確かめるジハード。
紙束には文字が隙間なくびっしりと書かれ、さらに一枚の地図が添付されていた。
それは中心から蜘蛛の巣を張るように描かれた、アルカザムの地図。そこにはあちこちに赤い印がつけられている。
「その件に関して、ワシはもう手伝えんぞ」
これでこの件は終わりというように、ゾンネが話を打ち切る。ジハードもそれは承知の上なのか、小さく頷いた。
「分かっています。後はノゾム君の方ですが……」
「まだ目を覚ましておらんのじゃろう? 心配ないわい。小僧が眠っているのは、今まで眠っていた……というか、自覚していなかった自分の能力が突然発現したからじゃ。まあ、ティアマットの影響もあるのかもしれんが……」
ソファーに深々と腰掛け、ふんぞり返りながら、分かり切ったことと言うようにプラプラと手を振った。
「そもそも、小僧の能力はティアマットの力と違い、元々あやつ自身を傷付けるものではない。今は眠っていても、落ち着けば覚醒するじゃろう」
その言葉を聞いたジハードの目が鋭くなる。
「……やはり、もう彼の体を調べられたのですか」
「当然じゃろう。元々ワシの目的はあの小僧の行く末を見守ることじゃ」
正直な話、学園関係者でないゾンネにノゾムと会う許可を出した覚えは、ジハードにはない。だがこの老人の事だ。こっそり忍び込んで彼の体を調べたのだろう。
勝手をされたことにジハードは眉をひそめるが、半ば呆れとともに、ジハードは小さくため息を吐いた。
この老人の桁外れの実力を考えれば、あの施設に入り込むことなど容易いのであろう。
「ノゾム君を見守るといいますが、それにしてはあまり積極的に彼らと関わろうとしないのですね」
「はて? そう見えるかのう?」
心外だというようなゾンネに対し、ジハードは目を細めたまま、目の前の老人から視線を逸らさない。
明るい早朝の執務室に、言いようのない重い空気が満ちる。
いや、重苦しい気配を発しているのはジハードだけで、ゾンネはリラックスしたまま、首を傾げて顎髭を撫でている。
老人に気負った様子はなく、動揺は微塵も感じられない。
「貴方の正体を考えれば理解できなくもないですが……それ以外にも何か理由があるように見えるのですが……」
「そうか? そんな事はないと思うのじゃが……」
「……そうですか」
首を傾げて顎髭を撫でるゾンネと、そんな老人を睨み続けるジハード。
しばしの間、静寂が執務室を支配する。
「“楔”の件については今晩、月が昇り切るころに……」
「分かった。それでは、その時に……」
沈黙を破ったのはジハードだった。それに続くように、ゾンネはソファーから立ち上がり、踵を返す。
ジハードには老人が語るつもりがないのか、本当に何もないのかわからなかったが、執務室でこれ以上話を続けることは難しかった。
遠くに感じる複数の気配。教官や生徒達が学園に登校してきたのだ。
今日もまた一日が始まる。
ケン・ノーティスが引き起こした事件からある程度時間が経ち、学園内は段々落ち着きを見せ始めていた。
だが水面下では未だに強烈な嵐が吹き荒れている。
その嵐、この学園にどのような結果をもたらすのだろう。
最も若き龍殺しであることが発覚したノゾム・バウンティス。
彼を取り巻くアイリスディーナ・フランシルトを始めとした友人達と、元恋人であるリサ・ハウンズ。
メクリアを始めとした外部勢力の動向。
そして、目の前の老人。
今、この学園で大きな何かが動き続けている。
杖を掲げ、光と共に姿を消していくゾンネを眺めながら、ジハードはそれをヒシヒシと感じていた。
というわけで、第7章第1節、いかがだったでしょうか。
はい、ノゾム君。まだ起きていません。
いきなり不穏な空気で始まった第7章。明るい学園生活期待していた方ごめんなさい!
まあ、ゾンネの話ではいずれ目が覚めるみたいですが……。