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『無能』と追放された魔法使い、実は『力の天秤』を持つSランク級の逸材でした。~スキル禁止されたので『進化魔法』でSランク武具を手に入れます~  作者: さらん
第4章『王国の闇と古(いにしえ)の真実編』

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第60話:聖職者の仮面と、暴かれる『青写真』


「……ここは?」

メビウスが目を覚ますと、そこは薄暗い石造りの地下室だった。

先ほどの研究施設ではない。王都のどこかにある、Sランクパーティー『紅蓮の獅子』が管理する隠れセーフハウスだ。


「目が覚めたか、マッドサイエンティスト」


鉄格子の向こうで、ガレンさんが腕を組んで見下ろしている。

その横には、シルヴィア様と、外交官レジナルド卿、そして私たちがいた。


「……私は……生きて……」

「アリアが無理やり連れ帰ったのよ。感謝しなさい」


シルヴィア様が冷たく言い放つ。


「あなたを『ゴミ』のように捨てて爆破しようとした雇い主よりも、私たちの方が慈悲深いようね」


メビウスは、ガクリと項垂うなだれた。

自分の研究施設、最高傑作のキメラ、そして雇い主からの信頼。全てを失った男の顔は、あまりにも惨めだった。


「……話していただきます」


私は、メビウスの前に立った。


「『枢機卿』とは誰のことですか? なぜ、大障壁を壊し、偽の勇者を作らせたのですか?」


メビウスは、震える唇を開いた。


「……ラザロ。ラザロ枢機卿だ」

「ラザロ……!?」


レジナルド卿が息を呑んだ。


「まさか、あの聖人ラザロが……? 国民からの支持も厚く、次期教皇と目されている彼が?」


メビウスは、自嘲気味に笑った。


「聖人? ……クックッ。あれほど欲深い男はいませんよ。彼の目的は、この国を『神政国家』に変えることです」


メビウスの口から語られた『計画シナリオ』は、あまりにも身勝手で、恐ろしいものだった。


* 大障壁の破壊:

古代のシステムである大障壁を、意図的に機能不全にさせる。これにより、国民に「既存の王権では国を守れない」という恐怖を植え付ける。


* 人造勇者の投入:

パニックになった戦場に、教会が管理する「人造勇者」たちを投入し、魔物を撃退する(自作自演)。


* 新体制の樹立:

「教会こそが唯一の救い」と信じ込ませ、王家を傀儡かいらい化し、ラザロ枢機卿が実質的な支配者となる。


「……そのための実験だったのです。大障壁の魔力を吸い取り、人造勇者のエネルギーにする……。完璧な『永久機関』になるはずだった」

「ふざけるなッ!!」


ドンッ!!

レオが鉄格子を蹴り飛ばした。


「てめえらの権力争いのために、世界を危険に晒して、カイトたちの命を弄んだってのか!?」

「……自分勝手にも程があるわ」


エララさんも、静かに怒りを燃やしている。


「それが、聖職者のやること?」

「証拠は?」


シルヴィア様が冷静に問う。


「ラザロ枢機卿は、この国の法すら及ばない聖域にいるわ。メビウス、あなたの証言だけでは、『悪魔に魂を売った研究者の戯言』として握りつぶされる」

「……証拠なら、あります」


メビウスは、懐から小さな水晶を取り出した。


「これに……ラザロとの通信記録、資金の流れ、全ての指示書が入っています。……私の『保険』でしたが、今となっては、あいつへの復讐の道具だ」


レジナルド卿が、震える手で水晶を受け取った。


「……これがあれば、ひっくり返せる。……いや、下手に動けば、教会は信者を扇動して暴動を起こしかねない。慎重にやらねば……」

「いいえ」


私は、言った。


「コソコソやるのは、もう終わりにしましょう」


全員の視線が、私に集まる。


「ラザロ枢機卿は、国民を騙しています。なら、国民の目の前で、その化けの皮を剥がすべきです」

「……アリアちゃん。何か考えがあるの?」


シルヴィア様が、面白そうにニヤリと笑った。


「明後日は、何の日でしたっけ?」


私は、壁のカレンダーを見た。


「……『聖光祭せいこうさい』」


レジナルド卿が答える。


「年に一度、大聖堂の広場で、枢機卿が国民に祝福を与える、最大の式典ですが……」

「最高の舞台ステージですね」


私は、Sランクの杖を強く握りしめた。


「そこに行きましょう。……Sランクパーティー『アルテミス』として。王国の英雄として」

「そして、神の御前で、本物の『断罪ざまぁ』を行いましょう」


私の提案に、ガレンさんが、ニカッと歯を見せて笑った。


「いいねぇ。教会の喧嘩を買いに行くか。……Sランクの初仕事にしちゃ、派手でいい」

「ああ。あの『エセ聖職者』が泡を吹く顔、見てやりたいぜ」


とレオ。


「護衛は任せて。……神罰を下すのは、神様じゃなくて私たちよ」


とエララさん。


作戦は決まった。

明後日、聖光祭。

数万の信者と国民が見守る中、私たちは、王国の巨悪を裁く。

最後の戦い――『王都・聖戦編』が幕を開ける。


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