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第6章第23節

 捜査本部が置かれた学園のとある一室では、この作戦を指揮している主要メンバーがあつまり、各所から届けられた情報を精査している。

 部屋の中央には直径数メートルの魔法陣が張られ、淡い光を放ちながら規則的な明暗を繰り返している。

 魔法陣の中央には台が置かれ、一抱え程もある縁石が鎮座し、各所からの報告が随時届けられてきていた。

 縁石の傍にはティマが手をかざして周囲に魔力を放出し、シーナが目の前の少女の魔力に集まってきた精霊達を束ねている。

 台の床一面には縁石を安定させるための魔法陣が描かれており、トムとインダが術式の維持に精を出していた。また彼女たちの近くにはジハードとマウズが控え、彼らは机の上に広げられた地図を眺めている。

 地図上には様々な色の駒が置かれ、各所からの報告により、その駒の位置が刻一刻と変わっていく。


「ジハード殿、容疑者や内偵役の彼女の方は……」


「迂闊に人を付けるわけにもいかぬから、こちらから選んだ腕利きをつけております。問題はないと思われますが……」


 ジハードの説明に警備隊長のマウズが納得したように頷く。

 一時的にカミラを追跡から外したジハードは、彼女とケンの後を付けさせていた2人の追跡員の片方にカミラの護衛と監視を任せ、残った追跡員に再びケンの監視を行わせていた。


「本部から“星影”へ、そちらの状況はどうだ?」


 ジハードが縁石に声をかけると、ほのかな光と共に、低く、ぐもったような声が返ってくる。


“目標は内偵者と別れ、市民街の裏路地へと入りました。周りに人影はありません”


 追跡員からの自信に満ちた返答に、ジハードが満足そうに頷く。

 ケンの後をつけている追跡員から続けて送られてくる情報を元に、ジハードは机の上の置かれた地図を眺めながら、地図上の駒を動かし続ける。


「そうか、カミラ君の方は問題ないな?」


“はい、万が一に備えて相方が傍にいます”


「ならいい、君はそのまま追跡を続けろ」


“了解”


 簡素な返答の後、ブツンという縄が切れるような音と共に、輝いていた縁石の光が若干納まる。おそらくケンの追跡に戻ったのだろう。


「インダ殿、他の憲兵達は?」


「行政区、および商業区の境界近くに待機しています。目標の近くには市民街のA、B班が待機中、C、D班はその後ろで待機しています」


 ジハードの質問に簡潔明瞭に答えるインダだが、かざした手から漏れる魔力光や床の魔法陣の光にぶれは全く見受けられない。

 一方、同じように魔法陣の制御を行っているトムの顔は真剣そのもので、やや表情も硬い。おそらく魔法陣の制御に手一杯で、他を気にする余裕がないのだろう。


「大したものですな、インダ殿」


 今回の作戦の要であるシーナ達の補助をしながらジハードのサポートまでこなす才女の姿に、先ほどからトムはおろか、警備隊長のマウズですら感嘆の声を漏らしている。

 しかし周りが驚愕に包まれている中でも、ジハードとインダは冷静に、かつ的確に状況の変化を見守っている。

 ケンを示す赤の駒と、憲兵達を示す青の駒の間隔が徐々に狭まってくる。 それと同時に、後方に待機している青の駒が、ケンの退路を確実に一つ一つ潰していく。

 確実に構築されつつある包囲網を前にしながら、ジハードは眉ひとつ動かさずに縁石から送られてくる報告に耳を傾けていた。


“本部、目標から魔力反応が検出されました。同時に目標を水が覆い始めています”


 ケンを監視していた追跡員の若干上ずった声が縁石から響いてくる。

 同時に張りつめる緊張感。“魔力反応”と“水”という言葉から察するに、ケンが水鏡の心仮面を使い始めたにはほぼ間違いない。これで彼がこのアビリティの保持者であることがほぼ確定した。


「よし、これからが本番だ。各自、通魔石の反応に細心の注意を払い、連絡を密にして目標の監視を続行せよ」


“市民街A班了解”


“市民街B班了解”


“市民街C班、及びD班了解”


