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第2話 ドラゴンスレイヤー

 何を謝っているかだって。


「ええと横入りしたし、素材を細かく砕いて滅茶苦茶にしたから」

「別にいいわ。助かったと思っているし、却って運びやすくなったから」


 良かった。

 怒ってはいないようだ。


「じゃあ赦してくれるんですね」


「スマホの番号を交換しましょ」

「そうしたら赦してくれますか」

「もちろん」


「あら、カメラを着けているということは配信冒険者なのね」

「はい」

「じゃあそっちのチャンネルも教えて」


 俺のチャンネル『一攫千金できたらいいなチャンネル』を教える。

 加えてメールアドレスも交換することになったが、俺のどこが気に入ったのか。


【おっさん、連絡先を貰って鼻の下伸ばしている】

【俺も美女とお近づきになりたい】

【上手くやりやがって、許さん】

【おっさん、アナウンス忘れている】


 ええと、貰った名刺を見る。


 お姉さんのパーティ名は『ドラゴンスレイヤー』。

 チャンネル名は『ドラスレチャンネル』

 おお、有名配信冒険者じゃないかチャンネル登録者数が10万超えだぞ。

 俺なんか自慢じゃないが4人しかいない。


 お姉さんの名前は笠幡(かさはた)留美(るみ)

 交渉担当及び、魔法使いとある。

 魔法か俺も使いたい。

 でも俺なんかにスキルが現れるわけないか。

 スキル持ちはスキルホルダーと呼ばれ、Cランクになるにはスキルは必須で、魔法を使うには火魔法スキルみたいにスキルが必要だ。


 急に何かが鳴った。


「ふぁっ、びっくりさせるな。スマホかよ」


【チャンネル登録者数10突破おめ】

【それにしてもどんどん上がるな】

【おっさんの癖に】

【おい、助けたのはドラゴンスレイヤーだぞ】

【本当だ。ドラゴンスレイヤーにもダイヤドラゴン戦が載っている】

【何かアナウンスしろよ】

【チャンネル登録者数100突破おめ】


 スマホを見るとチャンネル登録者数がナマズ上りだ。

 いやウナギだったかな。

 きっとウサギだな。


「ウサギ上り、ありがとう」


【ウサギ上りだってw】

【アホがいる】

【わざと言ったんだって、ウナギより勢いがあるだろう】

【まさにウサギ上り】

【チャンネル登録者数200突破おめ】

【この分だと今日中に1万行くな】

【このライブ映像あとで編集して配信希望】


 しかし、さっきの討伐が何でこんなに受ける。

 ガラスのドラゴンだろう。

 巨体だけどガラスは脆いよな。


 彼等は鞄にドラゴンの破片をせっせと詰め込んだ。

 おお、あれが際限なく入れられるというアイテム鞄か。

 初めて見た。

 欲しいけど買えない。

 貧乏なこの身が恨めしい。


「すいません。帰り道が分からないのでついて行っていいですか?」


【迷子かよ】

【ワープで飛ばされたらしゃあない】

【スマホにダンジョン地図アプリ入れてない奴を初めて見た】


 そんな便利な物があるんだ。

 俺、頭悪いからたぶん入れても使えないな。


【おっさんにはそういうのは難しい】

【子供にもできるのにか】

【ここはダンジョンGPS圏外だろ】

【そうだな。未踏破区域だものな】

【チャンネル登録者数300突破おめ】


「ついて来て、構わないわよ」


 彼らの後を大人しくついていく。


 この階層はガラスのモンスターしか出ないようだ。

 彼等はそれを危なげなく倒していく。

 やっぱりガラスのモンスターは弱いな。

 うちのダンジョンのモンスターより弱いに違いない。


 階段を上がると、光の玉が浮いているのが設置してあった。


「ふぅ、一時はどうなるかと思ったけどここまで来れば安心」

「あれ、何です?」


 光の玉を指差す俺。


「ポータルよ」

「へぇ、あれが」

「さあ行くわよ」


 ポータルには初めて乗る。

 ドラゴンスレイヤーの面々が光の玉に触り次々と消えていく。

 俺も触った。


「ほへぇ、初ポータル」


【おいおい、ポータルが初だなんてどんな冒険者だ】

【おっさん底辺冒険者】

【詳しく】

【スライム倒すのに1年掛かってた。初スライム討伐成功。あれは感動したなぁ】

【ザコ冒険者で草】

【ドラゴンとやる前に凄いスキルに目覚めたかも】

【チャンネル登録者数400突破おめ】


 ポータルに乗ると一瞬で景色が切り替わった。

 外に出られた。

 あー怖かった。


「今日の配信はこれで終り」

【次回待っている】

【スキル生えてるといいね】

【次までにドラゴン戦の検証しておく】

【チャンネル登録者数500突破おめ】


 配信のカメラを止める。


 そして、ダンジョン脇の冒険者協会で100万円渡された。


「えっと、俺が払うのじゃなくて貰ってもいいの」

「少ないけどね。今回の討伐で高価なポーションを使ったからいまは苦しいのよ。とりあえずのお礼だから、とっておいて」

「じゃあ要りません。その代わりさっきのガラスドラゴン討伐の弁償はなしってことで」


 話がうま過ぎるから、そう言って、札束を返した。

 ここなら他の人間の目がある。

 こじれても言葉を取っておけば大丈夫なはず。


「借りにしておくわ」

「ではそれで」


 俺が借りているんだよな。

 きっとそうだ。

 装備を見て俺の懐事情を察してくれたのだろう。

 なんせ、作業服に鉄パイプだものな。


 借りは少し不気味だが、俺なんかに大した要求はしないだろう。


 それにしてもスマホがうるさい。

 これいつ鳴りやむんだ。

 設定が分からん。

 おっさんにスマホは難し過ぎる。


 帰ったらヤエちゃんに教えて貰わないと。


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