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第1話 剣を持てない僕が、最強を目指した理由

面白いか分からないけど良かったら読んで感想を書いてもらえると嬉しいです

僕は前世で、日本の高校に通うごく普通の高校三年生だった。


ある朝、いつも通り登校していた僕は、背後から突っ込んできたスピード違反の車にはねられ、その場で即死したらしい。

痛みを感じる暇すらなかった。


次に意識を取り戻したとき、僕は白い空間に立っていた。

目の前には、いかにもそれらしい姿をした女神がいる。


「君は前世での行いが非常に良かった。そこで、転生の機会を与えようと思う」


唐突すぎる展開に言葉を失っていると、女神は続けた。


「希望するスキルや役職があれば、ひとつだけ叶えよう」


一瞬迷ったが、答えはすぐに決まった。


「……どんな怪我でも、治せる治癒魔法が欲しいです」


戦いたいわけでも、目立ちたいわけでもなかった。

ただ、誰かを救える力が欲しかった。


女神は一瞬だけ、ほんの一瞬だけ黙り込んだ。

そして、どこか意味深な微笑みを浮かべる。


「――分かった。その願い、確かに受け取った」


その言葉を最後に、意識が急速に遠のいていった。


次に目を覚ましたとき、僕は誰かに抱きかかえられていた。

温かい腕、聞き慣れない声。

どうやら赤ん坊として生まれ変わったらしい。


「……本当に、異世界に転生したんだな」


声に出そうとして、当然ながら声にならなかった。


しばらくして周囲が静かになると、ふと頭の中に“それ”が浮かんだ。


――ステータス。


ヴィクトール・レーヴェンハルト(0歳)


レベル:1

種族:人間

職業:治癒魔法使い


HP:50/50

MP:180/180

筋力:2

体力:3

知力:25

器用さ:3

敏捷:2

幸運:8


数値を見て、違和感を覚える。

特にMPと知力が、他の項目に比べて明らかに高すぎた。


さらにスキル欄を確認し、息をのむ。


【魔力感知 Lv1】

周囲の魔力を感じ取る。


復元魔法リストレーション Lv1】

傷ついたものを「本来あるべき状態」に戻す。

※術者が「正しい状態」を理解している必要がある。


均衡魔法バランシング Lv1】

体内の不調和を整える。毒や病、精神的疲労にも効果。

※使いすぎると術者自身のバランスが崩れる。


時間回帰治癒テンポラル・ヒーリング Lv1】

対象の時間を局所的に巻き戻す。

※魔力消費が激しく、使用回数に制限あり。


「……治癒魔法、だよな?」


説明を読んでいるはずなのに、素直にそう思えなかった。

これは単なる回復ではない。

“原因そのもの”に干渉する力だ。


だが、その異常性に気づく前に、僕は再び眠りに落ちてしまった。


月日が流れ、僕はヴィクトール・レーヴェンハルトとして育った。

しかし、この家は代々騎士を輩出する戦闘職至上主義の名門貴族だった。


剣も振れず、前線にも立てない治癒魔法使いの僕は、

次第に「お荷物」として扱われるようになる。


そしてある日、静かに告げられた。


「お前は、私の妹の家に預けることになった」


それは追放と同義だった。


理由は単純だ。

――この家に、戦えない息子の居場所はない。


そのときの僕は、

「やっぱり自分は役に立たないんだな」

と、ただそう思っていた。


この力が、どれほど異常で、

どれほど多くの人間を救うことになるのか。


まだ、その価値を理解できるほど、

僕は自分を評価できていなかった。


騎士の家系であるヴィクトール家にとって、

戦えない治癒魔法使いの息子は、次第に扱いづらい存在になっていった。


もっとも、最初から冷たくされていたわけではない。

僕が六歳になるまでは、家族は皆、表向きには優しかった。

剣の稽古にも付き合ってくれたし、期待のこもった視線も感じていた。


――あくまで、

「剣の才能があるかもしれない間」は。


その期待が誤りだと分かるのに、時間はかからなかった。

剣を握っても上達の兆しはなく、模擬戦では何もできない。

その結果は、すぐに父の耳へと届いた。


僕に直接、何かを告げられることはなかった。

ある日突然、決定事項として伝えられたのは、

「叔母の家に預ける」という事実だけだった。


それは追放とほとんど変わらない措置だった。


こうして僕は、父の妹――叔母の家で暮らすことになった。

そこでは、僕と叔母の二人きりの生活が始まった。


静かで、穏やかで、

少なくとも責められることのない日々だった。


六歳の時点で、僕のレベルはすでに四十五に達していた。

戦闘経験があるわけではない。

怪我や疲労を治し、体調を整え、

治癒魔法を使い続けてきた結果だ。


だが、いくらレベルが上がっても、

僕自身が戦えるようになることはなかった。


だから僕たちは、二人でパーティを組み、

長期間ダンジョンに籠もる探索方法を選んだ。


前に立って戦うのは叔母。

僕は後方で、ひたすら治癒と支援に専念する。


叔母は本当に強く、

敵を次々と倒していくその背中を見ながら、

僕は自分の役割を黙々と果たしていた。


そのおかげで、探索は順調に進み、

叔母のレベルも、僕のレベルも、着実に上がっていった。

ダンジョン探索の合間、僕は久しぶりに自分のステータスを確認した。


ハルト(ヴィクトール・レーヴェンハルト)