 ケンを包囲している各所から上がってくる命令受諾の返答。

 これからが本番である。水鏡の心仮面で対象の姿形が当てにならない以上、これから先の事は手にした通魔石と彼らの魔力察知能力にかかっている。

 水鏡の心仮面を発動したケンの逃げ道を潰しつつ動向を監視し続け、事を起こそうとしたらすぐさまケンの確保に移る。

 動く時は市民街に配置された4班の内2班が容疑者の確保に回り、残り2班が退路を断つ予定だ。

 さらに北区画と南区画に配置された人員の半分を市民街との境界近くに配置している。いざとなれば彼らもケンの確保と逃走経路の遮断に動く手筈だった。


「場合によっては即座に目標の確保に移る。その場合、まずはA班、B班が目標に接触し、C班とD班は退路の遮断を行う。目標と接触する際は……」


 もしケンが不審な行動を起こした場合、ジハードはすぐさま“それ相応の対応”を行うつもりだった。でなければたった一人に対してこれだけ厚い包囲網は造らない。

 その命令を、縁石を通して各所に伝達しようとした瞬間、今まで魔法陣の上でほのかに輝いていた縁石の光が、突然不規則に明滅を繰り返し始めた。


「なっ!? これは!」


 続いてバチバチと嫌な音を立てて紫電を放ち始めた縁石に、ティマ達が目を見開く。


「ま、魔力暴走?……でもなぜ!?」


 事態の急変に逸早く気付いたインダが何とか魔力の制御を試みるが、縁石から溢れる魔力光の勢いは一向に弱まる気配がない。


「何事だ!」


「分かりません! 突然縁石の術式が……」


 ジハードが声を荒げるが、迸る魔力はまるで枯葉に付いた炎のごとく猛り狂う。

 

「まずい! 全員伏せろ!」


 次の瞬間、真っ白な閃光が室内一杯に満たされ、轟音と衝撃波が本部室内を蹂躙した。













 市民街の一角。人気の少ない街の片隅で、夕陽に照らされた家の影の一部がモゾリと動いた。目を凝らしてみると、平服を着ている市民が、気配を消しながら口元を当てて何か喋っている。


「本部、容疑者は40代程の中年男性に変化し、北東へ移動している」


 手に持った通魔石で本部と通信を試みているのは、ケンの後をつけていた追跡者の一人。

 相方に内偵を行っていたカミラを任せ、彼は容疑者の追跡に専念していた。


「本部、どうかしましたか?」


 容疑者であるケンの状況を逐一伝えていた追跡者。だが報告をしても返答がない事に気付いた彼は何度も通信を試みるが本部からの応答がなく、手に持った通魔石はウンともスンとも言わない。

 魔力を込めれば赤く輝くところを見ると通魔石そのものには異常はない。

 何かトラブルでもあったのだろうか?

 不安になる疑問が脳裏をかすめる。通話の用を成さなくなった通魔石を睨みつけながらも、追跡者は冷静に判断を下した。

 目の前には中年の男性に姿を変えたケンが、えっちらおっちら歩いている。おそらく彼は目撃者の目を誤魔化すために、こうして街中を歩きながら、何度も変化を繰り返すつもりなのだろう。


「目を離すわけにはいかないな……」


 追跡者は相手が学生とはいえ、相手の力量を見くびったりはしなかった。

 目の前の容疑者は経験不足は否めずとも、能力だけならAランクに届く人間。どんな事で自分の追跡に気付くか分からない。逃げに徹されて見失ってしまったら作戦すべてが無駄になるだけではなく、今後の街の治安にも影を落とすことになりかねない。


「幸い、包囲網はほとんど出来あがっていたはずだ。場合によっては現場判断で目標の確保をするかもな……」


 本部との通信が無くなっても、自分の任務を全うしようとする追跡者。建物の陰から音もなく通りに出ると、20メートルほど先を歩く容疑者の姿を捉えながら、気付かれないように追跡を再開する。

 やがてケンが通りを曲がり、家の陰へと消える。

 追跡者は容疑者を含めた周囲の気配を確かめながら、慎重に、かつ素早く足を運ぶ。

 そして周囲に容疑者以外の人間の気配がない事を確認すると、今しがたケンが消えた家の隅に張り付いて、容疑者の姿を確認しようと覗きこむ。

 だが次の瞬間、彼の首筋に衝撃が走った。

 

「な、何……」


 ぶれる視界と共に足から力が抜けていく。

 彼には訳が分からなかった。周囲には容疑者であるケンの気配以外はなく、そして容疑者の気配はまだ自分からは離れている。

 まるで糸の切れた人形の様に、彼の体は地面に崩れ落ちる。

 混濁したまま遠くなっていく追跡者の意識。薄暗い夕焼けの中、ぼやけた彼の視界には自分を覆う影が映った。

 影は全身をすっぽりと外套で覆い、顔はおろか体格すら判別できない。分かるのは、その影が人の形をしているという事だけ。

 人影は動けなくなった追跡者を一瞥すると、懐から光る袋を取り出し、その中身を空中に撒き散らす。

 袋の中に入っていたのは光り輝く粉。黄昏の空にキラキラと散っていく光に目を奪われながら、消えかけていた追跡者の視界は真っ暗に閉ざされた。










 市民街に配置され、ケンの包囲網を構築していた憲兵達は、突然遮断された通信網に驚きながらも、何とか冷静さを保とうとしていた。

 家の陰に隠れながら顔を突き合わせる憲兵達。隠密作戦ゆえに彼らの服装は一見すると冒険者と見えるようなもので統一されており、土や埃で顔もある程度汚してある。


「本部との通信は?」


「駄目です、応答がありません……」


 幾ら通信を試みても、赤く光る通魔石からは何の反応も帰ってこない。しばしの間沈黙が流れた後、市民街に配置された憲兵を束ねるA班のリーダーが顔を上げ、何かを決心したような顔で全員を見渡した。


