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『無能』と追放された魔法使い、実は『力の天秤』を持つSランク級の逸材でした。~スキル禁止されたので『進化魔法』でSランク武具を手に入れます~  作者: さらん
第4章『王国の闇と古(いにしえ)の真実編』

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第63話:暴かれた『捕食』と、砕ける信仰


「グオオオオオッ! チョコマカとォッ!!」


上空のラザロが、苛立ちを露わに叫ぶ。

彼が放つ、数百本の漆黒の聖剣の雨。その全てを、地上のガレンさんが、たった一枚の盾で弾き続けていたからだ。


「ガァァァッ……!!」


ガレンさんの口から、赤い血が噴き出す。


『アルテミス・ハート・イグニス』は悲鳴を上げ、彼自身の体も、限界を超えた負荷にきしんでいる。


「……へっ、どうした鳥人間……。俺一人、潰せねえのかよ……!」

「ガレンさん、もう少し……あと少しだけ耐えてください!」


私は、ガレンさんの背後で、杖の魔力制御に全神経を集中させていた。

防御支援バフをかけながら、同時に上空のホログラム映像を操作し、そして――。


「レオ、エララさん! 繋がりました! 『映像』を!」


通信機インカムの向こうで、レオの切迫した声が響く。


『おう! こっちはいつでもいいぜ! ……クソッ、なんてザマだ!』


広場の端。逃げ遅れた人々を庇いながら、レオとエララさんは、地獄絵図の中を駆けていた。

ラザロの触手に捕まった人々が、目の前で干からびていく。その残酷な「現実」に、一番近くまで肉薄する。


「エララ! 今だ! あの親子を狙ってる触手……斬る瞬間の『後ろ』だ!」

「ええ!」


エララさんが加速し、触手を切り裂く。その隙に、レオが、恐怖に震える母子の背後に回り込み、上空のラザロを見上げた。


彼の視界ヴィジョンが、私の魔法を通じて、空のスクリーンへと直結する。


「……見ろよ、王都の全員テメェら!」


レオが叫んだ。


「これが! お前らが崇めてた『聖人』様の、食事風景だ!!」


バチュンッ!!

上空のホログラム映像が、切り替わった。

メビウスの告発映像から、レオの視点ライブカメラへ。


そこに映し出されたのは、遠くのバルコニーにいた威厳ある枢機卿ではない。

醜悪な怪物が、口からよだれを垂らし、触手で人々を突き刺し、その生命力をすすりながら、恍惚の表情を浮かべている――決定的な瞬間だった。


「……ひッ!?」

「い、嫌だ……やめろ……!」

「枢機卿様が……私たちを……食べている……?」


広場にいた5万人、そして王都中の人々が、その映像を見た。

彼らの脳内で、何かが決定的に砕け散る音がした。


「聖人」への敬意。「救い」への期待。それらが音を立てて崩れ去り、代わりに「恐怖」と「生理的な嫌悪」、そして「騙されていた怒り」が噴き出した。


「……な、なんだ……?」


上空のラザロが、異変を感じて動きを止めた。

彼の胸に渦巻いていた、輝かしい『信仰の光』。それが、急速に濁り、ドス黒く変色していく。


「祈りが……変わる? 貴様ら、私に何を向けている!? 私は神だぞ!? 信仰せよ! 崇めろォッ!!」

「もう、誰もあなたを崇めてなんかいませんよ」


私は、杖を掲げた。


パリンッ、パキキキキッ……!!

ラザロの体を守っていた、あの絶対無敵の『黄金の障壁(聖骸布)』に、無数の亀裂が走った。


人々の心が離れた瞬間、彼を「聖なる存在」として定義していた世界のルールが、崩壊したのだ。


「バカな……私の、絶対防御が……!?」

「ガレンさん、今です! 反撃カウンターを!」

「おうよォォッ!! 待ちくたびれたぜェェェッ!!」


ドォォォォォンッ!!!!

ガレンさんが、溜まりに溜まった鬱憤うっぷんと、受け止めてきたダメージエネルギーの全てを解放した。


盾から放たれた紅蓮の熱波が、ラザロの放った聖剣の雨を、下から上へと押し返していく。


「グ、オォォッ!? 貴様ごときがァッ!!」


ラザロが体勢を崩す。

障壁は砕けた。

もう、私の魔法を弾くものは何もない。


「レオ、エララさん! トドメの準備を!」

「「了解ッ!!」」


二人が、左右の建物壁面を駆け上がり、空中のラザロへと肉薄する。

私は、杖『アルテミス・ロッド・アイギス』に、残った全ての魔力を注ぎ込んだ。

もう「進化」させる必要はない。


「浄化」する必要すらない。

ただ、この世界に害をなす、最も醜悪なゴミとして――。


「消えなさい。『偽神フェイク』」


Sランク魔法使いアリアの、最大火力。

王都の空が、翠色みどりいろに染まる。


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