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『無能』と追放された魔法使い、実は『力の天秤』を持つSランク級の逸材でした。~スキル禁止されたので『進化魔法』でSランク武具を手に入れます~  作者: さらん
第2章: 王都の『試練』と『Sランク』への道

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第51話:魔王軍の「本気」と、規格外の「共闘」


「……よく耐えたな、ルーキーども。……いや、『アルテミス』」


白銀の聖騎士ライオス様が、ヴォルグと私たちの間に降り立ち、ニヤリと笑った。

その背中からは、連戦の疲労がにじみ出ていたが、その瞳は、頼もしい援軍わたしたちを得て、再び力強く輝き始めていた。


「ライオス様!」

「ここは俺たちが引き受ける。お前たちは少し下がって……」

「――誰が、休んでよいと言ったァァァッ!!!」


ドォォォォォンッ!!!!

ヴォルグの咆哮が、空気を震わせた。

彼がまとっていた漆黒の鎧が、内側から膨れ上がり、弾け飛ぶ。


中から現れたのは、もはや人の形をしていなかった。

体長20メートルを超える、巨大な黒い獣。

全身が、あの『影』と同じタールのような物質で構成され、背中からは六本の禍々しい腕が生え、その全てが違う種類の魔剣や魔槍を握っている。

頭部には、憤怒に燃える六つの赤い瞳。

これが、魔王軍幹部『憤怒』のヴォルグの、真の姿デーモン・フォーム


「……チッ。本気を出したか」


ライオス様が、聖剣を構え直す。


「奴の周囲の瘴気濃度が跳ね上がった。……並の結界じゃ、近づくだけで腐食するぞ!」

「させません!」


城壁の上から、シルヴィア様の声が響く。


「『広域聖結界ホーリー・フィールド・ワイド』展開! ……バルガス! 間に合いなさい!」


ヒュンッ!

戦場に、もう一人、白い神官服をまとった初老の男性が現れた。『紅蓮の獅子』の治癒術師ヒーラー兼、結界師のバルガス様だ。

彼が杖を地面に突き刺すと、私たちの周囲に、強力な光のドームが展開された。


「……ふぅ。間に合ったのう。しかし、この瘴気……ワシの結界でも、長くは持たんぞ」


バルガス様が、脂汗を流す。Sランクの結界師が、維持するだけで精一杯のプレッシャー。


「……シャァァァッ!!」


ヴォルグの六本の腕が、結界に襲いかかる。

ガギギギギギッ!

光のドームに亀裂が走り、嫌な音が響き渡る。


「……くっ! 押されている……!」


ライオス様が、聖剣で迎撃するが、六本の腕による同時攻撃は、一人では捌ききれない。

影から現れたシェイド様も、巨大すぎる敵のふところに飛び込めず、攻めあぐねている。

疲弊したSランクパーティー(紅蓮の獅子)と、全開の魔王軍幹部。

戦況は、ジリ貧だった。


(……違う)

私は、杖『アルテミス・ロッド・アイギス』を通して、戦場全体を俯瞰ふかんしていた。


(ライオス様たちが弱いんじゃない。……彼らは、『瘴気』という『毒』の中で、息を止めて戦っている状態だから、力が出せないんだ)


「……ガレンさん、レオくん、エララさん」


私は、仲間に呼びかけた。


「私たちの『仕事』は、先輩たちの『交代』じゃありません。……先輩たちが、全力を出せる『環境ステージ』を、作ることです!」

「「「応ッ!!!」」」


私は、杖を高く掲げた。

私の魔力回路と、世界樹の魔核が、完全に同調シンクロする。


「『聖域展開サンクチュアリ』――『接続コネクト』・『紅蓮の獅子』!!」


私の杖から放たれた翠色みどりいろの波紋が、ライオス様、シェイド様、バルガス様、そして遠くのシルヴィア様を包み込んだ。


「……な!?」


ライオス様が、目を見開いた。


「体が……軽い? 瘴気の重圧が消えて……魔力が、底なしに湧いてくる!?」


バルガス様の結界の亀裂が、瞬時に修復され、以前より強く輝き始めた。


「こ、これは……! ワシの魔力が、若返ったようじゃ! いや、それ以上か!?」


私の『進化魔法』は、味方の「状態」を最適化し、魔力を「供給」し続ける。

Sランクの彼らが、万全の状態に戻ったのだ。


「……ハッ! なるほどな!」


シェイド様が、影の中で笑った気配がした。


「アリア。お前の支援バフは、とんでもない『劇薬チート』だ」

「反撃開始だ!」


ライオス様が叫ぶ。


「ガレン! お前は俺の左をカバーしろ! その『盾』なら、奴の腕を止められる!」

「承知!」


ガレンさんが、ライオス様と並び立つ。二人の『盾』と『剣』が、最前線の壁となる。


「レオ! エララ! 俺の『影』についてこい! 奴の懐に飛び込むぞ!」

「「了解!」」


シェイド様が作り出した影の道に、レオくんとエララさんが飛び込む。三人の連携攻撃が、ヴォルグの巨体を撹乱する。


「シルヴィア! バルガス! アリアの魔力を借りて、最大火力の『浄化砲撃』を準備しろ!」

「ええ、任せて!」

「グォォォォォッ!! 小癪こしゃくなァッ!!」


ヴォルグが激昂し、六本の腕全てで、ライオス様とガレンさんを叩き潰そうとする。


「来るぞ、ガレン!」

「おうッ!」


ドゴォォォォォンッ!!!!

ライオス様の聖剣が、右側の三本を受け流す。

そして、ガレンさんの『アルテミス・ハート・イグニス』が、左側の三本を、真っ向から受け止めた。

ジュワァァァァッ!!


「グッ、熱い!? 貴様の盾は、何でできているゥッ!?」


ヴォルグの影の腕が、ガレンさんの盾に触れた瞬間、溶解し、蒸発していく。


「言っただろう! ボルカン師の最高傑作だと!」


ガレンさんは、一歩も引かない。

私の魔力供給バックアップを受けた彼の盾は、もはや鉄壁の要塞だった。


「今だァッ!!」


最前線が支えきった一瞬の隙。

後方から、シルヴィア様と、バルガス様、そしてアリアの魔力が融合した、極大の魔法陣が展開された。


「アリア! 合わせなさい!」

「はい!」


シルヴィア様の『紅蓮』。

バルガス様の『聖光』。

私の『進化(変換)』。

三つの異なる属性のSランク魔力が、私の『杖』の制御下で、奇跡の融合を果たす。


「合同大魔法――『トリニティ・バースト(三位一体の浄化砲)』!!!!」


三色の極光が、ヴォルグの巨体を、真正面から飲み込んだ。


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