「……仕方ない。最悪の場合、私達だけで容疑者を確保するぞ」


 リーダーの言葉に、その場にいた仲間達が小さく頷いた。

 大規模に組織立って動くことは不可能ではあるが、市民街に配置されている隊員同士であるなら、まだ連携はとれるかもしれない。


「幸い私たちは容疑者の周囲を包囲している。C、D班はそのまま包囲網の維持を。A、B班が包囲網内に突入。通魔石の変化に注意しながら、目標に接触。容疑者を確保するぞ」


「了解しました。B、C、D班にも伝令を出します」


 伝令がすぐさま動き出し、通信が途絶する直前に分かっていた他の班の位置へと走り出す。

 

「行くぞ」


 隊員達に告げて、リーダーが通魔石を取り出す。その瞬間、リーダーは目を見開いた。懐から取り出した通魔石は既に淡い赤光を放っていたのだ。それは他の隊員も同じ。すでに魔力を纏った存在が近くにいる事を示している。


「各自、目標が近くにいるぞ! 通魔石に注意を払いながら探せ!」


 リーダーの命令に、隊員達が弾かれたように周囲に散らばり、手に持った通魔石でケンを捜索する。

 だが不思議な事に、隊員の距離が離れても通魔石は赤く光ったまま光り続けていた。

 

「ど、どういうことだ?」


「こちらでも反応が出っ放しです! これじゃどこにいるか分からない!」


 戸惑う隊員達の声が周囲に響く。


「落ち着け! この辺一帯のみで起こっているだけなのかもしれない! とにかく、通信が切れる直前に容疑者がいた地点へ行くぞ。それまでにはこの異常も元に戻るかもしれない」


 素早いリーダーの判断に、動揺が走っていた隊員達はすぐさま冷静さを取り戻し、ケンがいたと思われる場所へと急ぐ。

 しかし、彼らがその場所に辿り着いても容疑者であるケンの姿はそこにはなく、通魔石は赤い光を放ち続けていた。

 そして通魔石が光り続ける現象はA、B班だけでなく、なぜか周囲を固めていたC、D班まで伝搬しており、彼らは容疑者の姿を完全に見失ってしまった。











 通信網の遮断の影響に戸惑ったのは市民街の班だけではない。後詰として配置されていた行政区、商業区の班も同様だった。

 商業区に配置された班の一つの中にはマルスとミムルの姿があり、互いに難しい顔をして手元にある蒼い石を眺めていた。


「どうするの? この石、ウンともスンとも言わなくなっちゃったんだけど?」


 ミムルが手に持った通魔石を摘み上げ、プラプラと揺らしている。


「……ぶっ叩いたら直るかな?」


「マルス君の馬鹿力に叩かれたら直るどころか致命的に壊れるだけだと思うけど?」


「だよな……っておいこら、どういう意味だ」


 マルスが心外だと言わんばかりにジト目でミムルを睨みつけるが、一方のミムルは摘み上げた通魔石を覗きこんだり、ピシピシと指で弾いたり、「あ~あ~」と声を掛けたりしている。マルスの抗議の視線は完全無視だった。


