表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無能』と追放された魔法使い、実は『力の天秤』を持つSランク級の逸材でした。~スキル禁止されたので『進化魔法』でSランク武具を手に入れます~  作者: さらん
第4章『王国の闇と古(いにしえ)の真実編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/72

最終話:エピローグ『それぞれの道、そして永遠の絆』


魔王ヴェルムートとの和解から、一年が過ぎた。

世界は、驚くほどの速さで変わり続けている。


「ステータス」や「スキル」という安易な指標が消えたことで、最初こそ混乱はあったものの、人々はすぐに「自分で考え、自分で鍛える」ことの喜びに目覚めた。


努力した分だけ強くなれる。数値に縛られない可能性。それは、かつてのゲーム的な世界よりも、ずっと生き生きとした活気を生んでいた。


そして、王都の冒険者ギルド。

かつて私が「無能」と罵られ、追放されたあの場所は、今や新しい時代の象徴となっていた。


「おい、新人! 剣の握りが甘いぞ! ステータス補正がないんだから、体幹で支えろ!」

「はいッ! ガレンさん!」


ギルドの訓練場では、Sランク冒険者ガレンさんが、若い冒険者たちを熱心に指導している。

彼の『最強の盾』は、今や国中のタンク(盾役)たちの憧れの的だ。


「あらあら、また怪我したの? ……ほら、風の加護をイメージして」

「ありがとう、エララ姉さん!」


エララさんも、教官として人気者だ。彼女の剣舞のような動きを学ぼうと、女性冒険者たちが列を作っている。


「へっ。肉の焼き加減も冒険者のスキルだぞ。食わなきゃ強くなれねえ!」


レオくんは……なぜかギルドの酒場で、豪快にステーキを焼いて振る舞っている。相変わらずだけど、その周りにはいつも笑顔が絶えない。


そして、私は。


「……アリアさん、この古代語の翻訳、お願いします!」

「アリア様! 北の大障壁跡地の緑化計画について、シルヴィア様が相談したいと……」


私は、書類の山と格闘していた。


Sランクパーティー『アルテミス』のリーダー兼、王国の特別魔法顧問。


忙しさは以前の倍以上だけど、不思議と嫌じゃなかった。必要とされていることが、嬉しいから。


昼下がり。

私は休憩がてら、王都の路地裏にある小さな定食屋に向かった。

そこで、皿洗いのアルバイトをしている「彼」に会うために。


「……いらっしゃい、アリア」


店の裏口で、エプロン姿の少年が、恥ずかしそうに手巾で手を拭っていた。


カイトだ。

かつての勇者、そして世界の管理者を名乗った彼は今、Fランク冒険者として登録し直し、こうして下積みの生活を送っていた。


「調子はどう? カイト」

「……まあまあだよ。昨日は、スライム退治で銅貨3枚稼いだ」


カイトは、少し誇らしげに笑った。

かつては「スライムなんて経験値にもならねえ」と見向きもしなかった彼が、今は自分の力で稼いだ銅貨を大切にしている。


「みんなには内緒だけど……魔法のコツ、少し分かってきたんだ」

「ふふ。私の『進化魔法』の理論、少しは役に立った?」

「ああ。……ありがとうな、アリア」


カイトは、憑き物が落ちたような、穏やかな顔をしていた。


罪は消えない。でも、彼はもう一度、自分の人生を歩き始めている。いつかきっと、本当の意味での「勇者」になれる日が来るかもしれない。


夕暮れ時。

私たち『アルテミス』の四人は、王都を見下ろす丘の上に集まっていた。


ここから見る夕日は、一年前に見た時よりも、ずっと綺麗に見えた。


「……平和になったな」


ガレンさんが、感慨深げに呟く。


「ああ。退屈で死にそうだぜ」


レオが欠伸をする。


「そうね。……だから」


エララさんが、ニヤリと笑って、一枚の地図を広げた。


「新しい仕事、取ってきたわよ」


その地図には、大陸のさらに向こう側。魔王ヴェルムートが統治する『魔界』、そしてその先にある『未踏の大陸』が記されていた。


「ヴェルムートからの依頼よ。『魔界の奥地に、誰も見たことがない遺跡がある。……調査に来ないか?』だって」

「面白そうじゃねえか!」


レオが飛び上がった。


「魔界のドラゴンか! 腕が鳴るぜ!」

「また面倒なことになりそうだが……。ま、俺たちの『盾』が必要なら、行くしかねえな」


ガレンさんも、満更でもなさそうだ。

三人が、私を見た。

「どうする? アリア」

「もちろん、リーダーが決めることよ」


私は、杖『アルテミス・ロッド・アイギス』を握りしめた。


この杖の中の『世界樹』も、未知の冒険を求めてうずうずしているのが分かる。


かつて、私は「無能」だった。

何もできない、誰のお荷物にもなりたくない、ただの弱虫だった。


でも今は違う。

私には、背中を預けられる仲間がいる。

世界を変える力がある。

そして何より、この広い世界を知りたいという「好奇心」がある。


「……行きましょう」


私は、仲間たちに向かって、最高の笑顔で答えた。


「私たちの冒険は、まだ始まったばかりですから!」


風が吹き抜ける。

Sランクパーティー『アルテミス』。

彼らの新しい旅路は、きっと歴史書にも載らない、自由で、最高に楽しいものになるだろう。

(全編・完)


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

皆様の応援のおかげで、アリアと『アルテミス』の仲間たちの物語を完結まで書き切ることができました。


さて……感傷に浸る間もなく、皆様に重大発表があります!


明日【1月2日 12:00】より、完全新作を投稿開始します!


タイトルは――

『最強勇者と陰キャ秀才が入れ替わったら ~現代日本を「軍事知識」で制圧する元勇者と、異世界を「物理演算」で攻略する新勇者~』

(タイトルは変更の可能性がありますが、中身はガチです!)


今度の主人公は二人!

「性格最悪の最強勇者」が現代日本の高校生に、

「偏差値高めの陰キャ秀才」が異世界の勇者に、

神様のいたずらで入れ替わってしまいます。


★日本の高校を「軍事作戦」で支配していく元勇者(ただし勘違い)。

★異世界の魔王軍を「物理法則ロジック」でねじ伏せる秀才ただしビビリ


アリアの『進化魔法』とはまた違った、二人の主人公による「知識」と「勘違い」の無双劇。

これまでの作品で培った要素をすべて詰め込んだ、私の集大成となるエンタメ作品です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