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第6話 相棒

「あれは確か16年前。高校を卒業した俺はコンビニでバイトしてた。そして相棒に出会ったんだ」

「相棒ですか?」

「私以外に相棒が?」


 首を傾げる笠幡(かさはた)さんとヤエちゃん。


「今も使っている。このカメラさ」


 と言って頭に装着してるカメラを優しく叩いた。


「バイトを首になった日にリサイクルショップで100円で売られてた。捨てられたんだなと思うとバイトを首になった俺と重なって見えた。で購入したわけだ。パソコンもリサイクルショップでその時購入した」

「それでどうしたんですか?」

「私も聞きたい」


「配信を始めようと思って題材を探していたんだ。そうしたら庭にダンジョンができて」

「なるほど」

「うんうん」


「冒険者として配信を始めたわけだ。配信するのに大変でさ。近所のおじさんに設定を全部やってもらった。今ではヤエちゃん頼りだけど」

「機械音痴なのね」

(すぐる)さんのは個性よ、個性」


「その時ダンジョンを登録すればウハウハだと知って協会に行ったんだけど。最初のザコ敵がスライムだと言って映像を見せたらFランク認定された」

「馬鹿じゃないの。でもあり得るわ。このカメラの映像は粗い。色も鮮明じゃないし。それで誰にも気づかれなかったのね」


「疑問なんだけど他の冒険者は入れてないの?」

「入れたよ。そうしたら、スライムに一撃攻撃してから逃げられて、一日掛かっても1匹も倒せなかった。それで悪評がたってダンジョン評価サイトでは今も最低点。入場料100円なのにさ。で結局誰も来なくなった」


「その冒険者は節穴ね。追いつけないほど早く逃げるスライムが普通なわけないじゃない」


「それで、1年掛かってスライムを倒せるようになった。いやあスライムからは素材採れないし、採取ポイントが無かったら飢え死にしてた」


 採取ポイントに案内する。

 鉄鉱石を掘り出すのを見せた。


「見た感じ鉄鉱石は普通ですね」

「うん、キロ大体10円。モンスターが寄って来たら一当てすると逃げるから採取は簡単だった」

「何でモンスターをやろうと思ったの?」


 ヤエちゃんの疑問。


「配信が全然伸びなくてさ。スライム倒すところを感動巨編に出来ないかと思って始めた。そしたらストレス解消に良くってさ。死にたい。生きていて何かあるのかと毎日思いながら過ごしてた。今もだけど。殴ってるとそれが薄れるんだ。無心になれるっていうのかな」

「つらい時を過ごしたのね。ヤエお姉さんが慰めてあげる」


「ちょっといちゃつかないで、ここはダンジョンなのよ」


「じゃあ次はゴブリン行こうか」


 少し奥に入るとゴブリンが寄ってきた。

 俺はいつものようにゴブリンの頭を連打した。

 フラフラになってから、ゴブリンは死んだ。


「驚いた。このゴブリンの硬さは尋常じゃないわ」


 笠幡(かさはた)さんはナイフで死んだゴブリンの皮膚を突いてそう言った。


「そうそいつらの特性は硬くなるだ。だから追い詰めても倒せなくなるだけで被害はない。スライムより簡単かも」

「簡単じゃありません!! はーはー、疲れた」

「年寄りはこれだから。すぐに血が上って疲れる」


「このゴブリンもそうだけど、金属光沢があるのね。必然かも」

「そういう難しいことは分からない」

「生物は環境で進化が変わるの」

「俺、馬鹿だから、そういう話はちょっと」

「それしか、食べる物が無かったらそれを食うでしょって話よ。だから鉄鉱石を食うってわけよ」

「ヤエちゃんの説明、分かりやすい。次のモンスターに行こうか」


 さらに奥へ行くとプチウルフが現れた。

 少し小ぶりな中型犬といった大きさだ。

 駆け寄り連打。

 プチウルフも倒れた。


「このモンスターの特性は何?」

「足が速くなるんだ。目で追えないぐらい」

「強敵ね」

「そんなでもないよ。逃げ道を作ってやれば、速くなっても反撃せずに逃げるから」

「深追いしなければ良いってことね」


「次行こうか」


 次はトカゲだ。


「みんな離れて、この敵を完封する自信はないんだ」


「分かったわ」

「指示には従う」


 俺はトカゲに連打を浴びせた。

 トカゲが大口を開いた。

 来る。


 トカゲが炎のブレスを吐く。

 避けたが、熱気でかなり暑い。

 今回は失敗かな。

 俺はトカゲに逃げ道を作ってやった。

 すたこらと逃げるトカゲ。


「こんな感じ」

「あの連打でも倒せないなんて。なりは小さいけどきっとドラゴンクラスね。さっきのブレスも凄かったわ」

「本気でやれば必ず倒せるけど、相打ちになりそうになるからしないんだ」

「うんうん、安全第一。ヤエお姉さんは感心」


「ここはレベル上げには最適ね。あなたが止めを刺すこと前提だけど」

「付き合ってもいいよ。逃げ出してから待ち伏せして連打する方が簡単なんだ。逃げてる最中あいつらは逃げる事しか頭にないから」

「私も頑張ってレベルを上げる」


「じゃあ3人でレベル上げだ」

「今日の動画を配信しても良い?」

「いいよ好きにやって」


 ダンジョンから出て、銀行に行く。

 通帳を確認すると1億円の残高がある。


「ふふふふっ。ふへっ。ふひっ」


 変な笑いがこみ上げる。

 体差し出せの件が全て吹っ飛んだ。

 ワイングラス片手に、美女を侍らして反感を買うのも良いと思ってしまう。

 いっそのこと悪役ムーブで行こうか。

 配信は目立ってなんぼ。


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