「だめだね、返事がないよ。魔力には反応するみたいなんだけど……」


 無視されたマルスが溜息を吐くのをよそに、ミムルが通魔石に魔力を込めると、かの石はほのかな赤光を帯び始める。

 これだけなら問題は無いようなのだが、何処にも通信が繋がらないのは変わっていない。

 この手の知識に乏しいマルスとミムルではどうにも手の施しようがなく、2人はそろった肩を落とした。


「通信できなくなったのは私たちの通魔石だけじゃないみたいだね……」


 ミムルがちらりと横目で隣を覗き込むと、お目付け役の憲兵が必死の形相で本部との通信を試みていた。

 しかしいくら魔力を込めても通魔石は赤く光るだけで、一切言葉を返してこない。

 やがて憲兵は通信が一切帰ってこないことに、これ以上呼びかける事を諦めた。


「どうするつもりです?」


「通信が回復しない以上、下手にここを動かずに伝令を待つ。幸い通信が切れるまでは容疑者が市民街にいることは分かっていたからな」


 どうやら憲兵達は市民街と商業区の境界に警備を集めたままの現状をしばらく維持するようだ。


「行政区にいるアイリスディーナさんとフェオの方はどうなんだろう?」


「さあな。状況が全く分からなくなっちまったからな。本部との通信が生きているなら指示通りに動いているだろうし、もし命令がなかったら現状を維持していると思うが……」


 実際、アイリスディーナ達が参加している行政区、そして東側の職人区の班は、とりあえず現状を維持し、伝令兵が伝えてくる指示を待っていた。

 とはいえ、通信網が遮断されている以上、すぐに情報が入ってくるわけではない。なのでマルス達はその場に待機して、伝令兵が来るのを待ち続けた。

 周囲に建ち並ぶ家の壁に背を預け、体の力を抜く。通りの先に目を向けると、大通りを行き交う人々がチラチラと見える。

 昼の街から夜の街へと様相を変えつつある商業区。その喧噪は大通りからは離れているマルス達の耳にも届いていた。


「どいて、どいて! 急いでいるんだから!」


「おぅ~い、きょうはどの店に行く~」


「お兄さん。どう、今晩遊んでいかない?」


 陽が落ちかけても街中を走り回って商いに精を出す商人、一日の仕事を終えて、明日の英気を養おうとする労働者、これからが商売時と気を張ってお客を呼び込もうとする女性達。

 家々の隙間から見え隠れする人々。服装は千差万別で、ここが混沌とした商業区であることを象徴するような光景だった。


「おや、お主ら、何でこんな所におるんじゃ?」


「ん?」


 ふと、マルス達の耳に聞こえてきたしわがれた声。一体誰かと首を捻ると、ローブを纏った老人が佇んでいる。

 その老人、ゾンネに気付いたマルスは目の前の老人の破天荒さを思い出し、顔を顰めていた。


「エロジジイこそ、何でこんな所にいるんだよ。娼館はあっちだぞ」


「お、悪いのう。さて、今日はサテラちゃんとしっぽり……じゃないわ! いきなり挨拶もなく失礼な奴め……」


 怒りながらもしっかりとノリ突っ込みをしてくる辺り、相変わらずこの老人は面白い性格をしている。

 いきなり現れたゾンネに多少驚いたマルスだが、いつもと変わらない、だらけた老人を前にして早くも面倒な気がしてきた。


「で、お爺ちゃんは何でこんな所に?」


「ん? ワシの家がこの辺りだからじゃよ? それよりも、中々お綺麗な子猫ちゃんじゃのう~。肌つやも命の輝きに満ちあふれとる。尻尾の毛並みなど最高じゃ」


 そして恒例通り、ゾンネはこの班にいた唯一の女性であるミムルに粉をかけ始める。

 ミムルの尻尾や太ももに嫌らしくない程度に目配せし、褒め称える。

 呼吸をするように口から出てくる色好い言葉に、周りにいた私服姿の憲兵達も面食らっていた。

 確かに俊敏な動きを得意とするミムルの肢体は、獣人特有の生命力としなやかな筋肉を併せ持ちながら、同時に女性としての柔らかさも感じさせる。

 普段はその元気の有り余る様相に隠れていてあまり目立たないが、顔立ちも整っており、シーナと並んでも遜色ない程だ。


「お嬢さん。これから月の下で、ワシのお嬢さんへの愛の詩を歌わせてくれんか!?」


 気障ったらしく胸に手を当てながら、ゾンネはミムルに舞台劇所の役者のように愛の告白を贈る。もっとも、その仕草はあまりに気障すぎて、マルスも憲兵達もどん引きしていたが。


「ゴメン、好みじゃない」


「ふお!」


 そして当然のことながら、ミムルはゾンネの告白をウザそうに一刀両断した。

 ズバッと小気味いい音が聞こえるくらいの見事な“お断り”である。


「大体、私にはトムがいるの。トムは凄いんだから。すっごく勉強が出来て、私と同じ歳でトルグレイン先生の助手をしているし……」


 ミムルに“お断り”されたゾンネが立ち直る前に、ミムルが自分は売約済みだと宣言する。続いて始まったのは、自分の恋人を褒め称える賞賛の嵐だった。


「いつも私のこと気に掛けてくれて、訓練でちょっとした怪我しても気付いてくれて……」


 頬を赤らめながら、ミムルは艶っぽい表情で演説をし続ける。

 尻尾をクネクネさせながら、上目遣いで空を見上げるその様は、愛しい人を思う姿そのもの。端から見て……こちらもウザかった。


「……なんか、変なスイッチ入ったな」


 留まるところを知らないミムルのトムに対する想いは、数分経っても途切れることはなく、むしろその勢いを増していく。

 話を挟んで止めようとする猛者も何人かはいたが、いくら話しかけてもミムルの“トム好き好きコール”は収まらない。


「シーナは何か言葉を濁して食べてくれないけど、私の手料理、笑顔で食べてくれるし……」


「いや、それって単に顔が引きつっているだけだと思うし、それでも食べるのは単に抵抗できないだけじゃ……」


 なにやら物騒な勘違いも混ざり始めた。あの運が悪ければ死にかねない味覚破壊料理を食べたいと思う人間はいないだろう。トムの性格を考えれば、押しの強いミムルの言葉を押し退けられるとも思えない。