レベル:45 年齢:6歳

種族:人間 職業:治癒魔法使い


体力や魔力の数値は、もう以前とは比べものにならないほど伸びている。

特に魔力量と知力は、明らかに同年代の基準を逸脱していた。


スキル欄に並ぶ治癒系魔法を見て、静かに息を吐く。


――間違いなく、成長はしている。


だが、それでもまだ足りない。

レベルだけを見れば高い部類なのかもしれないが、

この世界では本当に強い者たちは、もっと先にいる。


この世界では、十歳になると冒険者ギルドに正式登録できる。

登録時には実力測定が行われ、ランクが決められる仕組みだ。


現在の最高位はSランク。

日本全体でも、そこに到達している冒険者は五人しかいない。


――いつか、自分もそこに立ちたい。


そのためにも、登録までの数年間で、

もっと力を蓄えておく必要があった。


七歳になると、僕は魔法学校へ通い始めた。

魔法理論、魔力制御、詠唱構築。

自分がなぜ魔法を使えるのか、

どうして治癒魔法が成立するのかを、体系的に学んでいく。


学校は土日が休みだった。

その間は叔母と共にダンジョンへ潜り、実践で経験を積む。


前に立って戦うのは叔母。

僕は後方で、治癒と支援に徹する。


その生活を続けた結果、

僕は魔法学校始まって以来初めて、三年で課程を修了した。


そして、十歳。


いよいよ冒険者ギルドへの登録を考える時期が来た。


説明会で資料を眺めながら、

僕はいくつかの有力ギルドに目を通していく。


第一候補は――

黎明の白狐。

王都に本部を置く最高峰のギルド。

少数精鋭、依頼成功率九九%超え。

入団試験の合格率は三%未満。


第二候補、

星霜の蒼鴉。

魔法戦闘に特化した歴史ある名門。

魔力と知性を重んじる気風は、正直魅力的だった。


その他にも、

夜戦特化の月影の緋雀。

武闘派の暁闇の金狼。

遊撃戦の宵闇の翠鷹。


どれも一流。

どれも、簡単には入れない。


資料を閉じて、僕は小さく息を吸った。


――どうせなら。


世界で一番強いギルドに入りたい。


戦えない治癒魔法使いでも、

そこに立てると証明するために。

僕は、入りたいギルドを決めた。

日本で一番強いギルド――黎明の白狐。


迷いはもうなかった。

王都に本部を構え、少数精鋭を貫き、国家級任務を請け負う最高峰。

治癒魔法使いである自分が、どこまで通用するのかを試すなら、

ここ以上の場所はない。


入団テストの申し込みは、サポート部門。

前線で剣を振るう試験ではなく、

どれだけ高度な支援魔法を扱えるか、

魔法理論と知識をどれほど理解しているかが問われる。


――望むところだ。


試験に向けて、改めて自分のステータスを確認する。


ハルト(ヴィクトール・レーヴェンハルト)

レベル:90 年齢:10歳

種族:人間(転生者)

職業:治癒魔法使い


数値は、はっきりと自分が積み上げてきた年月を示していた。

魔力量、知力、器用さ。

どれも、一般的な冒険者の枠を大きく超えている。


スキル欄には、

復元、均衡、時間回帰、完全治癒――

戦闘職では決して到達できない領域の魔法が並んでいた。


入団テストまで、残り十日。


僕はそのすべてを、準備に費やすことに決めた。

叔母にも手伝ってもらい、

魔力制御の最適化、詠唱短縮、複数同時治癒の精度調整。


一切の妥協はしない。


限界まで魔力を使い切り、

回復し、また使い、修正する。

自分が今出せる“最大値”を、何度も叩き出した。


そうして調整を重ねるうちに、

気づけば――テスト前日の夜になっていた。


部屋の灯りを落とし、ベッドに腰を下ろす。


「……今日は、早く寝ないとな」


明日は、日本最強ギルドの入団テスト。

治癒魔法使いとしての価値を、

初めて“本気で”測られる日だ。


胸の奥に、静かな緊張と――

それ以上に、確かな高揚を感じながら、

僕は目を閉じた。


これからどんどん続きを投稿するので良かったら見てください

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