第30話 ご都合主義展開
農薬一揃い。
煮詰めたカフェインから、たばこの煮汁。
洗剤。
とにかく考えつく物を揃えた。
グラトニーにそれをぶっかける。
駄目だ。
ぜんぜん効いてるふうがない。
「あのですわん」
キナコが手を上げて何か言いたそう。
「何だ言ってみろ」
「あれは食っているんじゃなくて、魔法で吸収しているのではないかわん」
【正解をキナコに言わせる作戦か】
【魔法で吸収を打ち破る手は魔力切れるまで吸収させまくる】
【だな。でもどれだけ大きくなるか】
【みんな、大きくなったように見えるのもCGなんだよ】
キナコの説が正しいとすれば。
「麻痺スキル」
グラトニーの動きが止まった。
俺は鉄パイプでグラトニーを叩いた。
「そらそら、手間を掛けさせやがって死にさらせ」
【でた、ご都合主義展開】
【麻痺スキルは魔法で吸収できないのか】
【反射魔法で麻痺スキルを出来たって話は聞かないからそうなんじゃね】
「ふぅふぅ、もう死んだだろ」
弥衣がナイフでグラトニーの体を切り取った。
それを見て考えている。
そして、素手で突いた。
危ないことするなよ。
指が無くなったらどうなるんだ。
そして、小石を一つ拾って破片と合わせた。
消える小石と破片の一部。
破片になっても小石を食うのか。
「これ、魔力を込めると何でも食うみたい。スライムが魔法って違和感があったから、試してみたけど。体それ自体が魔力を込めると発動する魔法なのね」
「へぇ、そんな仕組みなんだ。スライムの脳みそは小さいだろうから、そんな仕組みね」
【出来の悪い解答を見せられた気分】
【ヤエちゃんは悪くない。設定を作った底辺おっさんがしょぼいだけ】
この死骸売れるかもな。
消したい重要書類とか跡形もなく消せる。
それとハードディスクとかだな。
よし持って帰ろう。
買取場に行ってグラトニーの死骸を出した。
「こいつに魔力を込めると物を消せるらしい」
「ほう、素晴らしい素材だな。夢の物質だとも言える。あとで連絡する」
そんなに重要書類を消したかったのか。
そして帰ってから電話を受けた。
「ええとグラトニーじゃなくて、アイアングラトニースライムは高く売れそうか」
『おお、凄いぞキロ50万の値段が付いた。なにせ核廃棄物の廃棄から金型の加工まで幅広く使えるからな。ただ生き物を消すのは難しい。魔法だからレジストされるらしい』
何が凄いのか分からないが。
凄いんだろうな。
「不思議なんだけど、あれって無くなった物質はどうなっているのかな?」
『魔力になっているらしいぞ。今度学者に説明させようか』
「いやいい。説明を聞くと眠くなるか頭が痛くなる」
『ははは、俺もそうだ。少し惜しいのが、死骸がもっと大きければな』
「大きくできるけど」
『何っ!』
「何か食わせるとあいつら大きくなるんだよ」
『じゃあ、ゴミを食わせるのがいいな』
「分かった討伐の時にゴミを持って行ってやってみる」
電話が終わった後に弥衣にその話をしたら。
「なるほど。物を魔法で吸収。できた魔力で体の構成物を増やすというわけね」
「そうみたい」
「スライムというより魔法生物ね」
「討伐に行くときにコボルトとケットシーが出したゴミを持って行くつもり」
「それがいいかもね。アイテム鞄には屋敷一つ分ぐらい入るのだから」
「にゃーは風呂には入らないにゃん」
モチが弥衣を見てそう言った。
「駄目、討伐を終えた後は入るの」
「グラトニーの破片で汚れを消せたりしてな」
「それなら、洗浄魔法があるんじゃないの」
「お断りにゃん。あれも濡れてしまうにゃん」
「じゃあグラトニーの破片を試すか」
「濡れないなら、やるにゃん」
「じゃあやるわよ」
グラトニーの破片を手に弥衣がモチの毛を撫でる。
奇麗になっているのかこれ。
「さっぱりしたにゃん」
奇麗になったか分からないが、本人が言っているならそうなんだろう。
弥衣がモチの毛を綺麗な布で拭く。
「本当に綺麗になっているのね」
「嘘は言わないにゃん」
「キロ50万円の洗剤か。かなり贅沢だな」
「あんなのいくらでも採れるわ。討伐せずに大きくしてから、痺れさせ体を切り取ればいいのよ」
「弥衣賢い。うほっ、金の生る木めっけ。コボルト達とケットシー達に刺身でも食べさせてやれ」
「知らせておくにゃん。ご褒美と言っておくにゃん。どうせならチューニュルも付けてにゃん」
「おう、それぐらいなら好きなだけ買え」
「やったにゃん」
「弥衣にもボーナス1億出すぞ」
グラトニーは難敵だと思ったが実は美味しい奴だった。
あんなのがキロ50万円か。
やばい、笑いが止まらない。