「う、うう、またしてもワシの真摯な愛が……」


「いや、さっきの誘いのどこが真摯だったんだよ……」


 周囲の憲兵達が防戦と事の成り行きを見守っている中、再び恋破れたゾンネが憂いの声を上げる。

 だが、さすが“自称”恋に生きる詩人。心臓にはやはり毛が生えているようだ。

 そしてゾンネはまるで雷が落ちたかのようにガバッと顔を上げると、血走った眼を浮かべて空へ吠え始めた。


「やはり、ワシの嫁(予定)はあの麗しい黒髪の君しかいない! おい坊主! ワシの黒髪の君はどこじゃ!」


 黒髪の君……おそらくはアイリスディーナの事だろうと、マルスは当たりを付ける。


「……さあな。というかアイリスディーナの奴がジジイを気に掛けているのか? 話を聞く限り拒絶されっぱなしだったじゃないか」


 鼻息荒くして掴み掛ってくるゾンネにマルスの返答も辛辣だ。

 突然頂点に達した老人のテンションと、既に暴走を始めている山猫娘。この状況に辟易したのか、マルスの返答はかなり投げやりだった。

 とはいえ、ゾンネがアイリスディーナに全く相手にされていないことは周知の事実。占いにかこつけて肌に触れようとしたり、大事な妹に粉をかけようとしたり。正直、惹かれる要素がない。

 今まで散々あしらわれたことを思い出したのか、息巻いていたゾンネが押し黙る。


「…………」


「…………」


 無言で見つめ合うマルスとゾンネ。互いに苦虫を噛み潰したような表情をしているあたりが妙にシュールである。

 しばし沈黙が二人の間に流れたが、次の瞬間、突然ゾンネが世を儚むように頭を抱えて嘆き始めた。


「……くそぉう! おぅのれ! またしてもあの小僧か!」


「いや、その反応は分かっていたけどよ……」


 相手にされていないと告げられたゾンネの頭に浮かんだのは、おそらくアイリスディーナに今一番気にかけられている人物だろう。

 マルスの脳裏にも“アハハハ……”と苦笑を浮かべている親友の顔が過っている。


「うう、孤独なワシの心は傷だらけじゃよ。誰か、ワシの心を癒してくれる人はおらんのか……」


 気のない笑みを浮かべているノゾムの顔を浮かべたマルスは思わず破顔する。一方、完全に失意の底に沈んでいたゾンネは、何やら虚ろな顔で虚空を眺めていた。


「そうじゃ、こんな時に黒髪の妹君なら……」


 聞こえてきたのは何やら嫌な予感を感じさせる言葉だった。

 黒髪の妹君。その人物にマルスは一人しか心当たりがなかった。

 

「……お~い。不審者見つけたわ」


「は?」


 マルスは無言のままゾンネの首に手を回し、その身を拘束する。当然のことながら、いきなり拘束されたゾンネは訳が分からず呆けていた。


「な、何を言っておるんじゃ! 何でワシが不審者されなきゃならんのじゃ!」


「11歳の女の子に泣き付こうとした奴が何言っていやがる! 一体何をするつもりだ、この歩く猥褻物!」


 思わず大声を出してしまい、腕に力が篭もった為に老人の首が締め付けられる。

 耳元でグエ! 潰れた蛙のような呻き声を聞きながら、マルスが牛頭亭で起こったストリップ騒動を思い出していた。

 目の前の老人の扇動によって引き起こされたあの惨劇。普段から喧噪が絶えない牛頭亭ではあるが、あの時は客が完全に暴徒と化すような騒動だった。

 結果的にその場にいた全員が鬼神と化したエマによる制裁を受けたが、それでも懲りないゾンネにマルスは怒り心頭であった。


「何を勘違いしとるんじゃ! あの黒髪の妹君にはワシの愛はまだ早いわい! ただ、あの元気ハツラツな笑顔にちょっと癒されたいと思っただけじゃ!」


「む……」


 苦し紛れの言葉かもしれないが、意外にもその言葉はすんなりとマルスの耳に響いた。

 まあ、ソミアの笑顔に元気づけられるのはマルスも分からなくはない。邪気のない純粋な笑顔は、ささくれ立った心に染み渡るだろう。

 家では何気にヒエラルキーの底部にいる所為か、マルスもゾンネの気持ちがちょっと分かるようだ。老人を拘束していた腕から僅かに力が抜ける。

 だがその時、マルスは自分の両脇に剣呑な気配が現れたことに気付いた。首を振って左右を確認すると、そこには顔を強ばらせた憲兵が佇んでいる。


「……拘束するぞ」


 低く、ドスのきいた声で、憲兵が有無を言わさず老人を拘束する。


「な、なんでそうなるんじゃ! そもそもお主ら何者じゃ!」


 この時の憲兵達は私服姿で、いつもの鎧を纏っていない。薄汚れた麻服と顔、そして腰に差した使い古した得物と、パッと目には冒険者にしか見えないだろう。

 だが背筋を伸ばし、きびきびとした動きはやはりこの街の平穏を預かる憲兵達の姿であると感じさせる。そんな憲兵達が先程のゾンネの発言を聞いて、無視すると言うことはあり得なかった。


