第71話 着地点
10階層はいきなりボス部屋だった。
中に入ると、3メートルはある王冠を被ったゴブリンがいる。
【キングがいるな】
【はいはい、落ちが見えたよ。どうせおっさんが一撃して終わりだろう】
【ここはゴブリンの働きに期待しよう】
「うっしやるか」
「グギャー!」
ゴブリンキングが吠えるとゴブリンが100体ぐらい召喚された。
「くくくっ」
思わず笑っちゃったよ。
一万の大軍で止まらないのに、いまさら100体ぐらいで止まるわけないだろ。
これを100回繰り返せば1万になるけどさ、それまでに何回も瞬殺できる。
弥衣達が酸の水鉄砲でゴブリンをみんなやっつけた。
だよね。
そんなもんだよ。
【酸の水鉄砲反則。チートも良いところだ。みんな溶けるのだから】
【ミスリルは溶けないぞ】
【ミスリルゴブリンよ。召喚されろ】
「グギャー!」
ゴブリンキングが再び吠えるとゴブリンが100体ぐらい召喚された。
弥衣達が酸の水鉄砲でという無限ループ。
酸の在庫が無くなったら俺が止めを刺そう。
【何時まで続くのかな】
【酸の在庫が尽きるか、キングの魔力が尽きるかじゃね】
【退屈な配信だな】
【それより。殺害予告の奴はどうなった】
「あいつならナイフ持って突撃してきた。軽くのしてやったぜ」
【正当防衛じゃ罪に問えない】
【そうだな。なんで先に手を出させない】
【子供に無理いうなよ。俺は見てたぞ】
【あいつ子供だったのか】
【叩かれた子供でFA】
【可哀想だな】
「叩いた子供じゃないぞ」
【ホワッツ?】
【えっ違うのか。じゃ誰だ】
【ニュースに流れれば、一発で分かるのに】
「まあ知らなくて良いこともある」
【戦闘は継続してるが、おっさんが全く参加してない】
【こんなのキングじゃない】
【おら、キング、根性見せろ】
【あっ、キングの魔力が尽きた】
【キング、チワワみたいに震えている】
【あー、止めの酸が掛けられた】
「お疲れ」
扉をくぐるとダンジョンコアだった。
【くそう10億ゲットかよ】
【なんでこんな奴が】
「バリューじゃなくってアデュー」
俺はダンジョンコアを取った。
「同族の匂いがするにゃ」
モチが隠し扉を開くと、コボルトとケットシー達がいる。
やはりか。
言葉が分からないのでキナコとモチが通訳した。
やはり寄生しても良いようだ。
掛けられた呪いをどうにかするのは現状ではそれしかないからだ。
地上に戻ると、テレビカメラが待っていた。
「ダンジョン制覇おめでとうございます。いまのお気持ちは?」
「別にどうってことはない」
【くっ、余裕ぶって】
【ムカつく】
【誰かなんとかしてくれ】
「子供を叩いた件はどう思ってますか」
「うろちょろして目障りだったから叩いたそれだけだ」
【このおっさん反省の色なし】
【拡散しようぜ】
【おう】
「暴行の事実を認めるのですか?」
「まあな叩いたのは事実だ」
「叩いた子供に対して言いたい事は?」
「世の中には悪い大人がいる。悔しかったらそれを上回るずるさを身に着けろ」
【ずるく立ち回る奴が勝つのか】
【正義はどこ行った】
【くそう】
【喚くなよ。おっさんが喜ぶ】
メール着信音が。
みると、俊介君からだった。
内容は【ずるい大人を目指すよ。法律の勉強をして弁護士になる。法律を使ってずるく生きるんだ】とある。
【頑張れよ】と返事を出した。
「何のメールですか?」
「ただの祝福のメッセージだ」
「自首するつもりはないのですか?」
「何で? 悪い事してないのに」
「叩いたのは悪くないと?」
「気合を入れてやったんだよ」
【体罰教師の言い訳に聞こえる】
【これで許されたら困る】
【気合はチンピラが言いそうな言葉だ】
メール着信音がして、メールには【気合入ったよ】の文字が。
修君の両親は金に釣られてダンジョンで働いている。
離婚した二人を同じチームに入れたようだ。
息がぴったりだとの報告があった。
長年暮らしていただけのことはある。
離婚が解消されるのも近いかな。
修君もダンジョンで両親の仕事を手伝っているらしい。
二人が仲良く仕事しているのを見て、ストレスが緩和されたようだ。
学校で次の虐めのターゲットを見つけてなんてことはない。
無事、着地点が見つかって良かった。
俺の悪評なぞもはやどうでもいい。




