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悪役令嬢の侍女

作者: 渡しログ
掲載日:2026/01/25


 「なによこのスープ、変な匂いね」


 お嬢様は、そう仰られました。

 私はスープを下げようと歩み寄りました。

 お嬢様は、皿をお持ちになり、私の頭にスープをかけて下さりました。


 スープには毒が入っていたようです。

 私の肌は酷く爛れ、その日の夜に死にました。


 気が付くと、私はベッドの上。

 ご寝所のすぐ隣りの部屋。

 窓から差し込むのは朝陽でした。

 昨日のあれは夢だったのでしょうか?


 私は起きて、身なりを整えます。

 お側へ向かうと、お嬢様はまだお休みでした。

 静かにさがり、朝食の支度に向かいます。


 私はそこで見てしまいました。

 毒見を終えたスープに何かを流し込み、離れていく司祭様を。

 

 私は別のお皿を降ろし、お嬢様のスープを注ぎました。

 お嬢様の前へお運びすると、優雅に召し上がっておられました。

 

 それから幾日かした夜。

 お嬢様が、財務官様と口論なさっています。

 理由はわかりません。

 お嬢様は丁寧に罵詈雑言を並べ、美しく軽蔑しておられます。

 すると、財務官様は短刀を抜きました。

 寸でのところで、刃は私の背中を切り裂き、お嬢様は無事でした。


 私はその夜、死にました。



 私はまたベッドの上。

 どういうことでしょう?


 それより今はお仕えします。

 起きて、身なりを整えます。


 その日の夕方。

 見覚えがあります。

 昨日と同じです。死ぬ前と同じことをしています。


 このままでは、お嬢様は財務官様に絡まれ、嫌な思いをなされます。


 直前に財務官様は、王妃様とご歓談されていました。

 聞き耳をたてると、お話の内容は、お嬢様の御身に関わることでした。


 立ち去ろうとしたとき。

 王妃様の側近に咎められました。


 私はその場で、処刑されました。



 気付くと、同じ朝でした。


 お嬢様申し訳ありません。

 どうか、後ほどお叱りを賜らせてください。

 今朝は急いで王妃様の御前へ行き、事情をお伺いして参ります。


 王妃様を探していると、国王様と朝のご歓談をされておられました。

 お話の内容は、お嬢様の御身に関わることでした。


 私はまた、その場で、処刑されました。


 私はもう迷いません。

 お休みのところ申し訳ありません。

 御身に触れることを、どうかお許しください。


 お嬢様を揺すって起こし、上意をお伝えしました。

 声を荒げ、お怒りになりました。

 私はなんということを。

 お心を煩わせてしまいました。


 お嬢様は、懐の刀を抜きました。

 そして、私を刺し殺しました。


 薄れゆく意識のなかで、お嬢様のお姿を見ました。

 それは勇み凛々しく、側近達になにかを指示しておられるご様子でした。



 その後のことは良く分かりません。



 私は、小さなベッドで目が覚めました。

 カラダが上手く動かせません。


 横を見ると窓辺には、見知らぬ男性と女性の姿。

 外は騒がしく、金属を打ち鳴らす音や怒号。

 大砲の轟音まで響き渡り、小さなベッドが震えます。


 私は堪えきれず、泣き出してしまいました。

 どうしてでしょう?

 冷静なのに、泣いてしまう。


 女性が近づき、私を抱き上げました。

 そして窓辺へ。


 お城が燃えていました。

 煙は高々と舞い上がり、あちこちの尖塔が崩れていました。


 なんということでしょう。

 あの戦火の中にお嬢様が……


 お嬢様。

 御身の元へ参ります。

 叶うならば、いますぐに。



 お嬢様……


評価を頂けると、作者は泣いて喜びます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

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