「この街を守る憲兵だ。班長、不審者がおりました」


「分かった、2人で詰め所まで連行しろ。だが、身柄を預けたらすぐに戻るんだ。今は大事な捜査の途中だからな」


 私服姿の憲兵に両脇を固められ、そのまま連行されそうになる色欲爺。だがゾンネも必死の抵抗を見せていた。


「話を聞かんかい! ワシは善良な市民じゃ!」


「……マルス君。知り合いみたいだが、この老人は本当に問題ないのか?」


「あっと……。そりゃあ……」


 一応顔見知りであるマルスにゾンネの人となりを尋ねてくる班長。だが彼は明らかに不審者を見る眼でゾンネを睨み付けている。

 どう答えたらいいのか逡巡するマルス。確かに歳不相応な精力を持て余し、とんでもない問題を起こすトラブルメーカーではあるが、力ずくで女性を手込めにしようとするような人間ではないことはマルスも短い付き合いの中で理解している。なので、さすがに拘束して連行するのはどうかと言う想いがマルスの中にはあった。

 まあ、完全に問題がないかと言われるとハッキリと首を振って答えるのだろうが。

 とはいえ、この逡巡が老人の運命を決定づけた。


「……連れて行け」


「……あ」


 マルスが迷う様を見て、この老人に問題ありと判断した班長が部下に連行を命じる。

 マルスが止める間もなく、使命感に溢れる憲兵達はビシッと敬礼を返すと、ガッチリとゾンネを拘束したまま詰め所へと歩き始めた。


「ちょっ、放さんか! ワシは何もしとらんわ~~~!」


 マルスの耳にゾンネの叫びが木霊する。懇願にも似た悲鳴を聞きながら、マルスは疲れた様に大きく肩を落とす。

 その後、本部からの伝令兵から受け取ったジハードの命令により、マルス達は市民街との境界近くを入念に探索することになる。

 他の地区にもジハードの指示が伝えられ、それぞれが管轄している地区の監視を重点

 しかし、肝心のケン・ノーティスの反応を探し当てることは中々出来ず、さらに市民街の班が容疑者を見失ったことで、彼らはやむを得ず範囲を広げつつ捜索を継続することになるのだった。

 













 夜の闇に沈みかけた中央公園では、ケンの内偵を行っていたカミラがベンチに座り込んでいた。

 この時点で縁石は壊れ、通信網はすでに死んでしまっているのだが、まだカミラはその事実に気付いていなかった。

 彼女の周りにはこの場で待つように指示したケンの姿は見えない。

 カミラの脳裏に不安がよぎる。

 本当にこの場にケンは来るのだろうか? もしかしたら自分の内偵はケンに知られていて、もう既に彼は自分の目的を果たしてしまぅたのではないだろうか?

 唯一人、ベンチに座り込んで答えの出ない考えに没頭するカミラ。そんな不安を紛らわすためか、彼女は手に持った蒼い通魔石を何度も握り直していた。


「カミラ、待たせたね……」


 考えに耽っていたカミラの後ろから、突然呼びかけてくる声。

 突然の声にビクッと身体を振わせたカミラが跳ねるように立ち上がって振り返る。


「……え? ノ、ゾム?」


 驚きのあまりカミラの表情が固まる。振り返った彼女の瞳が映したのは、紛れもなくノゾム・バウンティスの姿だった。

 一瞬カミラの表情が固まるが、彼女はすぐに目の前に立つノゾムの姿に違和感を覚えた。

 ノゾムには監視役である憲兵がついている。だがその憲兵の姿は周囲には全く見えない。ノゾムが自分のアリバイを証明してくれる憲兵から逃げ出すということはまず考えられなかった。ならば目の前にいる人物は……。


