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『無能』と追放された魔法使い、実は『力の天秤』を持つSランク級の逸材でした。~スキル禁止されたので『進化魔法』でSランク武具を手に入れます~  作者: さらん
第4章『王国の闇と古(いにしえ)の真実編』

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第61話:聖なる広場と、招かれざる『英雄』


聖光祭せいこうさい

それは、王都の大聖堂広場に5万人以上の市民が集う、一年で最も神聖な儀式の日だ。


広場の中心、高くそびえ立つ大聖堂のバルコニーに、その男は立っていた。

純白の法衣に身を包み、宝石をちりばめた杖を手にした初老の男。

聖光教会の実質的な支配者、ラザロ枢機卿。


「……迷える仔羊こひつじたちよ」


ラザロが、魔法で増幅された声で語りかける。


「今、王国は危機に瀕している。北の大障壁はほころび、魔王軍の影が忍び寄っている。……今の王家の力では、もはやこの国を守りきれないのだ」

「おお……」

「神よ、お救いください……」


広場を埋め尽くす信者たちが、祈りを捧げる。

ラザロは、その光景を見て、内心でほくそ笑んだ。


(そうだ。恐怖せよ。そしてすがれ。……王への不信感が頂点に達した今日、私が『聖なる軍隊』の結成を宣言すれば、国は私の手の中に落ちる)


「だが、安心せよ!」


ラザロが両手を広げた。


「神は、新たな『力』を授けてくださった! 穢れた王家の騎士ではなく、教会が導く『聖戦士』たちこそが――」


その時だった。


ヒュンッ――!!

空から、一筋の『翠色みどりいろの光』が降り注いだ。

それは、ラザロの演説を遮るように、バルコニーと広場の間の空間に突き刺さった。


「な、なんだ!?」

「神の光か!?」


ザワめく群衆。

光が収束すると、そこには四人の男女が立っていた。

ガレン、レオ、エララ。

そして、中央には、翠色に輝く杖を持った魔法使いの少女――アリア。


「……ごきげんよう、ラザロ枢機卿」


私は、杖のマイク機能を使って、広場全体に透き通るような声を響かせた。


「神聖な儀式の最中に、申し訳ありません。……少し、『忘れ物』をお届けに参りました」

「き、貴様らは……!」


ラザロが、バルコニーの手すりを握りしめた。


「Aランク……いや、新Sランクの『アルテミス』か! 無礼であろう! ここをどこだと思っている!」

「無礼なのは、どちらでしょうか」


私は、ラザロを真っ直ぐに見上げた。


「民の祈りを利用し、裏で国を売ろうとしている『詐欺師』が、神の代弁者を名乗ることこそ……最大の無礼ではありませんか?」

「なっ……!?」


広場が凍りついた。

英雄が、聖人を「詐欺師」呼ばわりしたのだ。


「き、貴様……狂ったか!?」


ラザロが顔を紅潮させて叫ぶ。


「衛兵! 聖騎士団! 何をしている! この異端者たちを捕らえよ! 魔王に魂を売った反逆者だ!!」


ガチャガチャッ!!

広場の周囲から、教会の武装兵たちが雪崩れ込んでくる。

市民たちは悲鳴を上げて逃げ惑う。


「……へっ。やっぱり実力行使かよ」


ガレンさんが、巨大な盾をドンと地面に置いた。


「悪いが、俺たちの『Sランク』は、お前らの雇ったゴロツキとは格が違うぜ」

「かかってきなさい」


エララさんが剣を抜く。


「神罰を下すのは、私たちよ」


武装兵たちが襲いかかろうとした瞬間。


「『聖域展開サンクチュアリ』――『広域幻影投影ホログラム・ビジョン』!!」


私が杖を空にかざすと、王都の空一面に、巨大な『映像』が映し出された。


「な、なんだあれは!?」


市民たちが空を見上げる。

そこに映し出されていたのは、あの日、東の遺跡で記録された映像。

メビウスが語る『真実』だった。


『……ラザロ枢機卿の指示でした』

『大障壁を壊し……人造勇者を……』

『国民を騙し……国を乗っ取る……』


鮮明な音声と映像が、王都中に響き渡る。

それは、言い逃れようのない、決定的な証拠だった。


「……う、嘘だ……」

「枢機卿様が、そんな……」

「大障壁を壊したのが、教会だって……?」


信者たちの目に、動揺と疑念が広がる。

恐怖による支配が、真実によって揺らぎ始めた。


「や、やめろぉぉぉぉッ!!!」


ラザロが絶叫した。


「それは幻術だ! 魔女の捏造だ! 消せ! その映像を消せぇぇぇッ!!」

「真実は消せません」


私は、冷ややかに告げた。


「これが、あなたの『裏の顔』です。ラザロ枢機卿」

「おのれ……おのれぇぇぇッ!!」


ラザロの表情が、慈愛に満ちた聖人のものから、憎悪に歪んだ悪鬼のような形相へと変わる。


「小娘が……! 私の計画を……! 神に選ばれた私の覇道を……!!」


ラザロは、懐からドス黒いオーラを放つ『宝石』を取り出した。

それは、以前ヴォルグが持っていたものと同じ、『魔王の欠片』のような魔力を放っている。


「ならば、ここで死ね! 愚民どもと共に!!」


ラザロが宝石を飲み込んだ。


バキバキバキッ……!!

彼の背中の法衣が裂け、中から漆黒の翼が生え、全身が異形の怪物へと変貌していく。

聖なる広場に、絶望的な魔力が吹き荒れる。


「……本性を現したな」


レオが、ニヤリと笑った。


「最初から、人間やめてやがったか」

「市民を守れ! 結界展開!」


ガレンさんが叫び、盾の結界で逃げ遅れた人々を守る。

私は、杖を構えた。


「さあ、最後の審判です。ラザロ」

「Sランクパーティー『アルテミス』が、あなたを『断罪』します」


聖光祭は一転、人類の敵との決戦の場となった。

群衆の目の前で、嘘と真実、闇と光の戦いが始まる。


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