「まさか……」


「まあ、その通りだよ」


 カミラの心を読むかのように、目の前のノゾムが口元を歪めて首肯する。その笑みはこの事態を引き起こした張本人と同じもの。

 間違いなく、目の前に立つノゾム・バウンティスはケン・ノーティスが水鏡の心仮面で化けたものだった。

 カミラの顔が驚きの表情で固まったまま、彼女の視線が目の前の人物の脚先から頭の天辺まで何度も行き来する。

 カミラ自身信じられないほど、目の前に立つケンの姿はノゾムと瓜二つだった。


「カミラ、それは何?」


 ケンの視線がカミラの手元にある通魔石に注がれる。

 カミラがサッと手に持った通魔石を後ろに隠す。彼女の背筋に一瞬冷や汗がタラリと流れていた。


「……べ、別に大したものじゃないわ、最近リサが元気ないから、励まそうと思ってプレゼントするつもりだったのよ」


「……ふ~ん」


 何とかごまかそうとしているのか、カミラは目線を逸らして気拙そうな雰囲気を醸し出す。

 確かに通魔石は一見するとアクセサリーのような形状をしているが、ケンは訝しげな目線を送っている。

 怪しまれては不味い。そんな考えが脳裏に過ったカミラは、俯いて悲しそうな表情を浮かべた。


「別にいいでしょ。もうリサの隣にはいる事は出来ないけど、彼女が元気になるのを願うくらい……」


 バクバク鳴り響く心臓と、気が動転しそうなほどの緊張感を押し殺す。カミラ自身自分が演技に向いた性格とは思っていないが、俯いて歯を食いしばっている表情はとても演技には見えない。

それもそうだろう、言い放った言葉は彼女の本心でもあったのだから。


「別にそんな事心配する必要はないと思うけどね。これが終われば、リサの杞憂はなくなるんだから」


 重苦しいカミラとは裏腹に、ケンは気安い表情を浮かべている。

 そんなケンに煮えたぎる怒りを押し殺しつつも、カミラは何も話しかけずにじっとしている。

 

「まあ、とりあえず行こうか。これからが本番だし、カミラにはぜひ手伝ってほしいからね……」


 しばしの間カミラを見つめていたケンだが、小さく肩をすくめるとカミラを促すように歩き始めた。


「どこへ行くつもりなのよ……」


 目的地も告げずに歩き始めたケンの後に続きながら、怪訝な顔を浮かべたカミラが尋ねてくる。

 だが、ケンは振り向きもせずに


「ねえ、聞いているの?」


 繰り返しケンに訪ねてくるカミラ。背中越しに掛けられ続ける声に勿体つけたようにケンが振り向く。

 そして全身に怖気が走るような冷たい気配を滲ませながら、ケンは呟いた。


「エクロスだよ……」


 その言葉にカミラは耳を疑った。



 





 暮れなずむ街に真紅のカーテンが流れる。

 ソルミナティ学園の周囲をすっぽり覆う中央公園で、リサは公園のベンチに腰掛けながら、一人物悲しさを感じていた。


「ケン達、どこに行ったのかしら……」


 放課後に見かけたケン達を追いかけたリサだが、彼女が校舎の外に出た時には既に彼らの姿はなかった。

 下校する学生達は他愛ない話に盛り上がりながら、無邪気な笑みを浮かべている。

 まるで悩みなど何一つなさそうな、澄み渡った笑顔。

 そんな彼らの楽しそうな姿を眺めていると、リサの胸の奥では疼いていた疎外感がより一層大きくなっていく。

 寂しさからしばらく周囲を探してみたものの、やはりケン達の姿はない。

 ベンチの背もたれに背中を預けながら、リサは星が瞬き始めた空を見上げる。その顔は憂いを帯びた色に染まっていた。

 暴行容疑で逮捕され、牢屋に収監されていたノゾムが今朝、証拠不十分で釈放された。

 ジハードとの模擬戦で再び注目の的になっていたノゾム。

 彼の周りで起きたこの一連の事件は、彼が釈放された時は既に様々な形で学園中に飛び火し、ありもしない憶測が学園中に蔓延していた。

 ノゾムに否定的な人間は本人がやったことだと断定し、逆の立場の人間が偽物だと主張する。

 学園に戻ってきたノゾムや彼と親しい人物から真相が聞けなかったこともあり、話の中にはドッペルゲンガーが街にいるとか、全員が悪戯好きの妖精に化かされたとか、荒唐無稽なものまで飛び交う始末である。

 そんな中、リサには話を聞きにくる生徒はいなかった。皆噂の渦中にいるリサに話を聞き辛かったのか、まるで腫れ物を触る様に彼女を遠巻きに眺めるだけだった。

 まるで見世物の様に見つめられ、周囲からはヒソヒソ話が聞こえてくる。目を向ければ覗いていた相手は気まずそうに眼を逸らしてフッといなくなる。

 そんな学園の雰囲気は、最近不安定になっていたリサをさらに追い詰めていた。

 教室でのことを思い出し、リサは暗い顔を浮かべて一人寂しくベンチに座り込む。

 その時、目の前に同じソルミナティ学園の制服を着た女子生徒達が映った。見たところ、同じ3学年の生徒であるようだ。


「ねえ、結局この前、商業区で起こった事件ってどういうことだと思う?」


「なんだか学園中でいろいろ言われているよね。ノゾムがやったんだとか、偽者だとか。はたまたドッペルゲンガーが忍び込んだって言う話もあるし……」


 下校していた2人の女子生徒。彼女達が話していたのは、やはりここ最近学園内で話を席巻しているノゾム・バウンティスの噂だった。


「さあ、分からないけど、バウンティスとジハード先生が模擬戦をした直後のこの騒動って、タイミングよすぎるような……」


 しかも話の内容からは、彼女達が2年前の事や今回ノゾムが起こしたとされる暴力事件に対して懐疑的であることが伺える。


「じゃあ、2年前に流れたっていうバウンティスの浮気の話って、結局本当のことなのかな?」


「さあ? でも、紅髪姫の方がノゾムを捨てたといわれても不自然じゃないよね」


 話の中には当然のことながらリサの話も出てくる。

 能力抑圧が発現し、役立たずの烙印を押された幼馴染を見捨てた女。聞こえてくる醜聞がリサの胸に突き刺さった。

 頭の中がカッと熱くなり、腹の奥から込み上げる怒声はまるでマグマのように一気にのど元まで込み上げてくる。


「……っ!」


 胸に走る、刺すような痛みと共に込み上げてくる激情。

 跳ねるようにベンチから立ち上がり、目の前の同級生たちを睨みつける。

 だが、噴出しそうになっていたはずの怒声は何故か喉の奥に引っ掛かり、リサの口から発せられることはなかった。

脳裏に甦るノゾムの姿。2年前ではなく、ついこの前の申し訳なさそうな彼の表情。


“馬鹿な話だよな。逃げてリサと向き合おうとしなかった俺が、リサに見てもらえるはずなんてないのに……”


 そして脳裏に響くノゾムの声。

 自分の気持ちを裏切った、顔も見たくないほど嫌いになったはずの相手の言葉に、激昂していたリサの怒りがまるで潮が引く様に収まっていく。


「あ……」


 突然静まった憤怒と脳裏に引っ掛かった何か。そんな自分自身すら理解できず、ただリサは呆けた様に立ち竦むしかできなかった。

いきなり立ち上がったリサに気付いたのか。同級生達の目がリサの姿を捉える。


「うえ……!」


「どうしたの……え?」


 リサの存在に気づいた学生達がバツの悪い顔を浮かべ、続いて乾いた笑いを浮かべながらその場から立ち去った。

 だがリサはそんな下級生達の様子にまるで気付かず、下を向いて自問自答を繰り替えしていた。


“ノゾムは私を裏切った。私の気持ち全部を投げ捨てた”


 それがここ2年間の、リサ・ハウンズにとっての事実。

 だがそう思い込もうとすればするほど、脳裏には2年前と同じ自分の身を案じてくれるノゾムの姿が浮かび上がる。

 2年前自分が見た裏切りの光景と、全く変わった様子のないノゾムの笑顔。

 矛盾する2人のノゾムがぶつかり合い、裏切られた怒りに身を震わせながらも、リサはノゾムの言葉を否定できずにいた。

 胸の中を掻き毟りたくなるような衝動とキリキリと締め付けるような痛みに苛まれつづける。

 リサはもう自分が何を信じたらいいか分からなかった。

 人気が無くなった公園。もう日は落ちかけ、闇が徐々にアルカザムを覆い始めている中、リサはただ夜の闇に怯える子供の様に身を縮こまらせている。しかし、胸を締め上げる苦しみは一向に治まってはくれなかった。

 しばしの間、芝生にペタンと腰を下ろしたまま膝に顔を埋めていたが、彼女がゆっくりと顔を上げる。

 その時、暗がりの向こうに並んで歩く、2人の男女の姿が目に飛び込んできた。


「……あれは」


 一人はこの街に来てからできた、親友とも言える相手。もう一人は今でもリサの心を掻き乱し続けている幼馴染み。


「……カミラ、それにノゾム?」


 並んで歩いているノゾムとカミラの姿に、胸の痛みがさらに増してきた。

 ズキズキと胸を刺すような感覚は、既にグチャグチャと抉る様な激痛に変わっている。彼女の顔はこれ以上ないほど強ばっていた。


「なんで2人が……」


 訳が分からない状況に、街へと消えていく2人をただ眺めるしかないリサ。

 気がつけば、彼女は2人の後を追って再び走り出していた。

なぜこんなにも胸が痛むのか。その理由を未だに見出せず、ただ自分を苛む痛みから逃れたい一心で。



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[良い点] ストーリは面白いです。 [気になる点] 1話1話に誤字脱字や言葉の重複がこれでもかと詰め込まれていて読む気が失せてしまうので、出来れば修正をして頂けると有難いです。 [一言] せっかくの面…
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